「ペルツォフカって知ってる?」と聞かれたら、少し通なウォッカ好きなら「唐辛子入りのあのスピリッツだよね」と答えるかもしれません。
けれど、最近このペルツォフカが「終売」として店頭から姿を消したことを知っている人は、意外と少ないのではないでしょうか。
今回は、そんな伝説的ウォッカ「ペルツォフカ」がなぜ終売になったのか、その特徴や魅力、そして今からでも手に入る方法を詳しく紹介します。
ペルツォフカとは?ロシア・ウクライナの“唐辛子ウォッカ”
ペルツォフカ(Pertsovka)は、ロシア語の「перец(ペレツ)」=“唐辛子”に由来する名前。
つまり「唐辛子入りウォッカ」のことです。ウォッカに赤唐辛子、黒コショウ、クベバペッパーなどを漬け込み、香りと辛味を移したフレーバードスピリッツ。
透明なウォッカとは一線を画す、琥珀色のスパイシーな一本として知られています。
アルコール度数はおよそ35%。ロシアやウクライナでは昔から“身体を温める酒”として冬の定番でした。
ストレートでショットとして飲むと、喉がカッと熱くなり、そのあとに唐辛子のピリッとした刺激とウォッカの切れ味が広がる――そんな独特の体験が味わえるお酒です。
日本でも一部のバーや酒販店で扱われており、ラベルには赤い唐辛子のイラストが描かれているものが多く、見た目からして“辛口”の雰囲気を漂わせていました。
ペルツォフカが終売になった背景
そんな個性派ウォッカ、ペルツォフカが「終売」となったのはいつ頃なのでしょうか。
日本の酒販店の情報を追うと、少なくとも数年前から「終売」「入手困難」との表記が目立ち始めています。
ある販売店では「数年前に終売となり、現在入手困難」と明記されており、また別の店では「終売(K)」とラベル付きで掲載されていました。
つまり、公式な製造終了や輸入停止に近い状態になっていることがうかがえます。
海外の情報をたどると、2000年代初頭に製造元が税金問題で生産停止に追い込まれたという説もあり、これが終売の引き金になった可能性があります。
また、ロシア・ウクライナの政情や輸出入規制の影響で、スピリッツ全体の流通が不安定になっている時期もありました。
フレーバードウォッカというニッチなカテゴリであったことも、継続生産が難しかった要因と考えられます。
とはいえ、SNSでは「ペルツォフカが復活!」という投稿も見られ、一部では限定的な再輸入や復刻があったようです。
ただし、現在のところ日本国内では継続的な流通は確認できず、一般には「終売扱い」と言って差し支えないでしょう。
ペルツォフカの味と香り――“飲む香辛料”の異名
ペルツォフカ最大の魅力は、やはりその刺激的な味わいです。
グラスに注ぐと、透明ではなく、少し琥珀がかった色合い。
香りはウォッカ特有のアルコール感に加えて、黒コショウや唐辛子の鋭いスパイスが立ち上がります。
口に含むと最初は滑らかですが、すぐに舌の上でピリッとした刺激が広がり、喉を通るときにはじんわりと熱を感じます。
これは唐辛子や黒コショウを漬け込んでいるからこその風味で、一般的なウォッカでは味わえない体験です。
飲み方としては、冷凍庫でよく冷やしてショットで飲むのが基本。
ストレートでスパイス感を楽しむもよし、トマトジュースで割って“スパイシーブラッディメアリー”風にするのもおすすめです。
寒い夜に少しずつ舐めるように飲めば、身体の芯から温まる――まさに“飲む香辛料”です。
終売による希少化とコレクター人気
ペルツォフカが終売となった今、酒好きの間では“幻のウォッカ”として語られることも増えています。
特に、終売直前に流通していたロシア産500mlボトル(アルコール度数35%)は、すでに店頭では見かけません。
古酒専門店やオークションサイトでは高値で取引されることもあり、コレクターズボトルの仲間入りを果たしています。
一方で、似た名前の「ペルツォフカ720ml」という後継版が一時期登場しましたが、ユーザーの間では「香りも味も別物」という声が多く、旧ペルツォフカとは異なる製品とされています。
つまり、本来の“唐辛子漬けウォッカ”としての味を楽しめるのは、終売前のオリジナル版のみということになります。
終売品がここまで注目されるのは、それだけ個性的で代えがたい存在だった証拠。
「辛いウォッカなんて珍しい」と手に取った人が、その強烈な印象を忘れられない――そんな魅力がペルツォフカにはありました。
ペルツォフカを手に入れる方法
「もう買えないの?」と思う人もいるかもしれませんが、実はまだ入手のチャンスはあります。
以下のような方法を探ってみましょう。
- 海外の古酒専門店や輸入サイトをチェックする
イギリスなどでは1970年代製造のペルツォフカがヴィンテージスピリッツとして販売されています。
ただし、アルコール輸入には法的な手続きや関税が必要な場合もあるため、自己責任での対応が求められます。 - 国内のバーで取り扱いがあるか確認する
一部のクラシックバーでは、昔からのストックを保管していることがあります。
マスターに「ペルツォフカありますか?」と聞いてみると、貴重な一杯に出会えるかもしれません。 - 中古ボトル・オークションを活用する
終売後も、コレクターや愛飲家が出品するケースがあります。
ただし、未開封かどうか、保存状態は良好かなどをしっかり確認しましょう。 - 再輸入や限定復刻を待つ
かつてSNSで「ペルツォフカが復活!」という投稿が話題になったように、限定的な再流通の可能性はゼロではありません。
酒販店のニュースやSNSをこまめにチェックしておくと良いでしょう。
ペルツォフカは終売品でありながら、ファンの熱量が高く、再販を望む声も少なくありません。
もし再び登場することがあれば、今度こそ手に入れたいと思っている人は多いはずです。
代替となるスパイス系ウォッカも注目
ペルツォフカが入手困難になった今、似たテイストを楽しみたい人は「スパイス入りウォッカ」や「ペッパーウォッカ」を探してみるのもおすすめです。
たとえば、ポーランドやバルト系ブランドのスパイスフレーバーウォッカは、同じくピリッとした辛味と香ばしさを持っています。
また、自家製で唐辛子をウォッカに漬け込んで「簡易ペルツォフカ」を再現することも可能です。
小さな瓶に唐辛子を1〜2本入れて1週間ほど置くだけで、辛味と香りが移ります。
自分好みのスパイス量を調整できるので、“自家製伝説”を作る楽しみもありますね。
ペルツォフカが残した“伝説”とは
ペルツォフカは、単なるフレーバードウォッカではありません。
その存在は、ロシア・ウクライナの酒文化の象徴であり、寒さを乗り切るための知恵でもありました。
そして日本では「知る人ぞ知る一本」として、愛好家の間で語り継がれています。
終売によって市場から姿を消した今でも、ペルツォフカを懐かしむ声は絶えません。
“辛口だけど温かい”“刺激的だけど優しい”――そんな二面性を持ったお酒だったからこそ、多くの人の記憶に残っているのでしょう。
ペルツォフカ終売の今こそ、再評価のとき
ペルツォフカ 終 売という言葉を聞くと、少し寂しさを感じます。
でも、それは名品が愛された証でもあります。
終売になった今だからこそ、その魅力をもう一度見直し、次に出会えるスパイス系ウォッカに思いを馳せるのも悪くありません。
もしバーでこの名前を見かけたら、迷わずオーダーしてみてください。
一口飲めば、唐辛子の熱とウォッカの透明感が混じり合う、あの伝説の味がよみがえるはずです。

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