旅先で出会う駅弁の中には、ただの食事を超えて、その土地の物語を感じさせてくれるものがあります。滋賀県・米原駅で長く愛されてきた「湖北のおはなし」も、そんな特別な存在のひとつです。けれど最近では「どこで買えるの？」という声が増えています。この記事では、湖北のおはなしの魅力や販売状況、現在の購入方法について詳しく解説します。
湖北のおはなしとは？米原名物として愛された駅弁
「湖北のおはなし」は、滋賀県の米原駅で販売されていたご当地駅弁。製造・販売を手がけていたのは、米原駅弁の老舗「井筒屋」です。かつて東海道新幹線や在来線の乗客たちがこぞって求めた、まさに“旅の味”でした。
名前の由来は、湖北地方の自然や食文化を「おはなし」として弁当に詰め込んだことから。風呂敷や竹すだれに包まれた上品な見た目が特徴で、食べる前から旅情を感じさせてくれます。
中身は幕の内スタイルで、鴨ロース、煮物、おこわなど、滋賀の味覚がぎゅっと詰まっていました。季節ごとに変わるおこわも人気で、春は山菜、夏は枝豆、秋は栗、冬は黒豆など、四季を感じられる構成。冷めてもおいしく、車窓を眺めながらゆっくり味わうにはぴったりの駅弁でした。
昔からの販売場所は米原駅の売店やホーム
湖北のおはなしは、長年にわたって米原駅の構内で販売されてきました。主な販売場所は以下の通りです。
- 米原駅の新幹線ホーム売店
- 在来線ホーム売店
- 駅改札内の駅弁売り場
かつては立ち売りも行われており、乗車直前に購入する旅行者の姿がよく見られました。滋賀県を通過する新幹線旅の途中で「湖北のおはなし」を楽しむのが定番だった時期もあります。
価格は時期によって異なりますが、おおむね1,100〜1,400円ほど。彩り豊かなおかずが並び、価格以上の満足感を得られる駅弁として人気でした。
駅弁大会や催事で再登場することも
現在は米原駅での通常販売が確認できませんが、百貨店などで行われる「駅弁大会」では、期間限定で再登場することがあります。特に京王百貨店（新宿）の駅弁大会や近畿地方の百貨店催事では、過去に「湖北のおはなし」がラインナップに入っていたことがあります。
駅弁ファンの間では「懐かしの名弁当」として紹介されることも多く、SNS上でも「久しぶりに見つけた！」という投稿が話題になることがあります。
ただし、これらの催事は毎年ラインナップが変わるため、事前に開催情報をチェックしておくのが確実です。
通販・オンラインで買える？
「湖北のおはなし」は、現在公式なオンライン販売は行われていません。過去に井筒屋の公式サイトや通販ページが存在しましたが、現在は閉鎖されています。
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手通販サイトでも取り扱いは確認できず、常時購入できるルートは存在しない状況です。
また、まれにブログや個人サイトで「お取り寄せ可能」と紹介されている場合がありますが、実際にリンクをたどると別商品だったり、販売が終了していたりすることが多いため注意が必要です。
駅弁という特性上、長時間の配送や常温販売には向かないため、オンライン流通よりもイベントや地域販売を中心に展開されてきた背景があります。
販売元「井筒屋」の駅弁事業終了
湖北のおはなしを製造していた「株式会社井筒屋」は、滋賀県米原市に本社を置き、長年にわたり駅弁を製造・販売してきた老舗企業です。
しかし、近年の人手不足や原材料価格の上昇、観光需要の変化などを受けて、2025年2月末をもって駅弁事業から撤退したと報じられています。
このため、米原駅構内での駅弁販売そのものが縮小・終了しており、「湖北のおはなし」も現在では**製造終了（終売）**状態にあると考えられます。
SNSでは、地元の人々や鉄道ファンから「湖北のおはなしがなくなるのは寂しい」「最後にもう一度食べたかった」といった惜しむ声が多く見られました。
現在購入できる可能性がある場所・方法
2025年現在、「湖北のおはなし」を定期的に購入できる場所は存在しませんが、いくつかの方法で再び出会えるチャンスはあります。
- 駅弁大会・物産展での限定販売
百貨店の駅弁フェアなどで、井筒屋の監修商品として再登場する可能性があります。特に京王百貨店や阪神百貨店のように、毎年多くの駅弁を取り扱うイベントは要チェックです。 - 地元イベントでの復刻販売
滋賀県の地域イベントや観光キャンペーンなどで、期間限定の「復刻駅弁」として販売されることがあります。市や観光協会の公式サイト、SNSなどで最新情報を確認するのがおすすめです。 - 類似弁当・後継商品を探す
井筒屋が監修した別ブランドや、同じように滋賀の郷土料理をテーマにしたお弁当が地元で販売されている場合があります。これらを通じて「湖北のおはなし」の味を間接的に楽しむのも一つの方法です。
「湖北のおはなし」が愛された理由
多くの駅弁がある中で、湖北のおはなしが長年人気を集めてきた理由は、やはりその「滋賀らしさ」にあります。
・鴨ロースやおこわなど、地元の食材を活かした上品な味わい
・季節ごとに変化する献立で、何度食べても飽きない構成
・竹すだれや風呂敷包みの伝統的な包装デザイン
見た目にも味にも“物語”があり、食べる人の心に残る駅弁でした。
旅の途中でふと買った人が、思わず誰かに語りたくなる。そんな温かさが「湖北のおはなし」の最大の魅力だったと言えるでしょう。
滋賀・湖北エリアのおすすめ駅弁や代替品
現在は「湖北のおはなし」を購入できなくなってしまいましたが、滋賀県内には他にも魅力的な駅弁が存在します。
- 近江牛すき焼き弁当（草津駅など）
滋賀のブランド牛「近江牛」を贅沢に使った定番駅弁。肉の旨味を堪能できます。 - 伊吹そば弁当（米原周辺）
伊吹山麓のそば粉を使った名物そばが楽しめるお弁当。軽めの食事としても人気。 - 鮒ずし・近江漬け物系の土産弁当
鮒ずしや赤こんにゃくなど、湖北地方の名産品を詰めた土産向けの弁当もあり、これらは米原駅周辺の物産館で手に入ることがあります。
これらを通じて、湖北の食文化を今も感じることができます。
まとめ：湖北のおはなしはどこで買える？
「湖北のおはなし」は、かつて米原駅で販売されていた滋賀を代表する駅弁。現在は販売元の井筒屋が駅弁事業を終了したため、通常販売は終了しています。
しかし、駅弁大会や地域イベントで復刻されることもあり、完全に消えたわけではありません。
もし再び出会える機会があれば、そのときは迷わず手に取ってみてください。
風呂敷包みを開く瞬間、滋賀・湖北の穏やかな風景がふと心に浮かぶ――。そんな小さな旅の記憶を、今も多くの人が「湖北のおはなし」とともに覚えています。
