「Pentax KFって、実際どうなの?」
そう気になっている方、多いのではないでしょうか。
ミラーレス全盛の今、光学ファインダーを搭載した一眼レフは貴重な存在です。そんな中で登場したPentax KFは、「写真を撮る楽しさ」を大切にしたカメラとして注目を集めています。この記事では、実際の使用感や性能、使いやすさを徹底レビューしていきます。
Pentax KFとは?基本スペックと特徴
Pentax KFは、リコーイメージングが2022年に発売したAPS-Cサイズの一眼レフカメラです。シリーズとしてはK-70の後継にあたり、エントリー〜ミドルクラス向けのポジションに位置しています。
搭載されているのは、有効約2424万画素のCMOSセンサーと画像処理エンジン「PRIME MII」。ISO感度は100〜102400まで対応し、暗所撮影でもノイズを抑えた高画質を実現します。また、Pentax伝統の「ボディ内手ブレ補正(SR)」を備え、あらゆるレンズで手ブレを軽減できるのも大きな魅力です。
さらに、防塵防滴構造や−10℃動作保証といった耐候性を備え、アウトドア撮影にも強い仕様。まさに「全天候対応型の一眼レフ」と呼ぶにふさわしい存在です。
デザインと操作性 ― 一眼レフらしい“撮る感覚”
Pentax KFのボディは、コンパクトながらもしっかりとしたグリップを備えています。握った瞬間に「撮るぞ」という気持ちが湧き上がるようなホールド感。防滴仕様の質感も高く、屋外での使用にも安心感があります。
操作系はダイヤルとボタンが豊富で、メニューを掘らずに撮影設定を直感的に変更可能です。たとえば、露出補正やISO感度の変更、ホワイトバランスの調整もスムーズ。カメラ任せではなく、自分でコントロールして撮る楽しさを味わえます。
液晶モニターはバリアングル式。ローアングルからハイアングル、さらには自撮りまで自由なアングルで構図を作れます。屋外の明るい環境でも視認性が高く、視野角も広いので快適に使えます。
光学ファインダーの魅力 ― ミラーレスにはない“生の見え方”
Pentax KFのファインダーは、ガラスペンタプリズム採用で視野率約100%、倍率約0.95倍。エントリークラスとは思えないほどクリアな光学ファインダーです。
ミラーレス機が電子ファインダー(EVF)で「映像」を見ているのに対し、Pentax KFでは「光そのもの」を目で捉えられます。そのリアルな見え方とシャッター音の感触は、まさに“撮る喜び”を感じさせてくれるポイント。
風景やポートレートをじっくり撮る人には、この体験こそが一眼レフを選ぶ理由になるでしょう。
画質レビュー ― 色再現と階調の豊かさ
Pentaxのカメラが長年支持されてきた理由のひとつが、「色の美しさ」。Pentax KFもその伝統をしっかりと受け継いでいます。
JPEG撮って出しでもナチュラルで深みのある色味が特徴。特に空や緑の描写が繊細で、風景撮影との相性が抜群です。ポートレートでは肌の質感が柔らかく、自然な印象を与えます。
また、RAW撮影時のダイナミックレンジも広く、暗部の階調をしっかり残すことができます。シャドウ側を持ち上げても破綻しにくく、現像での自由度が高いのも嬉しい点。解像感も申し分なく、AAフィルターレス設計によって細部までシャープに描写します。
AF性能と連写 ― 静止画重視なら十分な実力
Pentax KFは「SAFOX X」AFモジュールを搭載し、11点測距(うち中央9点はクロスタイプ)に対応しています。最新のミラーレス機のような像面位相差AFではありませんが、光学ファインダーを使った撮影では高い精度を誇ります。
静止した被写体には非常に安定しており、ピントの追従も正確。風景・スナップ・人物撮影など、日常のシーンでは十分満足できる性能です。
ただし、ライブビュー撮影時や動画撮影中のAF速度はやや遅め。動体撮影やスポーツシーンをメインに考えている人には不向きかもしれません。
連写は約6コマ/秒と標準的。決定的な瞬間を狙う撮影にも対応します。
手ブレ補正と夜景撮影の安定感
Pentax KFに搭載されているボディ内手ブレ補正(SR)は、最大約4.5段分の効果を発揮します。手ブレ補正がレンズ側ではなくボディに内蔵されているため、古いKマウントレンズでも恩恵を受けられるのがPentaxならではの強み。
夜の街や室内でのスナップ撮影でも、ISOを上げすぎずに済むのがありがたいところ。さらに三脚撮影時には「ピクセルシフト解像」モードを使えば、被写体のディテールをより精密に再現できます。静物や風景写真にこだわりたい人にはうってつけの機能です。
防塵防滴構造とアウトドアでの信頼性
Pentax KFは、ボディ全体に100点以上のシーリングを施した防塵防滴仕様です。多少の雨や砂埃でも気にせず撮影できるため、アウトドア派のフォトグラファーから高い支持を得ています。
さらに、−10℃の環境でも動作可能。雪山や冬の朝など、過酷な環境での撮影でもしっかり動いてくれます。この堅牢性は、ミラーレス機ではなかなか得られないPentaxの大きな魅力といえるでしょう。
動画性能 ― 静止画中心の人には十分
動画はフルHD(1080p/30fps)までの対応です。4K撮影には非対応ですが、記録画質は安定しており、発色も自然。簡単な動画記録やVlog用途なら問題なく使えます。
ただし、AF速度や追従性は静止画に比べて遅め。動画メインで考えている方は、別の機種を検討したほうがいいかもしれません。
Pentax KFは“写真を撮るカメラ”として設計されていることを理解しておくと、性能への納得感が高まります。
実際の使い心地とユーザーの声
実際に使ったユーザーのレビューでは、「操作がわかりやすい」「防滴で安心」「発色が美しい」といったポジティブな声が多く見られます。初心者でも扱いやすい設計で、撮影を楽しみながら上達できるという意見が目立ちます。
一方で、「AFが少し遅い」「動画機能は控えめ」といった点を指摘する声もあります。しかし、これらはPentax KFが“撮る楽しさを重視した静止画機”であることを考えれば、十分に許容範囲です。
カメラとしての「手触り感」「ファインダーを覗く体験」に価値を見出す人にとって、Pentax KFは長く愛用できる1台になるでしょう。
Pentax KFとK-70の違い
前モデルであるK-70との違いを簡単にまとめると、
・液晶モニターの解像度アップ
・USB Type-C対応
・新しいUIデザイン
・細部の操作レスポンス改善
といったマイナーチェンジが中心です。性能面では大きな差はないものの、使い勝手や快適性は確実に進化しています。新たに購入するなら、Pentax KFを選ぶ価値は十分にあります。
どんな人におすすめ?
Pentax KFは、次のような人にぴったりのカメラです。
- 光学ファインダーで撮る“実感”を大切にしたい
- 防滴・防塵の堅牢ボディでアウトドア撮影を楽しみたい
- レンズ資産を活かしてコスパよく撮影したい
- 風景やスナップをじっくり撮りたい
- シンプルな操作感で写真の基本を学びたい
初心者にも扱いやすく、中級者のサブ機としても頼れる万能機。Pentaxらしい“職人気質”のカメラです。
Pentax KFレビューのまとめ ― 写真を「撮る喜び」をもう一度
Pentax KFは、最新のトレンドを追うカメラではありません。
しかし、光学ファインダーを覗き、指先で設定を調整し、シャッターを切る――
その一連の動作すべてが「写真を撮る喜び」を思い出させてくれる一台です。
派手さはないけれど、しっかりとした描写力と堅牢性。どんな環境でも安心して撮れる信頼感。そしてPentax独自の色表現。
このバランスの良さこそが、Pentax KFの最大の魅力です。
デジタル時代でも“撮影体験”にこだわりたい人へ。
Pentax KFは、その期待にしっかり応えてくれるカメラです。
