オーディオアンプを選ぶとき、音の厚みや繊細さ、そして操作性まで妥協したくないという人は多いと思います。今回はデノンの人気プリメインアンプ「PMA 1700NE」について、実際の性能や使い勝手、音質の特徴までじっくりレビューしていきます。ミドルクラスながら上位機並みの完成度を誇ると話題のモデル、その実力を掘り下げてみましょう。
PMA 1700NEとは?デノンが誇るミドルレンジの実力機
「PMA 1700NE」は、デノンのプリメインアンプシリーズの中でも中核を担うモデルです。旧機種「PMA 1600NE」の後継として登場し、さらに上位の「PMA-A110」で培われた技術を継承しています。価格帯としては20万円前後。高級機に手が届かない層にも「本格的な音を楽しんでほしい」という思想が込められた製品です。
定格出力は8Ωで70W+70W、4Ωでは140W+140Wと、家庭用としては余裕あるパワー。音量を上げても歪みが少なく、スピーカーをしっかり鳴らし切る力を備えています。外観はデノンらしい重厚なアルミフェイスで、サイズは幅434mm・高さ135mm・奥行410mm、重量は約17.6kg。設置すると「アンプらしい存在感」が部屋に漂います。
高音質を支える回路設計とノイズ対策
PMA 1700NEの音質を語る上で欠かせないのが、その内部構造です。デノンが長年培ってきた「UHC-MOSシングルプッシュプル回路」を採用。高電流を安定的に供給できるため、繊細な音から力強い低音までバランス良く再生します。
また、信号経路をできるだけ短く保つ「シンプル&ストレート構成」により、ノイズや歪みを最小限に抑制。デジタル入力部には「デジタルアイソレーター」を搭載し、USB-DAC利用時にPCからのノイズが回り込むのを防いでいます。これにより、ハイレゾ音源をクリアに再生できるのが特徴です。
さらに、周波数特性は5Hz〜100kHz(-3dB)。可聴域を大きく超える帯域をカバーしており、空気感や余韻の再現力も優れています。
USB-DAC搭載でPCオーディオにも最適
PMA 1700NEの大きな魅力のひとつが、USB-DAC機能の充実ぶりです。DSDは最大11.2MHz、PCMは最大384kHz/32bitに対応。パソコンを接続するだけで高解像度の音源を再生できます。
このUSB入力は、同軸デジタルや光入力よりもノイズ耐性が高く、細部の表現力が一段と向上。PCオーディオを中心に据えたいユーザーにとっては心強い機能です。
実際、音の粒立ちや空間の広がりが見事で、ハイレゾ音源を聴くと「生演奏に包まれるような臨場感」を体感できます。
もちろん、デジタル入力だけでなく、アナログ再生にも抜かりありません。MM/MCカートリッジに対応するフォノ入力を備えており、レコード愛好家にも支持されています。
音質レビュー:透明感と力強さを両立
実際にPMA 1700NEを視聴してまず感じるのは、「静けさの中に浮かび上がる音の立体感」です。高域は伸びやかで、ボーカルや弦のニュアンスを自然に再現。中域は厚みがあり、ピアノやギターの音が芯のある存在感を放ちます。そして低域はタイトで量感も十分。必要以上に膨らまず、音全体のバランスを引き締めています。
とくに印象的なのは、音場の広がりと定位の明確さ。楽器やボーカルの位置がはっきり分かるため、ライブ録音などではステージの奥行きまで感じ取れます。
この立体感は、PMA 1600NEからの進化を最も実感できるポイントでしょう。
一方で、音の傾向としてはややニュートラル。派手さや誇張はなく、録音の良し悪しをそのまま表現するタイプです。そのため、再生するソースやスピーカーの個性をしっかり引き出したいリスナーに向いています。
使い勝手とデザイン:質実剛健な操作感
デザインはシンプルで高級感のある仕上がり。大型のボリュームノブは滑らかな操作感で、微妙な音量調整もスムーズに行えます。
入力切替スイッチも物理式で、押したときの感触がしっかりしています。無駄な装飾がないぶん、長く使っても飽きのこないデザインです。
リモコンは一部で「古めかしい」と言われるものの、主要操作は一通り可能。CDプレーヤーとの連動もスムーズです。
また、電源オフ時はLEDインジケーターが完全に消灯するため、夜間のリスニングでも光が気にならないという点も好評です。
ネットワーク機能やBluetoothは非搭載ですが、純粋な音質を追求した結果といえます。ストリーミング再生をしたい場合は、外部のネットワークプレーヤーを併用する形がベストです。
他モデルとの比較:1600NEやA-S1200との違い
先代「PMA 1600NE」と比較すると、PMA 1700NEは音の透明感と奥行きが明らかに向上しています。内部パーツの見直しにより、ノイズフロアがさらに低く、より静かな背景から音が立ち上がる印象です。
また、同価格帯のYAMAHA A-S1200と比較すると、YAMAHAは中低域の厚みと温かみが特徴的なのに対し、デノンはよりニュートラルで現代的なサウンド。
クラシックやジャズなど、録音の細部を聴き取りたい人にはPMA 1700NEが好まれる傾向があります。
実際のユーザー評価
口コミでは「中高音の分離が素晴らしい」「スピーカーをしっかり鳴らしてくれる」といった高評価が多く見られます。
特にハイレゾ音源やレコード再生でのクオリティに満足する声が多く、音楽ジャンルを問わずオールラウンドに楽しめるという意見が目立ちます。
一方で、「リモコンが使いにくい」「低音の迫力がやや控えめ」といった意見もあります。ただし、これは個人の好みやスピーカー環境にも左右される部分。
全体的には「この価格帯でここまでの音が出るのは驚き」といった肯定的なレビューが圧倒的です。
どんな人におすすめか
PMA 1700NEは、シンプルに「良い音を楽しみたい人」にぴったりのアンプです。ネットワーク機能などの便利さよりも、純粋な音質を重視する方。
そして、アナログもデジタルもバランスよく使いたい人に最適です。
リスニングルームで腰を据えて音楽を聴きたい人、PCオーディオを始めたい人、レコードを高音質で再生したい人。
いずれの層にも応えてくれる万能機といえます。
PMA 1700NEの性能と使い勝手を徹底レビューで解説【まとめ】
改めてまとめると、「PMA 1700NE」は音質・操作性・拡張性の三拍子がそろった、非常に完成度の高いプリメインアンプです。
70W+70Wという余裕のパワー、USB-DAC対応の多機能性、そしてデノンらしい自然で誠実な音づくり。どれを取っても価格以上の満足感があります。
「派手さよりも正確さ」「便利さよりも音質」を重視する人には、まさに理想の1台。
PMA 1700NEは、これから本格的なオーディオライフを始めたい人にも、長く付き合える相棒になるはずです。
