長年愛用していた「キーピング」が店頭から姿を消し、「どこにも売っていない」と困っている人が増えています。洗たく機で簡単にのりづけでき、シャツをパリッと仕上げてくれる定番アイテムだっただけに、「なぜ販売終了になったの？」と疑問に思う方も多いでしょう。今回は、キーピングが販売終了した理由や背景、そして代わりに使える代替商品まで詳しく紹介します。
キーピングとは？家庭で使える人気の洗たくのり剤
「キーピング」は花王が販売していた家庭用の洗たくのり剤ブランドです。洗たく機に入れるだけで手軽にのりづけができ、アイロンの仕上がりを美しくしてくれることから、長年多くの家庭に親しまれてきました。特に「キーピング 洗たく機用のり剤」は、ビジネスシャツや制服などを清潔感ある仕上がりに整えるために重宝されてきた定番製品でした。
また、「アイロン用キーピング スプレータイプ」も販売されており、洗たく後の仕上げ工程で手軽にハリ感を出せることから人気がありました。しかし、2022年3月をもって「キーピング 洗たく機用のり剤」は製造を終了。現在は店頭やネット通販でも在庫限りとなっています。
キーピングが販売終了した理由
原料供給の問題
花王の公式サイトによると、キーピング 洗たく機用のり剤は原料の供給が難しくなったため、2022年3月31日をもって製造を終了したとのことです。これは、特定の原材料が調達困難になったり、コストが高騰したりといった事情が背景にあります。製造ラインを維持するためのコストや手間が大きくなった結果、継続が難しくなったと考えられます。
近年は世界的な物流の混乱や化学原料の価格上昇もあり、こうした製造終了のケースは他の家庭用品でも相次いでいます。花王としても他の主力製品の安定供給を優先するために、販売数の少ないアイテムから整理していった可能性が高いでしょう。
洗たくのり市場そのものの縮小
もうひとつの大きな要因は、洗たくのり市場の需要減少です。近年はライフスタイルの変化によって「のり付け」の習慣が減っています。
たとえば、
- ノンアイロンシャツや形状記憶素材の普及
- ドラム式洗濯乾燥機の普及によるアイロン不要化
- テレワークの浸透でワイシャツを着る機会の減少
これらの変化により、家庭で「パリッと仕上げる」という文化自体が薄れつつあります。結果として、のり剤を常用する人が減り、市場規模が縮小していきました。
かつては“清潔で整った見た目”を求めて多くの人が使用していたのり剤ですが、現在は「手間を減らしたい」「自然乾燥で十分」という人が増え、需要が落ち込んでいるのです。
花王の製品ライン見直しとリソース集中
花王は多くの家庭用品を展開していますが、その中でも成長が期待できる分野（たとえば高機能洗剤や柔軟剤、除菌・消臭製品など）に注力しています。
一方で、売上が小さいカテゴリーや市場が縮小している製品については、生産効率や経営資源の観点から整理対象になることがあります。
キーピング 洗たく機用のり剤もその一環として、コストや需要のバランスを踏まえた上で製造終了が決まったと見られます。実際、花王は「アイロン用キーピング スプレータイプ」は引き続き販売しており、全ラインが終了したわけではありません。これは、スプレータイプの方が使用頻度が高く、一定の需要が維持できているからと考えられます。
環境・社会的な背景も影響
さらに近年では、環境負荷低減への取り組みも製品戦略に影響を与えています。
のり剤には合成ポリマーや化学成分が含まれており、製造過程や廃水処理にも一定の環境コストがかかります。こうした背景から、企業全体でエコ設計の製品や植物由来成分への転換が進む中、従来型ののり剤を維持するメリットが薄れていたともいえます。
つまり、キーピングの販売終了は「原料問題」だけでなく、「時代に合わせた商品ラインの整理」「環境負荷軽減への対応」など、複数の要因が重なった結果と見るのが自然でしょう。
現在販売されているキーピングと入手状況
2022年3月をもって「キーピング 洗たく機用のり剤」は生産終了していますが、「アイロン用キーピング スプレータイプ」は現在も販売中です。
ただし、洗たく機に直接入れるタイプを探している場合は、すでに製造が止まっているため、残っている在庫を見つけるしかありません。
ネット通販では、一部の在庫品がまだ販売されていますが、価格が高騰しているケースもあります。今後再販の予定は公表されていないため、「どうしてもあの仕上がりが良かった」という方は、早めに在庫を確保しておく方が良いでしょう。
キーピングの代わりになる代替商品
キーピングが手に入らなくなった今、同じような仕上がりを求めて別の製品を探す方も多いでしょう。ここでは、使用感が近いと評判のある代替品をいくつか紹介します。
ダイヤ乳液洗濯のり（ダイアックス）
乳液タイプで洗たく機でも使用でき、キーピングと同じように衣類に自然なハリを出すことができます。仕上がりが比較的マイルドで、扱いやすいのが特徴。口コミでも「キーピングに近い仕上がり」と評判です。
カネヨノール（カネヨ石鹸）
しなやかでソフトな仕上がりを求める方に向いています。香りが控えめで無香タイプもあり、使いやすさやコスパの面でも優れています。洗たく機でもアイロン前の仕上げでも使えるため、汎用性が高い製品です。
ハイ・クリーチ（大阪糊本舗）
プロ仕様のしっかりとしたハリを出すタイプ。強めののりづけを好む人には向いていますが、一般家庭では仕上がりがやや硬めに感じる場合もあります。ワイシャツやユニフォームをピシッと仕上げたい方におすすめです。
代替品を選ぶ際のポイント
代替商品を選ぶときは、以下の3点を意識するのがおすすめです。
- 使う洗たく機のタイプ
縦型かドラム式かで仕上がりが変わります。ドラム式ではのり成分が残りにくく、効果が弱く感じることもあります。 - 仕上がりの好み
パリッとしたハリ感を重視するか、柔らかさを残すかで選ぶ製品が変わります。強めののりを選ぶと、布地によっては固すぎることもあるため注意が必要です。 - 使用頻度とコスト
毎回使うのか、アイロン仕上げのときだけ使うのかでもコスパが変わります。用途に合わせて液体・スプレータイプを使い分けるのが効率的です。
ユーザーの声と生活スタイルの変化
SNSや口コミを見ると、「キーピングがなくなって困った」「他ののりでは仕上がりが違う」といった声が多く見られます。一方で、「そもそも最近はのり付けをしなくなった」「ノンアイロンの服が増えたから不要になった」という意見も増えています。
つまり、キーピングの終了は単なる販売終了ではなく、家庭での洗たく文化の変化を象徴する出来事ともいえます。昔ながらの「きちんと仕上げる」から、「ラクして清潔に保つ」へと価値観がシフトしているのです。
キーピング販売終了のまとめとこれから
キーピング 洗たく機用のり剤が販売終了となった理由は、原料供給の難しさと市場の縮小、そして企業の製品戦略の転換によるものでした。
現在は「アイロン用キーピング スプレータイプ」のみ継続中で、洗たく機用は再販予定がありません。
代替品を探す場合は、「ダイヤ乳液洗濯のり」「カネヨノール」「ハイ・クリーチ」などが候補になります。使用環境や仕上がりの好みに合わせて、自分に合う製品を選ぶのがポイントです。
時代とともに生活スタイルが変わり、製品もそれに合わせて生まれ変わっていきます。キーピングの販売終了もその流れのひとつ。もし今も「ピシッと仕上げたい」という思いがあるなら、ぜひ代替品を試してみてください。
かつてのような心地よい仕上がりを、少し違う形で再現できるかもしれません。
