愛犬家のあいだで人気だったニュージーランド発のチルドタイプドッグフード「ブッチ」。SNSでも「食いつきがいい」「水分補給にもなる」と話題でした。ところが最近、「ブッチが販売終了した」という声が広がっています。実際のところ、どうなっているのでしょうか？ この記事では、販売終了の背景や再販の可能性、そして今後の入手方法をわかりやすくまとめます。
ブッチとはどんなドッグフードだったのか
まずは、ブッチの特徴を簡単におさらいしておきましょう。
ブッチはニュージーランドで製造されるチルドタイプのウェットドッグフード。一般的なドライフードと違い、水分を多く含み、生肉に近い栄養バランスが魅力でした。主なラインナップは「ブッチ+ブラック・レーベル（ビーフ・ラム・チキン）」「ブッチ+ホワイト・レーベル（チキンメイン）」「ブッチ+ブルーレーベル（魚メイン）」の3種類。それぞれ原材料の約8割以上が動物性たんぱく質で構成され、人工保存料や着色料も使われていません。
冷蔵保存が必要という点はやや手間でしたが、嗜好性が高く、偏食気味な犬やシニア犬にも向いていると評判でした。「ドライフードは食べないのにブッチは完食する」という声も多く、愛犬家にとって頼れる存在だったのです。
ブッチが販売終了といわれる理由
では、なぜ「販売終了」と噂されているのでしょうか。その背景には、いくつかの事情が重なっています。
1. 原産国の鳥インフルエンザによる輸入停止
最大の要因といわれているのが、原産国・ニュージーランドで発生した鳥インフルエンザです。これにより、日本の農林水産省は2024年12月以降、家きん肉を含む一部製品の輸入を一時停止しました。ブッチには鶏肉原料を使うラインがあり、輸入規制の影響を受けて国内への供給が止まったのです。
2. 輸入基準や検疫制度の変更
加えて、ペットフードの輸入や衛生基準に関する制度改定も影響しています。新しい基準では、製造工程や保存方法など、より厳しい管理体制が求められるようになりました。ブッチは人間用食肉と同等グレードの素材を使う製品でしたが、新基準への適合に時間がかかり、日本向け出荷が困難になったとも言われています。
3. 日本代理店のサービス終了
国内でブッチを取り扱っていた「ブッチ・ジャパン（Butch Japan）」が、2025年7月末をもって公式サイトおよびサービスを終了すると発表しました。これにより、正規ルートでの新規販売は事実上ストップしています。代理店が撤退すれば、輸入再開が許可されても販売経路を再構築しなければならず、再販の見込みはさらに低くなります。
実際の販売状況と消費者の混乱
2025年現在、正規販売ルートでは新規購入ができない状態です。公式サイトは閉鎖され、多くの通販サイトや実店舗でも「取り扱い終了」の表示が目立ちます。フリマアプリや一部の並行輸入業者で見かけることもありますが、これらはあくまで在庫限りの流通。冷蔵保存品という性質上、輸送・保管環境が不明な商品を購入するリスクは高いです。
SNSでは「もう買えなくて困っている」「どこにも在庫がない」「愛犬がブッチしか食べない」といった声も多く、需要と供給のギャップが顕著になっています。
再販の可能性はあるのか？
多くの飼い主が気になるのが「再販されるのか」という点です。結論から言うと、再販の可能性は現時点で極めて低いと考えられます。
輸入停止の原因である鳥インフルエンザが終息しても、検疫や衛生基準の問題、代理店撤退の影響など複数の課題が残っています。特にチルドフードは冷蔵流通の維持が難しく、再び日本市場に導入するには相当なコストと手続きが必要です。
一方で、ニュージーランド本社側から「製造自体を終了した」という情報は出ていません。そのため、海外では販売が継続している可能性もあります。ただし、個人輸入には関税・冷蔵輸送・品質保証などのリスクがあり、一般消費者には現実的とはいえません。
今後の入手方法と注意点
ブッチを使っていた飼い主が今後取るべき行動を整理します。
1. 手持ち在庫の確認と管理
まずは冷蔵庫・冷凍庫に残っている在庫を確認しましょう。チルドタイプは賞味期限が短く、開封後は数日以内の消費が推奨されています。長期保管すると品質が劣化するため、「少しでも怪しい」と感じたら無理に与えないことが大切です。
2. 並行輸入・在庫販売品には要注意
フリマや通販で「在庫あります」と販売している場合でも、冷蔵輸送が適切に行われた保証はありません。製造からの経過時間もわからないため、品質リスクを伴います。特に未開封でも冷凍焼けや風味の変化が起こることがあります。安易に購入するより、代替フードへの切り替えを検討する方が安心です。
3. 再販情報を公式・信頼筋で確認
万が一再販の動きがある場合、最初に発表されるのはメーカーや代理店の公式発表です。SNS上の噂や個人ブログだけで判断せず、公式X（旧Twitter）やプレスリリースなど公的情報源をチェックしましょう。
ブッチの代わりになるフード選びのポイント
ブッチに慣れていた犬の場合、急な切り替えで食欲が落ちることもあります。代替フードを選ぶときは、ブッチの特長に近いポイントを意識するとスムーズです。
- 高い嗜好性：香りや食感が豊かで、食いつきのよいタイプ。
- 高たんぱく・無添加：肉中心の原材料構成、人工保存料・着色料不使用。
- ウェットまたはセミモイストタイプ：水分量が多く、食べやすい。
- 安全性の高い製造国：原産国や製造工場の情報が公開されている。
冷蔵保存が不要な国産ウェットフードや、常温保存可能な手作り風フードも選択肢になります。切り替え時は、今のフードと新しいフードを少しずつ混ぜ、数日かけて徐々に移行すると消化器への負担が少なく済みます。
飼い主ができる今後の備え
ブッチの販売終了は、多くの飼い主に「一つのフードに依存するリスク」を教えてくれました。これを機に、次のような備えを意識しておくのがおすすめです。
- いくつかのフードをローテーションして慣れさせておく
- 愛犬に合う“第二候補”を常にストックしておく
- フードが急に手に入らなくなっても慌てないよう情報を定期的にチェックする
- 食いつき・体調の変化を記録して、切り替え時の参考にする
こうした小さな工夫が、急な供給停止にも柔軟に対応できる力になります。
まとめ：ブッチ販売終了の真相と今後の選択肢
「ブッチが販売終了したのは本当？」という疑問に対する答えは、「はい、日本では実質的に販売終了状態」と言えます。原因は、原産国での鳥インフルエンザによる輸入停止、衛生基準の改定、そして日本代理店の撤退。これらが重なり、再販の見込みは当面立っていません。
ただし、ブッチが提供していた価値――高品質な食材、犬の食いつき、水分豊富な設計――は、他のフードでも実現可能です。焦らず、愛犬に合った新しいフードを見つけていくことが大切です。
情報が落ち着くまで、SNSや公式発表をチェックしつつ、少しずつ切り替えを進めましょう。販売終了という残念なニュースも、愛犬の食事を見直す良いきっかけになるかもしれません。
