「最近スーパーで高菜を見かけない…」そんな声が増えています。
以前は漬物コーナーに当たり前のように並んでいたのに、気づけば棚から消えてしまった。売り切れ?それとも販売休止?今回は、高菜がスーパーで売っていない理由と、今どこで手に入るのかを詳しく見ていきましょう。
スーパーで高菜を見かけないという声が続出
SNSや口コミを見ると、「野沢菜はあるけど高菜がない」「一軒目にも二軒目にも置いてなかった」という体験談が多数あります。
確かに、関東や関西など九州以外の地域では、高菜を常時置いているスーパーは少なくなっているようです。
一方で、ライフ・西友・マルエツ・コープなど大手スーパーの一部では販売している店舗もあります。ただし「時期や地域によって取り扱いがない場合があります」といった注意書きも多く、全国どこでも買えるというわけではありません。
つまり、「売ってない」と感じるのは、地域や店舗による“取扱いのばらつき”が大きいことが一因です。
高菜の販売休止・品薄の背景にある「原料不足」
ここ数年、高菜の生産地である九州地方では、気候変動や台風などによる“高菜の不作”が続いています。
漬物メーカーの公式発表でも「原料の高菜が凶作で、地域によっては半作(例年の半分程度)」「年間供給が難しい状況」と報告されています。
特に高菜漬けに使われる「阿蘇たかな」「雲仙こぶ高菜」などの伝統品種は、栽培に手間がかかり、交雑や低収量の問題から生産者が減少傾向にあります。
農家の高齢化や後継者不足も加わり、そもそもの栽培面積が減っているのが現状です。
そのため、漬物メーカーが原料を確保できず、結果的に製造量を減らす、あるいは一時的に販売を休止するケースが増えています。
漬物業界を直撃する「人手不足」と「制度負担」
もうひとつの要因は、製造現場の人手不足です。
漬物づくりは手作業が多く、特に中小メーカーでは職人が減っており、仕込みから包装までの工程を維持するのが難しくなっています。
さらに、インボイス制度の導入などで、原料を納入する農家や小規模事業者の経理負担が増え、仕入れ価格の上昇や取引の減少も起きています。
こうしたコスト上昇が重なり、採算が合わないとして製造を縮小・停止する事業者も出ています。
結果として、供給量が減り、スーパーの棚に並ぶ機会も少なくなっているのです。
店舗側の事情:地域差と販売効率の問題
スーパー側にも理由があります。
漬物の棚は限られており、売れ行きの良い商品を優先して陳列する傾向にあります。
高菜は九州では定番でも、関東や東北では購入頻度が低いため、在庫が動きにくいというデータもあります。
そのため、仕入れを控えたり、地域限定での販売に絞ったりする店舗が多く、「売ってない」と感じる人が増えるわけです。
また、漬物のように冷蔵・管理が必要な商品は、棚スペースの制約も大きく、季節や販売状況によって入荷を調整している場合もあります。
季節要因も関係?高菜は冬野菜
もうひとつの見逃せない理由が“旬の問題”です。
高菜はもともと冬野菜で、収穫・漬け込み・熟成といった工程を経て商品化されます。
そのため、漬物として出回るのは冬から春先が中心で、夏場は在庫が少なくなりやすいのです。
つまり、「売ってない」タイミングがちょうど端境期に当たっているだけ、というケースも少なくありません。
特に“生の高菜”を探している場合、九州以外では冬以外の時期に手に入れるのは難しいでしょう。
「販売休止」と「仕入れ停止」は別の話
注意したいのは、“販売休止”と“店舗での仕入れ停止”は別の問題ということ。
メーカーが一時的に製造を止めているケースもあれば、店舗が自主的に取り扱いをやめているケースもあります。
つまり、全国的に販売終了したわけではなく、「メーカーは稼働しているけれど、地域のスーパーが仕入れていない」ということも多いのです。
そのため、同じチェーンでも地域や店舗によって品揃えがまったく違うことがあります。
高菜を探すならここをチェック!
もし「近所のスーパーで高菜が見つからない」ときは、以下を試してみてください。
- 大型スーパー:ライフ・イオン・西友などの広い店舗では、漬物コーナーの他に“九州フェア”や“地方特産コーナー”に置かれている場合があります。
- 業務スーパー:業務用サイズの辛子高菜を扱う店舗もあり、仕入れのタイミングによっては見つかることがあります。
- 通販サイト:Amazonや楽天などでは、瓶詰め・パウチ・冷蔵便など多様な高菜が常時販売されています。
- アンテナショップ・物産展:熊本や福岡のアンテナショップでは、本場の辛子高菜を扱うことが多く、味の違いも楽しめます。
通販なら在庫状況を確認しやすく、レビューや味の傾向も見られるので便利です。
また、「入荷通知」や「定期購入」を設定できるショップもあります。
代替品やアレンジもおすすめ
高菜が手に入りにくいときは、代わりに野沢菜やからし菜の漬物を使うのも一つの方法です。
チャーハンやおにぎりの具材にする場合、風味は少し異なりますが、同じような食感と塩味を楽しめます。
また、ネットでは「自家製高菜漬け」のレシピも人気です。
塩漬けにした後、鷹の爪やごま油で炒めて“辛子高菜風”に仕上げる簡単な方法も紹介されています。
自分好みの味を探す楽しみもありますね。
今後、高菜はどうなる?安定供給への課題
現時点では、高菜の生産量は回復途上で、原料不足は完全には解消していません。
一方で、地元農家やメーカーの間では「地域ブランド高菜を守る」取り組みも進んでおり、栽培面積の拡大や新しい流通体制の整備も少しずつ始まっています。
ただ、気候変動や人手不足といった根本的な課題があるため、短期的には品薄や価格の変動が続く可能性があります。
購入の際は、産地や保存方法をチェックし、無理のない範囲でまとめ買いするのがおすすめです。
高菜がスーパーで売ってない理由と、これからの付き合い方
ここまで見てきたように、高菜がスーパーで売っていないのは単なる流行り廃りではなく、
原料の不作、人手不足、制度や流通の問題が複雑に絡んだ結果です。
ただし、完全に手に入らないわけではありません。
通販や地域ショップを活用すれば、今でも美味しい高菜を味わうことができます。
季節や産地に思いを馳せながら、次に店頭で見つけたときは、ちょっと特別な気持ちで手に取ってみてください。
それが、いまの“高菜がスーパーで売ってない”時代の、少し贅沢な楽しみ方かもしれません。
