昔ながらの缶入りキャンディ「ドロップス飴」。子どもの頃に手にした赤い缶を思い出す人も多いのではないでしょうか。そんなドロップス飴が最近「売ってない」「見かけなくなった」と話題になっています。
この記事では、なぜドロップス飴が販売終了になったのか、その背景や復活の可能性、そして今手に入る代替商品までを詳しく解説します。
サクマ式ドロップスとサクマドロップスの違いを知っておこう
まず整理しておきたいのが、「サクマ式ドロップス」と「サクマドロップス」は別の商品だということ。
赤い缶の「サクマ式ドロップス」は佐久間製菓株式会社が製造していたもの。
一方、緑の缶の「サクマドロップス」はサクマ製菓株式会社が作っています。
名前は似ていますが、製造会社も商標も異なる別ブランドです。どちらも長い歴史を持ちますが、今回“販売終了”が話題になっているのは、赤い缶の「サクマ式ドロップス」の方です。
販売終了のきっかけは製造元の廃業
赤い缶のサクマ式ドロップスを製造していた佐久間製菓は、2023年1月20日をもって廃業しました。
この発表を受けて、事実上「サクマ式ドロップス」は製造停止となり、市場から徐々に姿を消していきました。
佐久間製菓は明治41年(1908年)創業。100年以上続いた老舗企業でしたが、近年は経営環境が厳しくなっていたようです。
東京商工リサーチなどの報道によると、2021年9月期には約1億5000万円の最終赤字を計上し、事業継続が難しい状態に陥っていたとのこと。
つまり「売れなくなったから終了」というよりも、企業全体の経営問題が背景にあったといえます。
ドロップス飴が売ってない理由:背景にある5つの要因
ドロップス飴の販売終了には、いくつもの要素が重なっていました。ここでは主な5つの理由を挙げます。
1. コロナ禍による需要減
外出や旅行の機会が減ったことで、携帯用のお菓子や土産需要が激減しました。
飴は「ついで買い」されることが多い商品。売り場の機会減少が販売に大きく響いたようです。
2. 原材料とエネルギー価格の高騰
砂糖、果汁、缶材、電力といったコストが大幅に上昇しました。
小規模メーカーにとっては価格転嫁が難しく、利益を確保するのが困難だったといわれています。
3. 人材不足と後継問題
製造ラインの維持や職人の確保が難しくなり、高齢化も重なって生産体制を保てなくなった可能性があります。
100年以上続く老舗の「技術継承」の難しさが現代的な課題として浮かび上がりました。
4. 消費者の嗜好変化
若年層を中心に「飴離れ」が進んでいるとも言われます。
硬いキャンディよりもグミやチョコ、のど飴系など“食感や機能性”を重視する商品に人気が移り、従来型のドロップス飴が選ばれにくくなっていました。
5. ブランド混同によるマーケティングの難しさ
赤缶と緑缶の「サクマドロップス」が混同されがちで、ブランド管理が難しかったという点も指摘されています。
この混乱が消費者認知や販売促進に影響した可能性もあります。
ドロップス飴はもう買えない?現在の入手状況
2023年の廃業発表以降、赤缶「サクマ式ドロップス」は新たに生産されていません。
一部店舗やネット通販では在庫品が販売されていましたが、現在はほぼ完売状態。
フリマアプリやオークションで高値で取引されるケースも見られます。
一方で、緑缶の「サクマドロップス」はサクマ製菓が引き続き生産しています。
そのため「ドロップス飴が完全に消えた」というわけではなく、別ブランドとして現行品が存在している状態です。
ただし、味や缶のデザインが異なるため、「昔のドロップス飴が好きだった」という人にとっては代わりになりにくいかもしれません。
ドロップス飴の復活はあるのか?
ファンの間では「もう一度あの味を」「復刻してほしい」といった声が多く上がっています。
実際、報道の中でも「復活の可能性はゼロではない」との見方があります。
復活の可能性がある理由
- 商標権の整理が可能:サクマ式ドロップスとサクマドロップスの商標は、共同保有などの形で管理されているとされ、譲渡・ライセンス契約によって再発売が可能な余地がある。
- ブランド価値の高さ:100年以上続いた歴史とノスタルジー性があり、限定復刻やコラボ商品としての潜在価値が高い。
- メディア・SNSでの話題性:廃業報道以降、SNSで「懐かしい」「もう一度欲しい」という投稿が拡散し、復活要望が増えたことも注目ポイントです。
実現に向けた課題
ただし、製造設備や職人、原材料調達など、実際の再生産には大きなコストと労力が必要です。
さらに、現代の食品安全基準や包装資材コストにも対応しなければならず、復活するには企業側の強い意志と投資が不可欠です。
現時点(2025年)では、正式な復活発表はありません。
とはいえ、老舗ブランドの再販・復刻例は近年増えており、今後の展開に期待する声は根強いようです。
ドロップス飴の代わりに楽しめるおすすめキャンディ
「もうあの味は買えないの?」と思う方に向けて、ドロップス飴の代替として楽しめるキャンディをいくつか紹介します。
どれも硬めで果汁感のあるキャンディが中心です。
- サクマドロップス(緑缶)
別会社の製造ですが、昔ながらのフルーツキャンディとして現在も販売中。赤缶よりやや甘めの風味が特徴です。 - UHA味覚糖 コロロ
飴ではありませんが、果汁感や香りの再現度が高く、現代的な“フルーツの楽しみ方”として人気。 - カンロ ピュレグミ
健康志向・低糖系の代替として注目。飴より軽い食感で、幅広い層に受け入れられています。 - ヴェルタースオリジナル
海外製ながら硬めで濃厚な味わい。ノスタルジーを求める人におすすめです。
代替商品を選ぶ際は、「味の近さ」か「雰囲気の近さ」かを明確にして探すと満足度が高くなります。
ただし、旧ブランドと完全に同一の味ではない点を理解しておくことが大切です。
ノスタルジーとともに生き続けるドロップス飴の記憶
映画『火垂るの墓』で少女が手にしていたドロップスの缶。
あのシーンを見て「同じ缶を持っていた」と懐かしむ人も多いでしょう。
サクマ式ドロップスは、単なるお菓子ではなく、昭和の情景や思い出の象徴のような存在でした。
販売終了となった今も、その缶を飾ったり、小物入れとして使ったりする人が後を絶ちません。
それほどまでに愛された理由は、味だけでなく、心に残るデザインや記憶そのものにあったのかもしれません。
ドロップス飴が販売終了の理由と今後の展望
改めて整理すると、ドロップス飴(サクマ式ドロップス)の販売終了は、
- コロナ禍による需要減
- 原材料・エネルギーコスト高騰
- 人材不足と経営難
などの複合的な要因が重なった結果でした。
とはいえ、ブランド価値の高さやファンの熱量を考えれば、復刻・再販の可能性は今後も残っています。
もしかすると、どこかのメーカーが“新しい形のドロップス飴”として蘇らせてくれるかもしれません。
今はその日を楽しみに、緑缶のサクマドロップスや類似キャンディを味わいながら、あの懐かしい甘さを思い出してみてはいかがでしょうか。
