近年、「月食奇譚が販売終了した」「どこにも売っていない」という声がSNSで相次いでいます。特にファンの間では、なぜこの作品が市場から姿を消したのか、そして再び手に入る日は来るのか――その行方が注目されています。ここでは、販売中止の背景から再販の可能性まで、現在わかっている情報を整理して解説します。
月食奇譚とはどんな作品なのか
『月食奇譚』は、春泥（しゅんでい）先生によるBL作品で、茜新社から2017年に刊行されました。独特の幻想的な作風と繊細な心理描写で人気を集め、同作者の代表作『ガンバレ！中村くん！！』と並んで高く評価されています。
しかし現在、この『月食奇譚』は主要通販サイトで新品の取り扱いがほとんどなく、電子書籍版も配信終了。ファンの間では「販売中止なのでは？」「絶版になった？」という声が広がっています。
月食奇譚が販売終了と言われる理由
1. 出版社との契約満了の可能性
書籍の販売が終了する一番多い理由は、出版社と著者の契約期間満了です。出版契約には一定の販売期間が設定されることが多く、期間が過ぎたあとに契約を更新しない場合、出版社は販売を続けることができません。
実際、『月食奇譚』も電子書籍の配信終了が確認されており、「契約更新が行われなかった可能性」が最も有力だとみられています。特に電子版配信が2024年3月に終了していることから、出版社とプラットフォームの契約が切れたか、作者側の意向で配信停止になった可能性があります。
2. 流通在庫の枯渇と重版未実施
次に考えられるのが、在庫切れによる流通停止です。書籍は初版が売り切れても一定の需要があれば重版（増刷）が行われますが、売れ行きが鈍ると出版社は在庫リスクを避けるため重版を見送ります。
『月食奇譚』もブックオフや通販サイトでは「在庫なし」「入荷お知らせ待ち」と表示されており、流通在庫が完全に尽きた状態になっています。新品が市場に出回らないことから、事実上の絶版状態になっていると考えられます。
3. 出版社側の販売戦略変更
茜新社は成人向けやBLジャンルの作品を多く手がけていますが、市場環境や販売方針の変化により、特定作品の流通を縮小することもあります。近年では電子書籍の規制強化やレーベル再編などの影響で、作品の取り扱いを見直す出版社も少なくありません。
『月食奇譚』もジャンル的に繊細なテーマを扱っているため、出版社が販売方針を調整した可能性があります。
4. 電子配信契約の終了
電子書籍が配信停止になる背景には、配信契約の終了が深く関わっています。出版社が電子書籍ストアとの契約を更新しなかった場合、作品は自動的に配信停止となります。『月食奇譚』も2024年春をもって配信が終了しており、契約満了による停止の可能性が高いです。
5. 著者または出版社の意向による販売停止
最後に、著者本人や出版社の意向による停止も考えられます。作品の内容改訂、新装版の企画、あるいは他媒体での再構成など、再リリースを前提とした一時的な販売停止というケースも存在します。
春泥先生は他作品がアニメ化されるなど活動が活発で、『月食奇譚』の再構成や再販の準備が進んでいる可能性も否定できません。
過去に「増刷」された実績もある
興味深いのは、茜新社の公式アカウントが2019年に「『ガンバレ！中村くん！！』『月食奇譚』が増刷されました！」と発表していたことです。つまり、過去には明確に重版が行われており、一定の需要があったことがわかります。
ただしその後、再度市場から姿を消しているため、短期間の限定流通だった可能性があります。限定部数での再販や書店限定の取り扱いは、BLレーベルでは珍しくありません。
再販や復刻の可能性はある？
では、今後『月食奇譚』が再販される可能性はあるのでしょうか。現状を踏まえると、いくつかのシナリオが考えられます。
1. 通常重版による再販
最もシンプルなのは、出版社が再び重版を決定し、通常の書店ルートで販売を再開するケースです。過去に増刷実績があるため、需要が再確認されればこのシナリオは十分あり得ます。
2. 限定販売・予約再販
BL作品では、出版社が「予約限定」や「イベント限定」で再販を行うことがあります。事前予約数に応じて印刷部数を決める方式で、在庫リスクを抑えられるため現実的です。もし出版社公式サイトやSNSで再販アンケートなどが実施されれば、チャンスは大きいでしょう。
3. 電子書籍での再配信
紙の重版が難しくても、電子版の再配信は比較的ハードルが低いです。電子契約を新たに結び直すことで、再配信が実現する可能性もあります。過去に配信されていた実績があるため、再配信の環境は整っています。
4. 新装版・復刻版としての再登場
人気作や話題作では、後に「新装版」「特装版」として再刊されることもあります。表紙デザインや描き下ろし特典を加えた復刻版として再登場すれば、ファンの注目を集めるでしょう。
現在の入手方法と注意点
今すぐに『月食奇譚』を手に入れたい場合、以下の方法が考えられます。
- 中古市場で探す：Amazonやメルカリ、駿河屋などの中古販売サイトで出品されていることがあります。価格はプレミア化しており、通常価格の数倍に上がっている場合もあります。
- 古書店での在庫確認：ブックオフオンラインやまんだらけなど、BL作品を扱う中古書店で入荷情報をチェックしておくと、再入荷のタイミングで購入できる可能性があります。
- 出版社や作者の公式情報を追う：茜新社や春泥先生のSNSをフォローし、重版や電子配信の再開情報を見逃さないことが重要です。
中古市場での高額取引には注意が必要です。転売目的の出品も見られるため、信頼できる販売元からの購入をおすすめします。
ファンの声と再販への期待
SNSや掲示板では、「月食奇譚の世界観が好き」「再販してほしい」という声が多数投稿されています。特に、春泥先生の作品は海外ファンも多く、英語圏での需要も確認されています。出版社にとっても再販のメリットは大きく、今後の動きに期待が集まります。
また、同作者の他作品『ガンバレ！中村くん！！』がアニメ化された際には、原作コミックが再注目され重版がかかりました。こうした流れから、『月食奇譚』も今後のタイミングで再販が行われる可能性は十分にあります。
まとめ：月食奇譚は本当に販売終了？再販の可能性は残されている
現在、『月食奇譚』は新品が入手できない状態で、電子書籍も配信停止となっています。形式的には「販売終了」と言えますが、過去に増刷実績がある点、そして作者・出版社双方の活動状況を考慮すれば、完全な終売ではなく「一時的な流通停止」と見ることもできます。
再販を望む読者は多く、出版社の判断次第で復刻や電子配信再開の可能性は十分残されています。これから購入を検討している人は、春泥先生や茜新社の公式発表をこまめにチェックしつつ、重版の報を待つのが賢明でしょう。
『月食奇譚』はなぜ販売終了？――その答えはまだ完全には明かされていません。しかし、作品への愛と再販を願う声が途切れない限り、再び本棚に戻ってくる日が訪れるかもしれません。
