1970年に大阪で開催された「日本万国博覧会（Expo ’70）」は、日本の高度経済成長期を象徴する歴史的なイベントだった。あの頃の熱気や未来への希望を今も感じられる場所がある。それが「expo70パビリオン」だ。
この記事では、当時の万博の魅力と、現在の展示の見どころをじっくりレビューしていく。
万博の記憶が息づく場所「expo70パビリオン」とは
大阪府吹田市の「万博記念公園」。その一角にあるのが、現在のexpo70パビリオンだ。ここは、1970年の大阪万博で使用された「鉄鋼館」をリノベーションして誕生した記念展示館。建物そのものが、当時の建築技術やデザイン思想を今に伝える貴重な遺構でもある。
館内に一歩入ると、当時の万博を象徴するポスター、入場券、パンフレット、記念グッズ、建築模型などが並ぶ。展示資料は3,000点以上にも及び、昭和のエネルギーと未来への憧れが詰まっている。まるで50年前にタイムスリップしたかのような感覚を味わえるのが、このパビリオン最大の魅力だ。
1970年の大阪万博とは何だったのか
Expo ’70は、「人類の進歩と調和（Progress and Harmony for Mankind）」をテーマに掲げた日本初の国際博覧会だ。77の国と地域が参加し、企業パビリオンを含めると70を超える建築が並んだ。半年間で6,400万人以上が訪れたというから、まさに日本の歴史に残る一大イベントだった。
当時はテレビや家電、自動車、通信技術などが急速に進歩していた時代。人々は「21世紀の未来」に夢を抱いていた。expo70パビリオンの展示を見ていると、そんな時代の希望や情熱がひしひしと伝わってくる。
展示の見どころ① 圧巻の会場ジオラマと映像資料
最初に目を引くのは、万博会場全体を再現した巨大なジオラマ。中央にそびえる「太陽の塔」を中心に、各国・企業のパビリオンが整然と配置されている。
この模型を見るだけでも、当時のスケールの大きさが実感できる。いくつもの未来的な建築が立ち並び、会場全体がひとつの巨大都市のようだったことがわかる。
また、映像展示も見逃せない。当時のテレビ映像や記録フィルムが上映されており、1970年の熱狂をリアルに体感できる。特に開会式や夜のライトアップ映像は圧巻で、初めて見る人でも胸が高鳴るはずだ。
展示の見どころ② 各国・企業パビリオンの再現と資料
expo70パビリオンでは、かつての各パビリオンを紹介するコーナーも充実している。
アメリカ館では「月の石」が展示され、ソ連館では宇宙船が登場。日本企業も技術力を競い合い、電力館では最新のエネルギー技術を、富士グループ館では映像体験をテーマにした展示を行っていた。
こうした展示の図面や模型、パンフレットなどが詳細に保存されており、「未来への挑戦」がどれほど真剣だったのかが伝わってくる。デザイン史や建築史の観点から見ても、当時の展示は驚くほど洗練されている。
展示の見どころ③ 太陽の塔との関係と現在の体験
expo70パビリオンの見学と合わせて訪れたいのが、公園内の「太陽の塔」。芸術家・岡本太郎が手がけたこのシンボルは、高さ70メートルという巨大な存在感を放っている。
塔の内部は2018年にリニューアルオープンし、当時の「生命の樹」展示が再現されている。螺旋階段を登りながら、生命の進化をたどるインスタレーションは圧巻だ。
太陽の塔の外観とexpo70パビリオンの内部展示は、まさに表裏一体の関係。前者が芸術と思想の象徴なら、後者は記録と記憶のアーカイブ。両方を巡ることで、初めて「万博の全貌」が見えてくる。
万博記念公園全体で感じる“未来の記憶”
expo70パビリオンがある万博記念公園は、万博跡地全体を整備した広大な公園だ。自然文化園、日本庭園、国立民族学博物館など、文化と自然が融合した空間になっている。
園内には、当時の彫刻や記念碑も点在しており、散歩をしながら過去と未来の交差点を歩くような感覚を味わえる。
季節ごとにイベントも豊富で、桜や紅葉の名所としても人気。週末には多くの家族連れや観光客が訪れ、万博の記憶を次の世代へと繋いでいる。
来館者レビューから見るexpo70パビリオンの評価
実際に訪れた人のレビューを見ても、「想像以上に見応えがある」「展示の量と質がすごい」「当時の日本の勢いを感じる」といった声が多い。
特に40代〜60代の世代にとっては、懐かしさと発見が入り混じる場所であり、若い世代には“日本の未来が輝いていた時代”を知る貴重な教材となっている。
一方で「展示が多すぎて1時間では見きれない」「英語表記が少ない」といった意見もあり、じっくり時間を取って訪れるのがオススメだ。
万博の「進歩と調和」を現代に読み解く
Expo ’70のテーマ「人類の進歩と調和」は、今の時代にこそ響く言葉かもしれない。AIや再生エネルギー、グローバル化など、再び人類が新しい時代の扉を開こうとしている現代。
expo70パビリオンの展示を見ていると、50年前の人々が抱いた“未来への理想”と、“人間らしさ”の両立への願いが、今も色褪せずに生きていることに気づく。
当時の展示がただのノスタルジーではなく、今を生きる私たちへのメッセージとして響いてくる――それがこの施設の真価だ。
これからexpo70パビリオンを訪れる人へ
アクセスは大阪モノレール「万博記念公園駅」から徒歩約10分。入館料は大人200円（別途公園入園料が必要）。休館日は水曜日だが、イベント開催時は開館している場合もある。
見学時間は平均で60〜90分ほど。写真撮影は一部を除き可能なので、当時の資料や模型を記録しておくのも楽しい。
併設のショップでは、万博関連のグッズや書籍も販売されており、ファンならずとも思わず手に取りたくなるアイテムが多い。
expo70パビリオンは今も見られる――未来へ続く“人類の記憶”
1970年の大阪万博から半世紀以上が経った今。ほとんどのパビリオンは姿を消したが、expo70パビリオンは当時の熱をそのまま残す「生きた記録」だ。
未来を信じた時代の空気、技術への希望、人間の創造力。そのすべてが、この一館に凝縮されている。
過去を懐かしむだけでなく、これからの未来を考えるために訪れる価値がある場所――
expo70パビリオンは、まさに“未来の記憶装置”として今も輝き続けている。
