「ペアコール鼻炎カプセルが最近見かけなくなった」と感じた人は多いかもしれません。サンドラッグのオリジナル医薬品として長年販売されてきたこの鼻炎薬が、実は現在ほとんどの店舗で取り扱いを終了しています。本記事では、ペアコール鼻炎カプセルの販売終了の背景や考えられる理由、そして代わりに選べる市販薬について詳しく整理します。
ペアコール鼻炎カプセルとは？特徴と成分
ペアコール鼻炎カプセルLGプラス（正式名：ペアコール鼻炎カプセルLGプラス）は、ドラッグストア「サンドラッグ」グループが販売していた指定第2類医薬品です。製造は佐藤薬品工業株式会社が担当し、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などによる「鼻づまり」「くしゃみ」「鼻水」「頭重」などの諸症状を緩和する目的で販売されていました。
この薬の特徴は、複数の成分を組み合わせた“総合型”の鼻炎内服薬であること。主な有効成分は以下のとおりです。
- プソイドエフェドリン塩酸塩：鼻づまりを改善する交感神経刺激薬
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩：くしゃみや鼻水を抑える抗ヒスタミン薬
- ベラドンナ総アルカロイド：抗コリン作用により鼻粘膜の過剰な分泌を抑える
- シンイ乾燥エキス（辛夷）：漢方由来の成分で鼻の通りを良くする
- グリチルリチン酸・無水カフェイン：炎症やだるさを軽減する補助成分
1日3回の服用で比較的即効性があり、「鼻の通りが良くなる」「効き目がしっかりしている」と評判を集めていました。
販売終了の情報と現状
2024年以降、ペアコール鼻炎カプセルLGプラスは多くの販売店の棚から姿を消しています。メーカー公式サイトでの新製品ページも削除されており、医薬品データベースやドラッグストア情報サイトでも「製造・販売終了」との記載が確認されています。
SNS上でも次のような投稿が増えました。
「ペアコール鼻炎カプセル、15年愛用してたのに店から消えてる」
「薬剤師さんに聞いたら『材料が入らないみたいですね』って言われた」
さらに、サンドラッグ各店舗のスタッフからも「すでにメーカー出荷が終わっている」「在庫分で終了」との案内があるなど、実質的に販売終了の状態が続いています。
なぜ販売終了になったのか？考えられる3つの理由
公式に「販売終了の理由」は発表されていませんが、薬業界の動向や関連情報から、いくつかの要因が推測されます。
1. 原材料・成分の供給問題
ペアコール鼻炎カプセルにはプソイドエフェドリン塩酸塩やベラドンナ総アルカロイドなど、入手が難しい成分が含まれています。これらの原料は世界的にも供給が不安定になることがあり、製造コストや調達リスクが上昇した可能性があります。
特に近年、プソイドエフェドリンは国際的な規制強化や製造ライン見直しの影響を受けるケースが増えています。そのため、原料確保が困難になったことで製造を継続できなくなった可能性があります。
2. 製造・品質管理のハードル
製造元である佐藤薬品工業は、過去に類似成分を含む鼻炎薬を自主回収した経緯があります。これは溶出試験の結果が規格を超過したためであり、品質管理上の厳格な基準が求められる状況になっていました。
ペアコール鼻炎カプセルLGプラスも同様の成分を含んでいたことから、安定供給や品質確保の難しさが販売終了の一因となった可能性があります。
3. 市場環境の変化
現在の市販鼻炎薬市場では、「眠くなりにくい」「1日1回服用で済む」「アレルギー対応に強い」タイプが主流です。第二世代抗ヒスタミン薬（アレグラFXやアレジオン20など）が人気を集める中、旧来型の“総合鼻炎薬”の需要は減少傾向にあります。
こうした市場動向の変化も、販売終了の判断に影響したと考えられます。
現在の在庫状況と購入の可否
ネット通販サイトでは、2025年現在「在庫なし」「取り扱い終了」「販売停止中」と表示されることが多くなっています。楽天市場やAmazon、サンドラッグ公式オンラインストアなどでも購入は難しく、店頭在庫を偶然見つけるほかありません。
ただし、旧ロット品や転売商品がフリマサイト等で出回っていることがありますが、こうした非正規流通品は品質や保存状態が保証されていません。期限切れや変質のリスクがあるため、使用は避けるのが安全です。
ペアコール鼻炎カプセルの代替薬・後継候補
ペアコール鼻炎カプセルに近い作用を持つ市販薬はいくつか存在します。薬剤師の間でも「これが代わりになる」とされる製品がいくつか挙げられています。
ビエンリックSRシリーズ
ビエンリックK錠やビエンリックSRは、ペアコール鼻炎カプセルと同系統の成分を含む市販薬です。プソイドエフェドリン塩酸塩やd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を配合しており、鼻づまりやくしゃみ・鼻水を総合的に抑えます。服用感が近いと感じる人も多いようです。
パブロン鼻炎カプセルSα
大正製薬の人気鼻炎薬で、効能や成分バランスが似ています。服用は1日2〜3回。鼻の通りを早く改善したい人には向いています。
アレグラFX／アレジオン20
これらは近年主流となっている「第二世代抗ヒスタミン薬」です。眠気が少なく、花粉症やアレルギー性鼻炎に長期間使用しやすい特徴があります。ただし、鼻づまりにはやや弱い傾向があります。
代替薬選びのポイント
代替薬を選ぶ際は、以下の点を意識しましょう。
- 鼻づまり中心か、くしゃみ・鼻水中心か
- 眠気の出やすさ（運転・勉強の有無）
- 服用回数（1日1回か3回か）
- 他の薬との飲み合わせ
特に、プソイドエフェドリンを含む薬は競技ドーピング対象成分になる場合があります。スポーツ選手や大会出場者は薬剤師に必ず相談しましょう。
愛用者の声と再販の可能性
SNSや口コミでは、「効き目が強くて手放せなかった」「他の薬では代わりにならない」という声も多く見られます。一部では「似た処方の新商品が出るらしい」という情報も出回っていますが、公式発表はありません。
ドラッグストア業界では、店舗オリジナル医薬品（PB医薬品）のリニューアルや名称変更が定期的に行われるため、将来的に同系統の後継薬が登場する可能性はあります。ただし、現時点では再販や新製品に関する情報は確認されていません。
鼻炎薬を選ぶ際の注意点
鼻炎薬は一時的な症状緩和を目的としたものが多く、根本的な治療薬ではありません。長期間続く鼻づまりや頭重感がある場合は、耳鼻科を受診して原因を確認することが大切です。
また、指定第2類医薬品は副作用や併用注意も多いため、以下の点に気をつけて使用しましょう。
- 高血圧・心臓病・糖尿病・甲状腺機能障害のある人は事前に相談
- 他の抗ヒスタミン薬との併用は避ける
- 長期間連用しない
- 眠気が出る場合は車の運転や機械操作を控える
薬剤師や登録販売者に症状を伝え、自分の体質や生活スタイルに合った薬を選ぶことが重要です。
ペアコール鼻炎カプセル販売終了のまとめ
ペアコール鼻炎カプセルは、長年親しまれてきたサンドラッグの定番鼻炎薬でしたが、現在は製造・販売が終了しています。
主な背景としては、原材料の供給難・品質管理の厳格化・市場構造の変化などが重なった可能性が高いとみられます。
代替薬を選ぶ際は、成分や使用目的を比較しながら、薬剤師と相談のうえで自分に合ったものを選びましょう。
今後、同様の成分構成を持つ後継品が再登場する可能性もありますが、現時点では明確な情報はありません。
鼻炎に悩む人にとっては残念なお知らせですが、他にも選択肢は多数あります。焦らず、安全に、そして自分の体に合った薬を見つけていくことが大切です。
