「ビエネッタ」と聞くと、あのパリパリのチョコレートと層になったバニラアイスを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。子どもの頃の“憧れアイス”として記憶に残っている方も少なくありません。そんなビエネッタが、ついに販売終了になったというニュースが話題を呼びました。この記事では、「ビエネッタはいつ販売終了したのか」そして「なぜ販売終了に至ったのか」「復活の可能性はあるのか」までを詳しく解説します。
ビエネッタはいつ販売終了したのか？
森永乳業は2025年2月10日、公式サイトで「ビエネッタ」シリーズの販売終了を発表しました。
終了日は2025年3月31日。つまり、2025年の春をもって、国内での販売が正式に終了したということになります。
対象となったのは以下の3商品です。
これらすべてが「販売終了」となり、店頭から徐々に姿を消していきました。発表直後からSNSでは「ショック」「最後にもう一度食べたい」という声が急増。実際にスーパーやコンビニでは一時的に品薄状態が続き、「見かけたら即買い」という現象まで起こりました。
ビエネッタの歴史と人気の理由
40年以上続いた“憧れのアイスケーキ”
ビエネッタが日本で登場したのは1983年。森永乳業がイギリスの「Viennetta（ヴィエネッタ）」のライセンスを受けて販売を開始しました。
当時は「ウィーン風銘菓」というキャッチコピーで、ケーキのような見た目と高級感が話題に。家庭用冷凍庫に入っているだけで特別な気分になれる“贅沢アイス”として一気に人気を集めました。
特徴的な構造と食感
ビエネッタの最大の特徴は、何層にも重なったアイスクリームとチョコレートの層です。
フォークを入れると「パリッ」と音がして、口に入れるとアイスがとろけ、チョコがパリパリと弾ける。この食感を家庭で味わえるのはビエネッタだけでした。
製造には高い技術が必要で、森永乳業は40年以上にわたりその構造を守り続けてきたといいます。
販売終了の理由は？契約と時代の変化
では、なぜ人気のビエネッタが販売終了となったのでしょうか。公式発表では「ライセンス契約の終了」が理由とされています。もう少し詳しく見ていきましょう。
1. ライセンス契約の終了
ビエネッタは、海外のユニリーバ社が持つブランド「Viennetta」を日本で販売するライセンス契約のもと製造されていました。
しかし、この契約が2025年3月末で終了。契約が切れることで、日本国内で「ビエネッタ」という名称の商品を作る権利がなくなってしまったのです。
そのため、森永乳業はやむを得ず販売終了を決定したと発表しています。
2. 認知度の低下と市場の変化
もうひとつの背景に、若年層への認知度の低下があります。
ある調査では、15〜25歳のうちビエネッタを知っている人はわずか4％程度という結果も。昭和・平成初期には「特別な日のアイス」だったものの、令和世代にはその存在すら知られていないという現実がありました。
また、アイス市場ではコンビニ限定やSNS映えを意識した新商品が次々と登場。
「家族でシェアするアイスケーキ」というスタイルは、徐々に時代とズレていったのかもしれません。
3. 製造コストの高さ
ビエネッタのようにチョコレートとアイスを何層にも重ねる製造方法は、他のアイスと比べて非常に手間がかかります。
一層ごとに繊細な仕上げが必要なため、機械化や大量生産が難しく、コスト削減も容易ではありません。
森永乳業のリリースでも「幾重にも重なった繊細な層を再現するのは難しく、類似品のない唯一無二の商品だった」と述べられています。
販売終了を惜しむ声と“食べ納め”現象
発表直後、SNSでは「ビエネッタが終わるなんて信じられない」「子どもの頃の誕生日に必ず出てきた」といった投稿が相次ぎました。
X（旧Twitter）ではトレンド入りし、一時的に投稿数が10万件を超えるほどの反響に。
特に印象的だったのは、“食べ納め”という言葉です。
多くの人がスーパーを巡り、「最後にもう一度食べたい」とビエネッタを探し求めました。店頭からは瞬く間に姿を消し、通販サイトでも一時的に在庫切れとなる店舗が続出。
まるで長年の友人を見送るように、多くのファンがその最後を惜しみました。
海外では今も現役？ビエネッタの世界展開
ビエネッタは日本では姿を消したものの、実は世界の多くの国では今も販売が続いています。
ブランドの本家であるユニリーバ社の「Heartbrand」アイスシリーズとして、ヨーロッパやアジア各国で現役商品として販売中です。
例えばイギリス、イタリア、オーストラリアなどではスーパーで普通に手に入る定番デザート。
また、2020年にはインドネシアで復活した例もあり、一度消えた後に再登場した国もあります。
この海外での展開を見ても、日本で再びビエネッタが登場する可能性はゼロではありません。
ただし、再販にはライセンス契約や製造体制の再構築が必要となるため、時間がかかると見られています。
復活の可能性はあるのか？
ビエネッタの復活を望む声は今も根強く、「限定復刻してほしい」「別の形で帰ってきてほしい」という意見が多く上がっています。
では、実際に復活する可能性はどの程度あるのでしょうか。
条件1：ライセンスの再締結
まず必要なのは、ユニリーバ社とのライセンス契約の再締結です。
森永乳業が再び契約を結ぶ、もしくは別メーカーが新たに契約を取得すれば、日本市場に再登場する可能性は十分にあります。
条件2：新しいスタイルでの再登場
かつての“箱アイスケーキ”という形ではなく、より手軽なサイズや個食タイプで復活する可能性も考えられます。
実際に2010年代には「ビエネッタカップ バニラ」が登場しており、これが若年層にも人気でした。
今後は、SNS映えやコンビニ展開を意識したリニューアル版として再登場するかもしれません。
条件3：ブランド再認知の戦略
再登場するには、「若い世代にどう伝えるか」が最大の課題です。
昭和のノスタルジーを武器にしつつ、“レトロ×贅沢”という切り口でブランディングすれば、再ブームが起こる可能性も十分にあるでしょう。
ビエネッタの思い出と代替商品
販売終了後も、「あの味をもう一度味わいたい」という声は後を絶ちません。
完全な代替品は存在しないものの、近年は似たような層状アイスやアイスケーキが増えています。
例えば、「パリパリチョコレートアイスケーキ」や「チョコレートパフェタイプ」の市販アイスなど、ビエネッタの食感を思わせる商品が少しずつ登場しています。
ただし、あの独特の“層の美しさ”と“パリッと感”を完全に再現できている商品は、今のところ存在しません。
ビエネッタ販売終了のまとめとこれから
改めて整理すると――
- 販売終了日は2025年3月31日。
- 理由はライセンス契約の終了。
- 若年層の認知度低下や製造コストの高さも背景に。
- SNSでは“食べ納め”現象が起きるほどの人気を維持していた。
- 海外では現在も販売中で、将来的に復活の可能性もある。
ビエネッタは、日本のアイス文化の中で確実に“特別な存在”でした。
冷凍庫の中で静かに待つビエネッタを開ける瞬間のワクワク感――それを覚えている人が多いからこそ、今回の販売終了は大きな話題になったのでしょう。
いつかまた、あの「パリッ」という音とともに、ビエネッタが帰ってくる日を願わずにはいられません。
