街を歩いていて、「あ、この光いいな」と思った瞬間にすっと取り出せるカメラ。そんな“撮る喜び”をシンプルに感じさせてくれるのが、富士フイルムの「X-E4」だ。今回はその魅力を、実際の使用感や画質、操作性の観点からじっくりと掘り下げていく。
軽量・コンパクトで持ち歩きたくなる設計
X-E4の第一印象は、とにかく軽いこと。バッテリー込みで約364gという数字は、APS-Cセンサー搭載のミラーレスとしては驚くほどの軽さだ。ボディは金属外装ながらも無駄を削ぎ落としたフラットなデザインで、手にした瞬間に「カメラを持って出かけたい」と思わせる不思議な魅力がある。
パンケーキレンズ「XF27mmF2.8 R WR」との組み合わせなら、まるでコンデジのような携行性。ポケットや小さなバッグにもすっと入るサイズ感で、日常のスナップ撮影に最適だ。カメラを構える行為そのものが自然に生活に溶け込む——それがX-E4の魅力の出発点である。
クラシックデザインとシンプルな操作性
富士フイルムらしいクラシカルなルックスは健在。レンジファインダースタイルの水平ライン、アルミの削り出し上面カバー、控えめなロゴデザイン。派手さはないが、持つ喜びを感じさせる品のあるデザインだ。
一方で、操作系は非常にシンプルにまとめられている。背面ボタンは最小限、上部にはシャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルのみ。グリップは浅めで、手の大きい人にはやや滑りやすく感じるかもしれない。ただ、別売のハンドグリップを装着すればしっかりホールドできるようになる。
この潔いまでのミニマル設計は、設定を詰めるよりも“瞬間を撮る”ことに集中させるためのもの。構えた瞬間に迷いなくシャッターを切る——そんな感覚が味わえる。
26.1MP X-Trans CMOS 4が生み出す高精細な描写
X-E4の核となるのは、上位機富士フイルム X-T4と同じ「26.1メガピクセル X-Trans CMOS 4」センサーと「X-Processor 4」。APS-Cサイズながら解像感は非常に高く、細部までシャープに描く。葉の質感、建物の陰影、被写体の立体感まで丁寧に再現するその描写は、スナップだけでなく風景撮影やポートレートにも十分対応できるレベルだ。
色再現性の高さも特筆すべきポイント。富士フイルム独自のフィルムシミュレーションが搭載されており、「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」「クラシックネガ」など、撮影シーンに合わせて手軽にトーンを変えられる。JPEG撮って出しでも完成度が高く、後処理をせずとも“作品”として成立する絵が得られるのは嬉しい。
高速オートフォーカスと快適な撮影レスポンス
コンパクトな見た目とは裏腹に、撮影レスポンスは非常に快適だ。X-E4は位相差検出方式のハイブリッドAFを採用しており、約0.02秒という高速フォーカスを実現。顔・瞳検出AFも精度が高く、人物スナップでは目をしっかりと捉えてくれる。
連写性能も優秀で、メカシャッターでは最大8コマ/秒、電子シャッター使用時には最大20コマ/秒の高速連写が可能。街中での決定的瞬間を逃さず切り取るのに十分な性能を持つ。シャッター音も控えめで、静かな場所でも気兼ねなく撮影できるのがありがたい。
チルト式モニターで自由なアングル撮影
背面には3インチのチルト式タッチモニターを搭載。180°前方まで反転するため、自撮りやVlog撮影にも対応する。タッチ操作は反応も良く、ピント合わせやメニュー選択もスムーズ。ハイアングル・ローアングル撮影も苦にならず、構図の自由度が広がる。
ファインダーは約236万ドットの電子ビューファインダーを採用。スペック的には突出していないが、視認性は十分で、光の強い屋外でも快適に撮影できる。表示遅延も少なく、自然な感覚で被写体を追える。
日常を切り取るスナップ性能
X-E4の真骨頂は、何気ない日常を“作品”に変えるスナップ性能だ。軽快なレスポンスと豊かな色表現によって、街角の光や人の仕草、旅先の風景などをそのままの空気感で残せる。
特に、フィルムシミュレーション「クラシックネガ」や「Eterna」はスナップとの相性が抜群。淡く懐かしいトーンやシネマライクな色味が、どこかノスタルジックな情景を生み出す。モノクロモード「ACROS」も粒状感が美しく、モノトーン作品を撮る楽しさが広がる。
また、シャッタースピードや絞り値をダイヤルで直感的に操作できるのも、スナップ派には嬉しい要素だ。露出を変えて試しながら、その場で“光を描く”感覚を味わえる。
動画性能とクリエイティブな活用
X-E4は静止画だけでなく、動画性能も十分。4K/30p・Full HD/240pに対応しており、スローモーション撮影も可能だ。発色がナチュラルで、人物の肌トーンや街の灯りも美しく再現できる。
特に小型・軽量ボディでこの映像クオリティを実現している点は魅力的。ジンバルやハンドグリップと組み合わせれば、Vlogカメラとしても活躍する。オートフォーカスの追従も滑らかで、自然なピント移動が可能だ。
ただし、手ブレ補正(IBIS)は非搭載なので、動画撮影では電子補正や安定した姿勢での撮影を意識したい。ここは上位モデル富士フイルム X-S20やX-T4との大きな違いだ。
実際の使用感とユーザー評価
多くのユーザーが「小さくても写りは本格派」と評価している。X-E4はシンプルな設計ながら、センサー性能や色再現は上位機に迫る。撮影していると“写真を撮る楽しさ”そのものを思い出させてくれるような感覚がある。
一方で、「グリップが浅く、長時間の撮影ではやや疲れる」「操作ボタンが少なくカスタマイズ性が物足りない」といった声もある。しかし、それを補って余りあるのが、この軽さと描写力。装飾を排して必要な要素だけを残した潔さに惹かれる人は多い。
どんな人におすすめか
X-E4は次のような人に特におすすめできる。
- スナップ撮影や街歩きが好きな人
- 軽くて持ち歩きやすいカメラを探している人
- 富士フイルムのフィルムシミュレーションで表現を楽しみたい人
- シンプルなデザインや操作感を好む人
反対に、手ブレ補正や大型グリップを求める人にはやや不向き。動画を重視する場合は、より上位のX-S20やX-T4を検討してもよいだろう。
X-E4が描く“写真の原点”
このカメラを手にして感じるのは、「撮ること」への純粋な楽しさだ。スマホで撮れる時代に、あえてこの小さなミラーレスを持つ理由は、機械を通して光を感じ、自分の感性で構図を作る行為そのものにある。
富士フイルム X-E4は、軽さ・高画質・操作の快適さを絶妙にバランスさせたモデルだ。どこにでも持ち歩けて、気負わずシャッターを切れる。結果として、日常の一瞬が特別な一枚に変わる——そんな魔法のような体験を与えてくれる。
富士フイルム「X-E4」レビューのまとめ
改めて振り返ると、X-E4は「軽量ボディで描く高画質スナップ性能」をテーマに、富士フイルムらしい表現力を凝縮した一台だ。Xシリーズの中でも特に“写真の楽しさ”を純粋に味わえるモデルといえる。
コンパクトながら描写力は一級品、デザインも美しく、使い手の感性を刺激する。どんなカメラを持っても続かなかった人でも、きっとまた写真を撮りたくなるだろう。
富士フイルム X-E4は、日常を旅のように切り取る最高の相棒になる。
