乾燥や手荒れ、しもやけの季節になると、皮膚の血行不良や角質のごわつきに悩む人が増えます。そんな時に皮膚科でもよく処方されるのが「ユベラ軟膏」。血行を促進し、皮膚の代謝を整えるビタミンEとビタミンAが配合された医薬品です。
しかし最近では「ユベラ軟膏が手に入らない」「妊娠中でビタミンAを避けたい」「市販で似た効果のあるクリームを使いたい」という声も多く聞かれます。
この記事では、ユベラ軟膏の特徴を整理しながら、市販で購入できるおすすめ代替品3選を紹介します。
ユベラ軟膏とは？ビタミンEとAの力で血行と代謝を整える軟膏
ユベラ軟膏は、長年皮膚科で処方されてきたビタミンE（トコフェロール）とビタミンA油を主成分とする医薬品です。
1g中にビタミンE 20mg、ビタミンA油 5mg（ビタミンAとして約5,000単位）が配合されています。白色〜淡黄色のやわらかい軟膏で、手や足の乾燥、ひび割れ、しもやけ、角化症などに用いられます。
ビタミンEは血行促進作用を持ち、皮膚の微小循環を良くして皮膚温を上げる働きがあります。これにより、冷えや血行不良によるしもやけや手荒れの改善が期待できます。
一方、ビタミンAは表皮の新陳代謝を促し、角質の過剰な硬化を防ぐ作用があります。つまり「血流を良くしながら皮膚をなめらかに整える」という二重の効果があるのがユベラ軟膏の特徴です。
使用方法は1日1〜数回、患部に薄く塗るだけ。べたつきが少なく伸びがよいのも人気の理由ですが、保存は15℃以下の冷所で行う必要があり、冷蔵庫保管が推奨されています。
なぜ代替品を探す人が増えているのか
ユベラ軟膏は優れた処方薬ですが、代替品を探す人も少なくありません。その理由はいくつかあります。
まず、薬局での取り扱いが少なく、医療機関での処方が必要なケースが多いこと。さらに、一部では「在庫切れ」「出荷調整中」となる時期もあり、手に入りにくい状況もあります。
また、妊娠中や授乳中の人の場合、ビタミンAを多く摂取すると胎児への影響が懸念されるため、医師から使用を控えるよう指導されることもあります。
加えて、最近では保湿や手荒れケアを目的に、より気軽に使える市販クリームを求める人が増加しています。ユベラ軟膏は血行促進や角化症治療に特化していますが、保湿目的であればヘパリン類似物質やセラミド配合の製品の方が日常使いには向いています。
このような背景から、「市販で手軽に買えるユベラ軟膏の代わり」を探す動きが広がっています。
ユベラ軟膏の代替品を選ぶときのポイント
ユベラ軟膏の代替品を選ぶ際には、以下の3つの観点が大切です。
- 目的を明確にする
しもやけ・血行不良・角化異常を改善したいなら医薬品成分入りが有効。
乾燥や手荒れの予防・保湿が目的なら保湿剤やヘパリン類似物質系が適しています。 - 成分の違いを理解する
ユベラ軟膏の主成分はビタミンEとA。一方で市販の代替クリームには、ヘパリン類似物質、ワセリン、セラミドなどが含まれ、保湿・修復を中心に作用します。 - 刺激や保存性を考慮する
ユベラ軟膏は冷所保存が必要ですが、市販のクリームは常温で扱えるものが多く、日常的に使いやすいのが利点です。敏感肌の人は香料やアルコールを含まないタイプを選ぶのが安心です。
医師が選ぶ！ユベラ軟膏の市販代替品おすすめ3選
ここからは、皮膚科医や薬剤師の意見をもとに、ユベラ軟膏と目的が近い市販品を3つ紹介します。
① ヒルメナイド油性クリーム（またはヒルメナイド軟膏）
皮膚科でもよく処方されるヘパリン類似物質を配合した高保湿クリーム。血行促進作用と保湿作用を併せ持ち、乾燥・ひび割れ・あかぎれなど幅広く対応できます。
ベタつきが少なく伸びも良いため、手や脚、顔など全身に使いやすいのが特徴です。市販版としてドラッグストアでも購入可能で、ユベラ軟膏のように冷所保存も不要です。
血行促進という点ではユベラ軟膏に近く、しもやけ対策にも活用できます。
② フェルゼア プレミアムHPクリーム
こちらもヘパリン類似物質を配合した市販医薬品。角層の水分保持を助けて肌のバリア機能を高めます。
油性タイプのバームもあり、乾燥の強い季節や手荒れがひどい時におすすめ。保湿に加えて軽い炎症を抑える作用もあるため、赤みやかゆみを伴う肌荒れにも使えます。
ビタミンAを含まないため、妊娠中でも使いやすい安全性の高さも魅力です。
③ ワセリン（白色ワセリン・プロペトなど）
最もシンプルで刺激が少ない保湿剤。皮膚の表面に保護膜を作り、水分の蒸発を防ぐことで乾燥を防ぎます。
治療薬ではなく保湿剤ですが、乾燥・ひび割れ・あかぎれの予防には十分な効果を発揮します。特に敏感肌や子ども、妊婦にも使いやすく、薬との併用にも向いています。
血行促進効果はありませんが、「肌を守る」という観点ではユベラ軟膏の代わりとして実用的な選択肢です。
医療用と市販用の違いを理解して使い分ける
ユベラ軟膏は「医療用医薬品」であり、皮膚疾患の治療を目的とした薬です。一方、ヒルメナイド油性クリームやフェルゼア プレミアムHPクリームは「一般用医薬品」または「医薬部外品」として販売されています。
成分濃度や配合目的が異なるため、効果の強さにも差があります。
軽度の乾燥や手荒れなら市販品で十分ですが、ひび割れが悪化して出血したり、しもやけが痛む場合などは医療機関を受診して治療薬を処方してもらうのが安心です。
また、皮膚の炎症を伴う場合はステロイド外用薬が必要になることもあり、自己判断で強い薬を塗るのは避けましょう。
妊娠中・授乳中に使う場合の注意点
ユベラ軟膏はビタミンAを含むため、妊娠中や授乳中の使用には注意が必要です。高用量のビタミンAは胎児への影響が指摘されており、医師が必要と判断した場合を除いては避けることが推奨されます。
そのため、妊婦や授乳中の方はビタミンA非配合の保湿剤（ヒルメナイド油性クリーム、フェルゼア プレミアムHPクリーム、ワセリンなど）を選ぶと安心です。
どれを選ぶ？目的別おすすめの使い分け
- しもやけ・血行不良による手足の冷えや赤み → ヒルメナイド油性クリーム
- 乾燥や手荒れのケア、日常保湿 → フェルゼア プレミアムHPクリーム
- 敏感肌・赤ちゃん・妊娠中の保湿 → ワセリンまたはプロペト
このように、ユベラ軟膏の代替を考える際は、症状の程度と使う目的で選ぶのがポイントです。
ユベラ軟膏の代替品まとめ
ユベラ軟膏は血行促進と角化改善を目的とした医薬品で、しもやけや手荒れ、乾燥肌などに長年使われてきました。
しかし、妊娠中の使用制限や保存条件の厳しさから、より扱いやすい市販代替品を選ぶ人が増えています。
今回紹介した3つの市販品は、いずれも保湿とバリア機能のサポートに優れ、日常のスキンケアにも取り入れやすいアイテムです。
ただし、しもやけや皮膚炎などの症状が重い場合は自己判断せず、皮膚科を受診して医師に相談することが大切です。
乾燥や手荒れに悩む季節こそ、自分の肌の状態を見極めて、ユベラ軟膏や代替クリームを上手に使い分けていきましょう。
