プラモデルを組み立てている人なら、一度は「Mr.セメントSP（スーパーパワー）」という名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。ガンプラやスケールモデルを作るうえで定番の接着剤でしたが、最近になって「店頭で見かけない」「販売終了したのでは？」という声が増えています。この記事では、ミスターセメントSPの現状と、代用品として注目される接着剤を徹底調査しました。
ミスターセメントSPとは？その特徴をおさらい
Mr.セメントSP（スーパーパワー）は、GSIクレオスの「Mr.HOBBY」ブランドから発売されていたプラスチックモデル用接着剤です。正式名称は「Mr.セメントSP（スーパーパワー）」で、型番はMC131。見た目は四角い瓶入りで、細い筆が付いた蓋が特徴的でした。
特徴を簡単にまとめると、
- 流し込みタイプの低粘度接着剤
- 接着面に毛細管現象で素早く流れ込む
- 乾燥が早く、強力な溶着力を発揮する
という性質を持っています。従来の「Mr.セメントS（流し込みタイプ）」よりも溶剤が強く、乾燥時間も短いため、プロモデラーや上級者からの評価が高かった製品です。
ただし、「強すぎる接着力」が裏目に出ることもありました。パーツのテンションがかかった状態で使うと割れてしまう、位置調整の余裕がほとんどないなど、初心者には扱いが難しい一面もありました。
販売終了の噂は本当？公式サイトと流通の実態
ここ数年、ネットやSNSで「ミスターセメントSP（スーパーパワー）が販売終了になった？」という声が急増しています。結論から言えば、メーカーのGSIクレオスは「生産終了」を正式に発表していません。
公式サイト「Mr.HOBBY」の製品ページを見ると、現在も「MC131 Mr.セメントSP」「MC132 Mr.セメントSPB（ブラック）」の項目は掲載されています。ただし、他の製品には「生産終了」と明記されているものもあるため、「SPシリーズだけ表記が残っているが実際には流通していないのでは？」という憶測が出ています。
実際、模型店やネット通販を確認すると次のような傾向があります。
- 店舗では在庫がなく、入荷未定の表示が目立つ
- 通販では在庫限り・プレミア価格化している
- 一部の店舗では「瓶形状・価格変更で再入荷予定」との情報もあり
特に2024年頃から、SPを見かける機会が極端に減ったという報告が増えました。中には「ここ数年ずっと入荷していない」「リニューアル準備中では」と推測するショップもあります。
つまり現時点では、「公式に廃盤とはされていないが、実質的に市場から消えている」状態といえます。
なぜ品薄・販売終了状態に見えるのか
この接着剤が入手困難になっている背景には、いくつかの要因が考えられます。
1. 原材料や法規制の影響
模型用接着剤は有機溶剤を多く含むため、化学物質に関する規制が年々厳しくなっています。環境基準や安全基準の見直しによって、成分や製造工程を変更せざるを得ないケースがあります。これが一時的な生産停止につながっている可能性があります。
2. 生産ラインの見直し
クレオスでは接着剤・塗料・工具など多くの製品を展開しており、人気製品でも製造ラインの調整が入ることがあります。ビンの形状変更や価格改定が予定されているとの情報もあり、旧仕様のSPが一時的に姿を消しているとも考えられます。
3. 需要変化と在庫偏り
模型市場ではガンプラ人気が続く一方で、接着剤不要のスナップフィットキットが主流になりつつあります。接着剤の需要が相対的に減ったことで、各店舗が仕入れを抑えている面もあるでしょう。その結果、在庫の地域差が大きくなり、「売っていない」と感じる人が増えていると考えられます。
模型愛好家の反応と口コミ
SNSや掲示板では、Mr.セメントSP（スーパーパワー）を惜しむ声が多く上がっています。
「あの速乾性と強さがよかったのに、もうどこにもない…」
「SPでしか出せない“ピタッと感”が恋しい」
「在庫を見つけたら即買いするレベル」
一方で、「SPは強すぎて扱いにくい」「普通のセメントSで十分」という意見もありました。つまり、全ユーザーが必須と感じているわけではないものの、上級者やディテール重視の人ほどSPを求める傾向があります。
ミスターセメントSPの代用品として注目される接着剤
では、SPが手に入らない今、どんな代替品が選ばれているのでしょうか。模型愛好家たちが実際に使っている代表的な接着剤を紹介します。
Mr.セメントS（流し込みタイプ）
同じクレオス製で、SPの兄弟的な存在です。
SPほどの速乾性や強接着力はないものの、扱いやすさと安定感に優れています。隙間に流し込むような用途では十分代用可能で、初心者にもおすすめです。溶剤臭は強めですが、換気をすれば問題ありません。
ガイアセメントQS
ガイアノーツの「QS（Quick Strong）」は、SPに近い速乾性と強度を持つ流し込みタイプ。2020年代以降に人気が高まり、現在では“SPの代わり”として定着しつつあります。
接着力が高く、クリアパーツ以外のプラ素材なら幅広く対応。使い心地も近いと評判です。
タミヤ セメント流し込みタイプ
タミヤの定番接着剤。乾燥はやや遅めですが、広い面積の貼り合わせや仮組み後の補強に最適です。
「SPほど速く固まらない＝位置調整がしやすい」という点で、初心者にはむしろこちらの方が扱いやすいという声もあります。
接着剤を選ぶときのポイント
代用品を探すうえで大切なのは、「自分の製作スタイル」に合った接着剤を選ぶことです。
- 細部・スジ彫り・合わせ目消し中心なら → 低粘度タイプ（SPやQSなど）
- 大面積・補強・構造パーツ中心なら → 高粘度・刷毛塗りタイプ
- ABSやクリア素材など特殊素材には → 専用接着剤（リモネン系・瞬着など）
また、どんな製品でも換気と安全対策は必須です。溶剤臭が強い製品はマスク着用・十分な換気を心がけましょう。
今後の再販やリニューアルの可能性
一部の模型店の情報では、「Mr.セメントSP（スーパーパワー）は瓶形状と価格を変更して再出荷予定」との話も出ています。現時点で公式アナウンスはありませんが、完全廃盤ではなく“リニューアル待ち”の状態かもしれません。
GSIクレオスは過去にも、瓶デザインや成分を改良して再販した製品があります。そのため、SPも近いうちに仕様変更版として復活する可能性は十分に考えられます。
今のうちに代用品を確保しつつ、再販のニュースを待つのが現実的な対応といえます。
ミスターセメントSPが販売終了？まとめと今後の選択肢
まとめると――
- 公式には「生産終了」の発表はない
- 店頭では長期にわたり入荷が止まり、実質的に販売終了状態
- 原材料・規制・生産調整などが背景にある可能性
- 代用品として「Mr.セメントS（流し込みタイプ）」「ガイアセメントQS」などが人気
- 一部ではリニューアル再販の噂もあり、今後の展開に注目
Mr.セメントSP（スーパーパワー）が手に入りにくい現状は、模型愛好家にとって確かに痛手です。しかし、模型業界では常に新しい製品が登場しています。自分の作風や目的に合わせて、別の接着剤を試すチャンスでもあります。
「SPがないから作れない」ではなく、「今あるものでどう工夫できるか」。それこそがモデラーの楽しみでもあります。今後の再販情報をチェックしつつ、納得できる接着スタイルを見つけていきましょう。
