風邪をひいたとき、胸やのどに塗るだけでスッと呼吸が楽になる――そんな“塗るかぜ薬”として親しまれてきた「ヴェポラッブ」。その中でも、チューブタイプの使いやすさに魅力を感じていた方も多いのではないでしょうか。ところが最近、「ヴェポラッブチューブが売っていない」「販売終了したらしい」という声が急増しています。
この記事では、その真相と背景、さらに今後の復活の可能性や代替品について詳しく解説します。
ヴェポラッブチューブとは？どんな製品だったのか
「ヴェポラッブチューブ」は、大正製薬が販売していた医薬部外品「ヴイックス ヴェポラッブ」シリーズの一つです。
胸・のど・背中に塗ることで、メントールやユーカリ油、カンフルなどの成分が体温で蒸発し、鼻づまりや咳などの不快な症状を和らげてくれる塗布型の風邪薬でした。
特にチューブタイプは、瓶タイプと違って手を汚さずに押し出して塗れる点が人気。携帯にも便利で、外出先でも使いやすい仕様として支持されていました。
ヴェポラッブチューブが店頭から消えた？販売終了の事実
SNSや口コミサイトでは、2024年ごろから「チューブタイプがどこにも売っていない」「棚から消えた」という投稿が相次いでいました。
そして2025年7月、大正製薬が公式に「ヴイックス ヴェポラッブ」シリーズの販売終了を発表。瓶タイプ（50g・100g）だけでなく、チューブタイプ（80g）も含め、2025年9月30日をもって国内での販売を終了することが明らかになりました。
この発表により、「ヴェポラッブチューブは正式に販売終了」となったのです。現在は多くのドラッグストアや通販サイトでも「販売終了」または「在庫限り」の表記が見られます。
なぜヴェポラッブチューブは販売終了になったのか？
公式発表では「販売終了の理由」は明記されていませんが、業界関係者や報道から複数の要因が推測されています。
1. ブランド契約・販売体制の変更
「ヴイックス ヴェポラッブ」ブランドは世界的にP&G（プロクター・アンド・ギャンブル）が展開しています。
大正製薬は日本国内でその販売を担当していましたが、2025年の発表で「当社による販売は終了し、P&G社が新たな販売体制を準備中」と明記されています。
つまり、ブランドの国内販売権が見直され、移管や再編の準備が進められている可能性があります。
2. 製造コストと採算性の問題
チューブタイプは利便性が高い一方で、瓶タイプよりも容器コストや製造ラインの維持コストがかかるとされます。
使用頻度が家庭内中心の瓶タイプに比べると、携帯用のチューブは需要が限定的で、採算面で不利だった可能性も指摘されています。
3. 品質・安全管理上の課題
2021年にはヴェポラッブ製品の一部で「有効成分の含量低下」による自主回収が実施されたことがありました。
安全性への影響は小さいとされましたが、この出来事を契機に品質管理や製造体制を見直し、パッケージ構造の複雑なチューブタイプを整理した可能性があります。
4. 市場環境の変化
最近では、風邪薬の服用形態も多様化しており、「貼るタイプ」「スティック型」「吸入タイプ」など新しい商品が増えています。
こうした競合製品の台頭もあり、従来のチューブ型の需要が減少したとも考えられます。
5. 製品ポートフォリオの整理
メーカーとしても、販売数が限られる製品よりも、主力製品（瓶タイプ）に注力する方が効率的です。
チューブはあくまで派生モデルのため、ブランド全体の再編に合わせて整理対象になったと見るのが自然でしょう。
チューブタイプが特に早く消えた理由
同じヴェポラッブシリーズの中でも、チューブタイプが真っ先に姿を消したのには理由があります。
- 流通量が少なかった：チューブは店舗あたりの在庫数がもともと少なく、品薄になりやすい。
- 製造ラインが限定的だった：瓶タイプと生産工程が異なるため、優先順位が低かった可能性。
- 使用シーンが限定的：家庭常備薬として瓶を選ぶ人が多く、チューブは外出・携帯用途中心で売上が限られていた。
このため、在庫がなくなるのも早く、2024年後半にはほとんどの販売店から姿を消しました。
復活や再販の可能性はある？
希望を持てるニュースもあります。
大正製薬の発表には「今後の販売についてはP&G社が新たなパートナーシップのもと準備を進めている」と記載されています。
つまり、ヴェポラッブブランド自体が日本から完全に撤退するわけではなく、再販・リニューアル登場の可能性が残されているのです。
ただし、現時点（2025年11月）では、再販時期や新体制について具体的な発表は出ていません。
チューブタイプが同じ仕様で復活するかどうかも未定ですが、海外ではスティック型やジェルタイプなど新しい形状の製品もあるため、形を変えて再登場する可能性があります。
チューブが手に入らないときの代替品
では、ヴェポラッブチューブが入手できない今、どうすればよいのでしょうか。ここでは代替となる選択肢を紹介します。
1. 瓶タイプのヴェポラッブを使う
もっとも確実なのは、同シリーズのヴェポラッブ瓶タイプ50g・ヴェポラッブ瓶タイプ100gを利用する方法です。
成分や効能はチューブとほぼ同じ。違うのは容器形状だけです。
携帯性や手軽さでは劣りますが、家庭用としての使用には問題ありません。
使用する際は、綿棒やスパチュラを使うと手を汚さずに塗布できます。
2. 他社の塗布型・吸入型の風邪ケア製品
メントール系の塗布剤や、ユーカリ成分を含むアロマバームなども同様の清涼感を得られます。
ただし、医薬部外品と雑貨では効能・効果の扱いが異なるため、使用目的に応じて薬剤師や販売員に相談すると安心です。
3. 海外版ヴェポラッブを並行輸入で購入
アメリカなどでは今もヴェポラッブが販売されています。瓶タイプを中心に、スティック型やジェル型など多彩なラインナップがあります。
並行輸入品を利用する場合は、成分や対象年齢、用法が日本版と異なることがあるため、必ずラベルを確認しましょう。
ヴェポラッブチューブ販売終了に対するユーザーの声
SNS上では、「子どもの頃から使っていたのに残念」「手を汚さずに塗れるのが良かった」と惜しむ声が多く見られます。
特に小さな子どもの胸や背中に塗る際、チューブ式の利便性を感じていた保護者からの支持が高かったことが分かります。
一方で、「瓶タイプでも代わりになる」「復活を期待して買いだめした」という反応もあり、長年親しまれてきたブランドの存在感の大きさが伺えます。
ヴェポラッブチューブ販売終了まとめ：なぜ？今後どうなる？
「ヴェポラッブチューブが販売終了した理由は？」という疑問に対して、結論をまとめると以下の通りです。
- 大正製薬による国内販売が2025年9月で終了
- P&G社によるブランド再編が進行中で、今後の販売体制は未定
- 製造コスト・需要減・品質管理など複数要因が背景
- 現時点では再販情報なしだが、リニューアル再登場の可能性あり
- 代替品としてはヴェポラッブ瓶タイプや他社の塗布剤が現実的
使い慣れたチューブがなくなるのは残念ですが、ヴェポラッブというブランド自体は今後も続く見込みです。
再販が発表されるまでは、瓶タイプを活用したり、他の製品で代用しながら待つのが良いでしょう。
長年にわたり冬の定番として親しまれてきたヴェポラッブチューブ。販売終了は一つの節目ですが、その清涼感と安心感を求める声が多い限り、きっと何らかの形で戻ってくる日が訪れるはずです。
