音楽を聴く時間が、ちょっとしたご褒美のように感じられるイヤホンがあるとしたら――それがDENONの「Perl Pro」だ。発売から時間が経っても話題が尽きない理由は、単に音がいいからではない。
今回は、この「Perl Pro」がどんな特徴を持ち、実際の使い勝手がどうなのか、ユーザー視点で徹底レビューしていく。
個人の耳に合わせるという発想 ― Masimo AATのすごさ
Perl Proを語るうえで外せないのが、デノン独自の聴覚パーソナライズ機能「Masimo AAT（Adaptive Acoustic Technology）」だ。
通常のイヤホンは、メーカーが設定したチューニングを万人に向けて提供している。けれど、人の聴力は千差万別。左右の耳でも聞こえ方が違うことだってある。
このMasimo AATは、ユーザーの聴覚特性を自動で測定し、その結果をもとに音の出方を最適化してくれる。スマホアプリ「Denon Headphones」を使えば、耳の特性がグラフで見える化されるのも面白い。
聴力テストのような操作も不要で、ただ音を聞くだけで調整が完了する。まるで、自分専用にチューニングされたオーディオを手に入れたような感覚だ。
音質 ― 個人最適化の効果を体感できる
パーソナライズ後の音質は、初めて聴いた瞬間に「違う」と感じるレベル。
デフォルト状態でも十分に高音質だが、測定後の音はより立体的になり、楽器やボーカルの位置がくっきりと分かるようになる。低音の厚みも増し、高音域の伸びも自然だ。
搭載されている10mmのダイナミックドライバーがしっかりと駆動しており、ジャンルを問わず安定した再生を実現している。クラシックの弦楽器の響きも、ロックのギターリフも、深くクリアに響く。
aptX Voice対応によりBluetoothでも高解像度音源をしっかり再現できるのもポイントだ。
音質評価としては、「パーソナライズ後こそ真価を発揮するイヤホン」といえるだろう。
ノイズキャンセリングと外音取り込みの実力
Perl Proのノイズキャンセリングは、静寂を完全に生み出すタイプではない。
むしろ自然さを重視しており、電車内やカフェなどの日常的なノイズを柔らかく抑えてくれる印象だ。
高音域の騒音に強く、耳が詰まるような圧迫感がないため、長時間装着しても疲れにくい。
外音取り込みモードも自然で、イヤホンを外さずに会話ができるレベル。周囲の音を少し強調してくれるため、屋外でのランニングや移動時にも安心して使える。
アプリによる調整の自由度と楽しさ
専用アプリ「Denon Headphones」を使うと、音の世界がさらに広がる。
イコライザー調整はもちろん、タッチ操作のカスタマイズや、空間オーディオのON/OFFも簡単に切り替え可能。
特に面白いのが、アプリがパーソナライズ測定結果をもとにサウンドプロファイルを提示してくれる点だ。
音質を「リッチ」「バランス」「クリア」などのモードで選べるが、違いは明確。ユーザーの聴覚特性を踏まえてチューニングされるため、どのモードも自然に聴ける。
音を「自分好みに作る」楽しさが詰まっており、オーディオ好きにはたまらない。
接続性能と通話品質 ― 実用性も抜かりなし
Perl ProはBluetooth 5.3を搭載し、接続の安定性は抜群だ。
屋外でスマホをポケットに入れていても音が途切れにくく、マルチポイント接続にも対応。PCとスマホを同時に接続し、切り替えもスムーズに行える。
通話面でも評価が高い。
骨伝導マイクを含む4つのマイクを内蔵し、相手の声だけでなく自分の声も明瞭に伝わる。風切り音の多い環境でも、ノイズリダクションが効果的に働く。
在宅勤務やオンライン会議での使用にも安心して使える実力だ。
デザインと装着感 ― 上質さと安定性の両立
デノンらしい上品なデザインも魅力の一つ。
艶やかなブラックの外装に、さりげなく刻まれたブランドロゴ。高級感がありつつ、過度に主張しない。
ケースもコンパクトで、ポケットにもすんなり収まるサイズ感だ。
装着感はやや大きめながら、耳の奥でしっかり固定されるタイプ。
イヤーピースを自分に合うサイズに替えれば、遮音性とフィット感の両立が可能だ。長時間装着していても痛くなりにくい。
IPX4の防滴性能を備えているため、汗や小雨程度なら問題なく使用できる。
バッテリーと持ち運びの安心感
フル充電で約8時間、ケース併用で最大32時間の再生が可能。
急速充電にも対応しており、10分の充電で約1時間使えるのも便利だ。
ワイヤレス充電もサポートしているため、充電器に置くだけで準備完了。ケーブルの煩わしさがなく、日常的に使いやすい設計になっている。
長時間の移動や通勤、出張でも安心して使えるバッテリー性能だ。
実際のレビューから見る評価
多くのオーディオ専門サイトやユーザーが口をそろえて評価しているのは、やはり音質。
パーソナライズ機能を有効にしたあとの音の厚みと立体感は、他のイヤホンにはなかなかない。
「自分だけの音」を楽しめる感覚は、単なるガジェットを超えて、音楽そのものの楽しみ方を変えてくれる。
一方で、「デフォルト設定だと音が平坦に感じる」「ノイズキャンセリング性能は競合より控えめ」といった声もある。
つまり、このイヤホンは“自分で調整して完成させる”タイプ。使いこなすほど良さが見えてくるプロダクトだ。
Perl Proはどんな人におすすめか？
- 音質にこだわりたい人
- 自分の耳に合った音を探している人
- アプリで音を調整するのが好きな人
- 通話や在宅ワークでも快適に使いたい人
逆に、ノイズキャンセリングの強さを最優先する人には物足りないかもしれない。
ただし、自然で疲れにくい音を求めるなら、Perl Proはベストな選択肢になり得る。
Perl Proレビューのまとめ
DENONのPerl Proは、単なるワイヤレスイヤホンではなく、“自分専用の音体験を作り出す道具”だ。
Masimo AATによるパーソナライズ機能、豊かな音質、アプリの調整自由度、そして実用的な接続性能。どの要素を取っても完成度が高い。
音楽を聴くたびに「このイヤホンを選んでよかった」と感じられる、そんな満足感を与えてくれる一台だ。
もし「自分の耳に最適な音」を追求したいなら、Perl Proの世界を一度体験してみてほしい。
