夏の定番アイスといえば、昔から親しまれてきた「みぞれ」シリーズ。なかでも「みぞれいちご」は、練乳がけいちごといちごシロップの組み合わせが絶妙で、子ども時代の思い出とともに記憶に残っているという人も多いのではないでしょうか。
しかし、近年この「みぞれいちご」を店頭で見かけなくなったという声が相次いでいます。いったいなぜ販売終了してしまったのでしょうか。今回はその背景や再販の可能性について、詳しく見ていきます。
50年以上続いたロングセラー「みぞれ」シリーズとは
「みぞれ」シリーズは、森永乳業が長年販売していたカップタイプの氷菓ブランド。価格は100円前後と手頃で、シンプルなかき氷に練乳やシロップをかけた昔ながらの味わいが特徴でした。
ラインナップは「練乳がけいちご」「練乳がけ金時」「宇治金時」「コーヒーフロート」など、どれもどこか懐かしく、昭和の時代から令和にかけてまで幅広い世代に愛されてきた商品です。
特に「練乳がけいちご」はシリーズの中でも人気が高く、スーパーマーケットやコンビニの冷凍ケースで定番のように並んでいた時期もありました。それだけに、「最近どこにも売ってない」という声がSNSでも目立ち始めたのです。
みぞれいちごが販売終了となった時期
森永乳業は2018年ごろ、「100円みぞれ」シリーズの製造・販売を終了したと発表しました。
実際には数年間をかけて段階的に生産が縮小され、2018年春頃をもってすべてのフレーバーの生産が終了したとされています。
公式サイトの「製造終了商品一覧」にも「みぞれ」シリーズが記載されており、販売が終了していることが明確に示されています。店頭では在庫限りでの販売が続いた時期もありましたが、現在ではほとんどの店舗で取り扱いがなくなっています。
販売終了の理由1：売上の低下
長年愛されてきた「みぞれ」シリーズですが、実は売上は2000年代以降、少しずつ減少していたといわれています。
当時の報道によると、最盛期に比べて売上はおよそ4分の1まで落ち込んでいたとも。氷菓市場全体が多様化し、新しいタイプのアイスが続々と登場する中で、昔ながらのシンプルなかき氷は次第に存在感を失っていったのです。
森永乳業の担当者も、「近年、売上が落ちていたことが背景にある」とコメントしています。販売終了の一因には、こうした市場の変化と売上低迷が大きく影響していたようです。
販売終了の理由2：新ブランドへの注力
もうひとつの理由として挙げられるのが、森永乳業の新商品戦略です。
2018年前後、同社は「蜜と雪」という新ブランドを立ち上げ、リッチな味わいとデザート感を打ち出した氷菓を発売しました。このブランドに注力するため、従来の「100円みぞれ」シリーズを整理したといわれています。
企業としては、長く続いた定番よりも、時代のトレンドに合わせた新しいブランドへシフトしていくという判断を下したのでしょう。手軽な100円アイスから、より高付加価値なデザート系アイスへ——この方向転換が「みぞれいちご」の幕引きにつながったのです。
販売終了の理由3：消費者の嗜好変化
かつては「氷＋シロップ＋練乳」というシンプルな組み合わせが人気を集めていましたが、最近では「ふわふわ食感」「濃厚ソース」「果肉入り」など、より“デザート寄り”の氷菓が主流になっています。
また、通年販売されるアイスの種類が増えたことで、夏限定のかき氷タイプの需要が減っている点も無視できません。
このように消費者の嗜好が変化する中で、「昔ながらの氷菓」は市場での存在感を維持しにくくなっていたと考えられます。特に「みぞれいちご」のようなシンプルな構成の商品は、今の若い世代にとって新鮮さを感じにくかったのかもしれません。
みぞれいちごを今も探す人が多い理由
それでも、「あの味が忘れられない」という声は今も根強くあります。SNSでは「夏になると食べたくなる」「子どもの頃、よく食べていた」「復活してほしい」といった投稿が毎年のように見られます。
特に「練乳がけいちご」は、シンプルながらも独特のジャリジャリした氷と練乳の甘さのバランスが絶妙で、他ではなかなか再現できない味でした。
昭和から平成にかけての“定番の夏アイス”として記憶に残る存在だからこそ、販売終了の知らせは多くのファンにとって寂しいニュースだったのです。
似ている味・代替商品はある？
「みぞれいちごがもう手に入らないなら、似たような味のアイスはないの？」という人も多いでしょう。
完全に同じではありませんが、いくつかの氷菓が「みぞれ」シリーズの代わりとして紹介されています。
・セブンプレミアム いちご練乳氷
・ガリガリ君リッチ いちごミルク
・やわもちアイス いちご味
これらはいずれも練乳×いちごの組み合わせを楽しめるアイスで、食感や味の方向性が近いと評判です。特に「いちご練乳氷」はカップタイプで、かき氷系の食感を味わえる点で「みぞれ」に近い存在といえるでしょう。
再販の可能性はあるのか？
気になるのは「みぞれいちご」の再販の可能性です。
現時点で、森永乳業から再販予定に関する公式発表は出ていません。2018年の終売発表以降、復刻版や限定販売の動きも確認されていないため、すぐに店頭に戻ってくる可能性は低いとみられます。
ただし、過去にはファンの声やSNSでの反響を受けて、他のメーカーが旧商品の味を“リバイバル商品”として再現した例もあります。森永乳業自体も限定コラボや復刻アイスを発売した実績があるため、「みぞれいちご」が再登場する可能性はゼロではありません。
もし再販されるとすれば、夏限定やオンライン限定など、期間を区切った形になるでしょう。消費者の懐かしさとブランド力を活かしたキャンペーン展開も十分考えられます。
販売終了後の流通状況
現在、店頭では「みぞれいちご」を見つけるのはほぼ不可能ですが、まれに地方スーパーや業務用ルートで在庫が残っているケースもあるようです。
ただし、製造から時間が経っている場合は品質面の保証がないため、購入の際は注意が必要です。
また、フリマアプリなどで高値転売されているケースも見受けられますが、食品の個人売買は安全面でリスクが高いため避けるのが賢明です。
懐かしの味を次世代へ
「みぞれいちご」は、決して派手ではないけれど、確実に多くの人の夏の記憶に刻まれたアイスでした。
手頃な価格で、子どもがお小遣いで買えた“身近な贅沢”。練乳のやさしい甘さといちごの爽やかさが、真夏の暑さを一瞬だけ忘れさせてくれた――そんな味わいを懐かしく思う人は少なくありません。
今後、もし再販やリニューアルが実現したら、それは「懐かしさ」と「新しさ」を融合した新しい挑戦になるでしょう。時代が変わっても、あの優しい甘さをもう一度味わいたいという声は、きっとメーカーにも届いているはずです。
みぞれいちご販売終了のまとめ
「みぞれいちご」は、森永乳業が長年販売してきた「100円みぞれ」シリーズの人気フレーバーでしたが、2018年をもって販売終了となりました。
理由は売上低迷と新ブランドへの注力、そして市場の変化。現在は再販予定はありませんが、ファンの間では復活を望む声が絶えません。
いつの日か、あのジャリジャリした氷と練乳いちごの味が再び夏の風物詩として戻ってくることを願いたいですね。
