「プジョー508が販売終了らしい」というニュースを耳にして驚いた方も多いのではないでしょうか。スタイリッシュなデザインと上質な走りで人気を集めたモデルだけに、その動向は気になるところです。この記事では、プジョー508の販売終了・生産終了に関する最新情報と、その背景にある理由、さらに今後登場が予想される新モデルについて詳しく解説します。
プジョー508とはどんな車？人気の理由を振り返る
プジョー508は、フランスの自動車メーカー「プジョー」が手掛けるミドルクラスのセダン／ファストバックです。初代は2010年に登場し、2018年に発表された2代目では大胆なデザイン刷新が行われました。低く構えた流麗なフォルムと、ライオンの牙をモチーフにしたデイタイムランニングライトは、登場時から話題を呼びました。
特に日本では「輸入車らしい個性」と「上質な内装」「滑らかな乗り味」が支持され、国産セダンとは異なる魅力を求めるユーザーに人気でした。ワゴンタイプの「プジョー508 SW」も導入され、スタイルと実用性を両立したモデルとして一定のファンを獲得してきました。
プジョー508が販売終了といわれる理由
2024年以降、欧州市場や一部の海外メディアでは「プジョー508が販売終了」「生産が終了する」という報道が相次ぎました。その背景には、いくつかの明確な理由があります。
1. EVシフトと環境規制への対応
まず最も大きな要因は、世界的に進む電動化への流れです。欧州では2035年までにガソリン・ディーゼル車の新車販売を実質的に禁止する方針が示されており、多くのメーカーが電気自動車（EV）やプラグインハイブリッド（PHEV）への転換を加速しています。
プジョーも例外ではなく、母体であるステランティスグループは「2030年までに欧州での販売車種をほぼ電動化する」という方針を発表しています。そのため、従来型エンジンを中心とするプジョー508の生産・販売を段階的に縮小する動きが進んでいるのです。
2. 市場競争の激化と販売実績の低下
もうひとつの理由は、市場競争の激化による販売台数の減少です。欧州市場ではSUV需要が急拡大し、従来のセダン市場は縮小傾向にあります。日本でもSUV人気が続いており、「3008」や「5008」といったプジョーのSUVシリーズのほうが販売の中心になっています。
英国の自動車メディアでは、「プジョー508はこれまでに約7,000台しか売れていない」と報じられ、販売面で苦戦していたことがうかがえます。こうした状況の中で、メーカーとしても限られたリソースを次世代モデルに集中させる判断を下したと考えられます。
3. モデルライフの終盤とラインナップ整理
2代目プジョー508は2018年の登場からすでに6年以上が経過しており、通常の自動車モデルライフサイクルとしても後期に差し掛かっています。2023年にはマイナーチェンジ（フェイスリフト）が行われましたが、次期モデルへの移行準備が進んでいると見られます。
プジョーは2024年に「新型E-3008」など電動SUVを投入しており、ブランド全体でモデル整理を進行中。プジョー508のような伝統的セダンモデルは、EV時代に向けた再構築の過程で一度ラインナップから姿を消す可能性が高いのです。
生産終了時期はいつ？国や市場による違いも
欧州の生産拠点では、プジョー508の生産は2024年末〜2025年春ごろにかけて終了する予定とされています。フランス語版ウィキペディアでは「2025年5月12日まで生産」との記載もあり、少なくとも2025年春をもって一区切りとなる見通しです。
一方、日本市場では少し異なる動きを見せています。2024年2月には、最新のマイナーチェンジ版「新型プジョー508」が発売されました。価格は約750万円からと高級モデル寄りですが、最新のインフォテインメントシステムを搭載し、内外装のデザインも一新されています。
ただし、これは「モデル末期の改良版」とも言える内容であり、次期モデルが登場するまでの繋ぎ的な意味合いが強いと考えられます。現時点では日本公式サイト上で販売継続が確認できますが、グローバルでの生産終了を踏まえれば、国内向け販売も時間の問題といえるでしょう。
新型モデルは登場する？次期プジョー508の方向性
では、販売終了後のプジョー508に代わるモデルは登場するのでしょうか。現時点で公式な発表はありませんが、複数の業界関係者や海外メディアの報道から、いくつかの可能性が見えてきます。
EVまたはPHEVへの完全移行
次期プジョー508は、電動化を前提としたモデルになる可能性が高いと見られています。すでにプジョーは「E-308」「E-3008」など、完全EVラインナップを展開中です。その流れを踏まえると、508クラスの後継車もEVプラットフォーム（STLA Mediumなど）を採用し、「E-508」といった名称で登場する可能性があります。
セダンからファストバックSUVへ？
欧州では、伝統的な4ドアセダンよりもクロスオーバー的なデザインが主流になりつつあります。そのため、次期モデルは「セダン的シルエットを持つSUV」や「ファストバッククーペSUV」として再定義される可能性も。プジョーのデザイン言語を活かしつつ、新しい時代に合わせたボディスタイルになると予想されます。
発表時期の目安
プジョーはおおむね7〜8年周期でフルモデルチェンジを行っており、現行プジョー508（2018年登場）から考えると、2025〜2026年頃に新モデルが登場してもおかしくありません。EVシフトが進むこのタイミングで、ブランドの象徴となる次世代フラッグシップとして再登場する可能性も十分にあります。
今後のオーナーへの影響と注意点
すでにプジョー508を所有している人や、これから中古で購入を検討している人にとっても、販売終了のニュースは無関係ではありません。
- アフターサービスの継続
販売終了後も一定期間は純正部品の供給や整備体制が維持されます。プジョー／シトロエン正規ディーラーでは長期サポートを明言しているため、すぐに困ることはありません。 - 中古車市場での価格変動
モデル末期となると、新車在庫の値引きが進む一方で、希少グレードや限定仕様は中古市場で価値が上がるケースもあります。特に「508 GT」や「First Edition」などはコレクター人気が高く、今後プレミア化する可能性も。 - 電動化時代とのバランス
内燃機関モデルとしてのプジョー508は、今後ますます希少になります。静粛性や質感の高さに魅力を感じるユーザーにとっては、あえて「最後の純ガソリン車」として所有する価値があるとも言えるでしょう。
プジョー508販売終了は時代の転換点
プジョー508の販売終了は、単なるモデルチェンジではなく、自動車業界全体の転換点を象徴する出来事といえます。環境規制の強化とEV化の波の中で、従来型のセダンが次々と姿を消していく現実。その一方で、デザイン性や走行フィールといった“クルマの本質的な楽しさ”を再定義する動きも進んでいます。
プジョー508は、プジョーが培ってきた美意識と走りの哲学を体現した1台でした。たとえ現行モデルが幕を閉じたとしても、そのDNAは次の時代へと受け継がれていくはずです。
次に登場する「新世代のプジョー508（仮称）」がどんな姿で現れるのか——。電動化が進む中でも、フランス車らしいエスプリを忘れないモデルとして、再び注目を集める日が来ることでしょう。
プジョー508が販売終了の理由は？生産終了後の行方を見守ろう
プジョー508の販売終了は、時代の流れの中で避けられない選択でした。環境規制や市場トレンドに対応するためのEVシフトという大きな目的が背景にあります。それでも、多くのファンに愛されてきたプジョー508の存在感は色あせません。
今後登場するであろう新世代モデルが、プジョーの新しい象徴としてどのように進化していくのか——その行方を楽しみに待ちたいところです。
