音楽好きの間でじわじわ話題になっている「fiio jm21」。
3万円前後という価格ながら、デュアルDAC搭載・バランス出力対応・Android 13採用という豪華仕様で、「この価格でここまでやるか」と驚かれているモデルです。
この記事では、実際の音質や操作感、機能面、そしてコスパの実力まで、じっくりレビューしていきます。
fiio jm21とは?スペックと立ち位置
fiio jm21は、ハイレゾ音源の再生や高出力ヘッドホン駆動を得意とするポータブルオーディオプレーヤー(DAP)です。
同ブランドの上位機種ほど高額ではないものの、内部構成は本格的。
デジタル部分にはQualcomm Snapdragon 680を採用し、OSはAndroid 13。SpotifyやTidalなどのストリーミングアプリも使えるため、「スマホでは物足りないけど、高級DAPはちょっと…」という層にぴったりです。
メモリは3GB、ストレージは32GBで、microSDカードで最大2TBまで拡張可能。
DAPとしては必要十分なスペックで、音楽データをたっぷり持ち歩けます。
本体は156gほどと軽量で、手のひらに収まるサイズ感。
4.7インチのIPS液晶は発色もよく、操作性も良好。
アルミ削り出しの筐体は剛性感があり、所有欲を満たすデザインです。
音質レビュー:自然でバランスの取れたサウンド
音質面の最大の特徴は、デュアルDAC構成。
Cirrus Logic CS43198を左右独立で搭載し、ノイズやチャンネル間干渉を抑えています。
その結果、音の分離感と透明度が非常に高く、定位感の正確さも際立ちます。
実際に聴いてみると、低域はタイトで沈み込みが深く、締まりのある音。
中域はボーカルが前に出すぎず、自然に空間に溶け込む印象です。
高域は刺さりがなく滑らかで、シンバルの余韻やストリングスの伸びも心地よい。
音の傾向としては「ニュートラル寄り」。
過度な味付けはなく、楽曲本来の音をそのまま再現するタイプです。
そのため、クラシックやジャズのように繊細な音作りを求めるジャンルにもよく合います。
一方で、低音強調型のイヤホンを合わせれば、EDMやロックも十分に迫力ある再生が可能です。
出力と駆動力:700mW×2の安心感
fiio jm21は小型ながら出力が強力です。
4.4mmバランス出力では最大700mW×2(32Ω負荷)を誇り、300Ωクラスのヘッドホンでも余裕で鳴らせます。
3.5mmシングルエンド出力でも十分な駆動力があり、インイヤーイヤホンからオーバーイヤーまで幅広く対応。
さらに3段階のゲイン設定を搭載しており、低感度イヤホンでもノイズレスな再生が可能。
出力段の設計がしっかりしているため、音のダイナミクスが失われず、繊細な音も力強い音も両立します。
操作性と装着感:軽くて扱いやすいポータブル機
DAPというジャンル上、「装着感」というより「携帯性・操作感」がポイントになります。
fiio jm21は13mmという薄型ボディで、ポケットにもすんなり入るサイズ。
筐体の角も丸みを帯びており、持った時に手に馴染みやすい設計です。
操作はタッチスクリーンと物理ボタンの併用方式。
画面はレスポンスが良く、Androidスマホに近い感覚で使えます。
再生・停止・音量などの物理キーも配置されており、画面オフでも直感的に操作可能。
また、ストリーミング再生時も安定しており、Wi-Fi接続中のレスポンスも良好です。
Bluetooth 5.0対応で、LDAC・aptX HDなど高音質コーデックをサポート。
ワイヤレスでも有線に近い解像度で楽しめるのは魅力です。
機能性:Android 13搭載で多用途に使える
fiio jm21のもう一つの魅力は、Android搭載による拡張性。
標準でGoogle Playに対応しており、YouTube Music、Amazon Music、Apple Musicなどの主要ストリーミングサービスを自由にインストールできます。
また、USB DAC機能を備えているため、PCと接続して外部DACとして使用することも可能。
Bluetoothレシーバー機能もあり、スマホからワイヤレスで音を受け取り再生できます。
さらにSPDIF出力やラインアウトも搭載しており、外部アンプ・スピーカーとの連携もスムーズ。
自宅では据え置きオーディオの一部として、外ではポータブルDAPとして、シーンに合わせて活用できる柔軟性が強みです。
バッテリー性能:1日使っても余裕の持続力
公称の再生時間は、3.5mm出力で約12.5時間、4.4mmバランス出力で約9.5時間。
実際の使用でも、音量を中程度にしていれば通勤通学+帰宅後の音楽鑑賞程度なら2日持つ印象です。
充電はUSB-Cで約2時間。急速充電には非対応ですが、寝る前に充電しておけば翌朝フルで使えます。
発熱も穏やかで、長時間の再生中でも手が熱くならないのは好印象。
バッテリー残量はステータスバーに常時表示されるため、使いやすさの面でも不安はありません。
実際の使用感とレビュー傾向
ユーザーレビューを見ると、「スマホより音が明らかに良い」「解像度が高く、背景の静けさが違う」という声が多く見られます。
特に、有線イヤホンをメインに使う人からの評価が高く、音の粒立ちや定位感の改善を実感する人が多いようです。
一方で、「操作がやや複雑」「最初の設定が少しわかりにくい」といった意見もあり、完全な初心者には多少ハードルがあるのも事実。
とはいえ、慣れてしまえばAndroidベースゆえに自由度が高く、自分好みにカスタマイズできる楽しさがあります。
コスパ評価:価格以上の完成度
このクラスのDAPとして、fiio jm21は明らかにコストパフォーマンスが高い部類に入ります。
約3万円でデュアルDAC、ハイレゾ再生、バランス出力、Android 13、そして強力な出力を備えるモデルはほとんどありません。
音質・機能・携帯性のバランスが非常によく、エントリーモデルとしても、中級者のサブDAPとしても満足できる内容です。
見た目の質感も高く、「これでこの値段?」と感じるほどの仕上がり。
ハイエンド機に手を出す前のステップとしてもおすすめできます。
どんな人におすすめか
・スマホで音楽を聴いていて、音質に不満を感じている人
・初めてハイレゾ音源や有線イヤホンの本領を体感したい人
・コスパ重視で高機能なDAPを探している人
・外でも自宅でも同じ音質で聴きたい人
このどれかに当てはまるなら、fiio jm21はかなり満足度の高い選択肢です。
fiio jm21の音質や装着感をレビュー:まとめと総合評価
fiio jm21は、「音質」「機能」「携帯性」「コスパ」すべてを高水準で両立させたポータブルDAPです。
デュアルDACによる高解像度サウンド、700mW×2の出力、Androidベースの操作性、バランス出力対応など、同価格帯では抜きん出た完成度を誇ります。
もちろん、ハイエンド機のような圧倒的な音場表現までは届かないものの、価格を考えれば十分すぎるパフォーマンス。
音楽をより深く楽しみたい人の最初の一台として、自信を持っておすすめできるモデルです。
スマホでは聴けなかった音の広がりと繊細さを、fiio jm21が確実に体感させてくれるでしょう。
