ギターを弾く人なら、音作りの要になる“ブースター”や“プリアンプ”の重要性を感じたことがあるはず。中でもBOSS BP-1Wは、発売以来「音が太くなる」「存在感が増す」と話題のペダルです。今回は、実際の使用感や音質の傾向、他モデルとの違いまで徹底的にレビューしていきます。
BOSS BP-1Wとは?3つの顔を持つブースター/プリアンプ
まず押さえておきたいのが、このペダルの正体。BOSS BP-1Wは、ブースターやプリアンプとして機能する多用途なエフェクターです。BOSSの中でも上位シリーズにあたる「Waza Craft」ブランドから登場しただけあり、ビルドクオリティもサウンドも非常に高い仕上がり。
BP-1Wが面白いのは、「CE」「RE」「NAT」という3つのモードを持っている点。それぞれが名機のプリアンプ特性を再現しています。
- CEモード:BOSS CE-1 Chorus Ensemble由来。高域がきらびやかで、輪郭のはっきりしたクリーンブースト。
- REモード:Roland RE-201 Space Echo由来。中低域に温かみを加える、柔らかく太いサウンド。
- NATモード:いわゆる“色付けなし”のナチュラルブースト。素直に音量を押し上げたいときに最適。
この3モードを切り替えるだけで、アンプやギターの特性に合わせた音作りがスムーズに行えます。
音質レビュー:CEとREの「味付け」が絶妙
BP-1Wの魅力は、音の立ち上がりと倍音の美しさにあります。特にCEモードでは、ピッキングに応じて繊細な高域が立ち上がり、コードを弾くと鈴のような響きが加わる。ストラト系やテレキャス系のギターでクリーンを楽しむ人におすすめです。
一方でREモードは、音の芯が太く、温かく包み込むようなキャラクター。ローがしっかりしていて、シングルコイルの痩せやすい帯域を補ってくれる印象です。ジャズやブルース、あるいはボーカルの下支えとして存在感を出したいときに抜群。
NATモードは、完全に透明なブースター。アンプや他ペダルのキャラクターを一切壊さず、必要なだけ押し出す。歪みの前段に入れてゲインアップするも良し、後段で音量を持ち上げるも良し。用途の幅が広く、ボード内でのポジションを選ばない万能型です。
実際の使用感:微妙な変化が“音楽的”
BP-1Wは「激しく音を変える」タイプではありません。むしろ、“微妙に変わる”部分の心地よさに価値があります。
GAINノブを上げていくと、荒々しい歪みというより、真空管アンプのような穏やかなサチュレーションがかかります。倍音が増え、音に密度が生まれる。単体で使っても気持ちいいし、他のオーバードライブやディストーションと組み合わせても破綻しません。
また、背面スイッチでバッファの切り替えが可能なのもポイント。
「STANDARD」はフラットでモダン、「VINTAGE」は少し丸みのあるトーンになります。ギターやケーブル長との相性を調整するのに重宝します。
ノイズについても非常に優秀。音量を上げてもヒスノイズが少なく、ライブでも安心して使えるレベルです。
他モデルとの違いを比較してみた
BP-1Wの立ち位置をより理解するために、他の代表的なペダルと比べてみましょう。
● クリーンブースターとの違い
たとえばMXR Micro AmpやXotic RC Boosterのような定番クリーンブースターは、基本的に「音をそのまま大きくする」タイプ。対してBP-1Wは、音をブーストしながらも「キャラクターを付与する」タイプです。
CE/REモードでは明らかな音質変化があり、単なる音量アップにとどまりません。つまり、トーンを“整える”ブースターという位置づけです。
● オーバードライブとの違い
オーバードライブは歪みを作るペダルですが、BP-1Wの歪みはあくまで自然。音の輪郭を保ったまま厚みを加えるため、ドライブ感よりもトーンの補正に向いています。BOSS OD-3などのBOSS系ドライブよりも繊細で、音楽的な倍音が魅力です。
● 他のWaza Craftシリーズとの比較
同シリーズのペダルに比べても、BP-1Wは特に「地味だけど音に効く」タイプ。BOSS DS-1WやBOSS SD-1Wがキャラクターを明確に変えるのに対し、BP-1Wはその前段・後段で全体の完成度を底上げする役割を果たします。言い換えれば、“バンド全体を支える縁の下の力持ち”のような存在です。
どんなギタリストにおすすめ?
BP-1Wは、派手さよりも「音の質感」にこだわるプレイヤーにぴったりです。
- クリーン~クランチ主体で、音抜けや艶を出したい人
- アンプ直派で、プリアンプ的な味付けを足したい人
- ペダルボードの最初か最後に“音のまとめ役”を置きたい人
- ライブでボリュームアップと音圧を両立したい人
特に、アンプの入力段に入れてサウンドを押し出すように使うと、音に立体感が生まれます。ギターのボリュームを絞ったときも音痩せしにくく、リード・カッティング両方で違和感がありません。
実際のユーザー評価と口コミ傾向
発売以降、国内外のレビューサイトでも高評価が目立ちます。
- 「CEとREのモード切り替えで曲ごとに質感を変えられるのが便利」
- 「音が太くなるのに、全体のバランスが崩れない」
- 「歪みペダルとの相性が抜群。前段に置くだけでドライブが生き返る」
一方で、「モードの差が思ったより小さい」「もっとゲインが欲しい」といった声も一部に見られます。ただし、これは“ブースターとしての設計意図”を理解すれば納得できる範囲です。BP-1Wは“強い歪み”を生み出すためのペダルではなく、“良い音”を引き出すためのツール。求める役割が合えば、非常に満足度の高い一台です。
実戦での使い方のコツ
BP-1Wの実力を最大限に発揮するには、目的を明確にしたセッティングがポイントです。
- クリーン強化:NATモード+LEVELを上げて、アンプのクリーンを押し出す。
- 歪み補助:REモード+GAINを1~2時あたりに設定。ミドルを押し出して太いドライブに。
- 空間系との組み合わせ:CEモードをリバーブやコーラスの前に置くと、煌びやかで透明感のある空間が作れる。
また、背面のバッファ切替を使えば、ギターとアンプのキャラクターを微調整できます。Vintageモードにすれば、アナログライクな粘りが増し、Standardモードではモダンでシャープな印象に。
BP-1Wが持つ“現代的な価値”
このペダルの面白いところは、アナログ的な味を持ちながらも非常に現代的だという点。クリーン~ローゲインを中心に音楽を作るギタリストが増えている今、BP-1Wのような「音の質を高めるブースター」はますます重宝される存在になっています。
CEやREモードのように、単体で“いい音”を作れるプリアンプは、ライブでも宅録でもそのまま使える。DAW直挿しでの録音にも相性が良く、プラグインでは得られない自然な空気感を加えられます。
まとめ:boss bp 1w レビューとしての結論
BP-1Wは、一言でいえば「音を整え、艶を与えるブースター/プリアンプ」。
派手な歪みはないものの、音楽的で滑らかな倍音・奥行き・存在感を作り出します。
CEモードの煌びやかさ、REモードの温かさ、NATモードの透明感。
それぞれがしっかりキャラクターを持ち、状況に応じて切り替えられる柔軟性も魅力。
ギタリストの個性を尊重しつつ、音をより良くする──そんな控えめだけど確かな仕事をしてくれるのがBOSS BP-1Wです。
「音があと一歩物足りない」と感じている人に、ぜひ一度試してほしいペダルです。
