アレルギー体質の人や、以前にアナフィラキシーを起こした経験がある人にとって、「エピペン(EpiPen)」は命を守る大切な医薬品です。
でも、いざ必要になったとき「どこで買えるの?」「薬局で売ってるの?」と迷う方も多いはず。この記事では、エピペンを購入・処方してもらうための流れや注意点を、わかりやすく解説します。
エピペンとは?どんなときに使う薬?
エピペンは、アドレナリン(エピネフリン)を含む自己注射薬です。重度のアレルギー反応「アナフィラキシー」が起こったときに、救急車が到着するまでの間に自分で太ももに注射して応急処置を行うための医薬品です。
例えば、ハチに刺されたり、特定の食べ物や薬を摂取した直後に呼吸が苦しくなったり、全身に蕁麻疹が出るなどの症状が現れたときに使います。
あくまで「応急用」であり、エピペンを使用したら必ず医療機関で本格的な治療を受ける必要があります。
エピペンは市販されていない?購入には医師の処方が必要
結論から言うと、エピペンは市販されていません。
つまり、ドラッグストアやネット通販(Amazon・楽天など)では購入できません。日本国内では「処方箋医薬品」に分類されており、医師の診察と処方が必須です。
このため、エピペンを手に入れるには次の流れを踏む必要があります。
医師による処方がなければ購入できない仕組みになっています。
エピペンを処方してもらえる病院・クリニック
実は、すべての病院やクリニックでエピペンを処方してもらえるわけではありません。
エピペンを扱えるのは、「エピペン処方医登録」を行い、製薬会社や自治体の講習を受けた医師に限られます。
そのため、一般的な内科や皮膚科では対応していない場合もあります。
以下の診療科で取り扱っていることが多いです。
- アレルギー科
- 小児科(食物アレルギーなど)
- 内科
- 耳鼻咽喉科
- 総合病院の救急外来や地域の指定医療機関
「エピペン 処方医 〇〇県(地域名)」と検索すると、製薬会社(ヴィアトリス社)の公式サイトや自治体の医師会が、処方可能な医療機関の一覧を公開している場合もあります。
エピペンの処方を受けるまでの流れ
エピペンを手に入れるには、次のステップを踏みます。
① 医療機関を受診
まずは、アレルギーやアナフィラキシーの既往がある場合、医師に相談します。
アレルギー検査や問診の結果をもとに、医師が必要と判断した場合に処方されます。
希望する人は「災害時や予防のために持っておきたい」と相談しても構いません。
② 医師による処方箋発行
診察の結果、エピペンが必要と判断されると「院外処方箋」が発行されます。
多くの病院では薬剤を院内で直接渡さず、処方箋を調剤薬局に持っていく方式を採用しています。
③ 薬局での受け取り
処方箋を持って調剤薬局に行きます。
ただし、エピペンは常備していない薬局も多く、在庫がない場合は取り寄せになります。
その場合は受け取りまで1〜3日程度かかることもあります。
エピペンの価格と保険適用
エピペンは医療用医薬品のため、健康保険が適用されます。
3割負担の場合、おおよその自己負担額は8,000円前後(診察料・薬剤料を含む)です。
子ども医療費助成制度の対象年齢であれば、自治体によっては自己負担が無料になることもあります。
また、体重によって製剤の種類が異なります。
- エピペン0.3mg(体重30kg以上)
- エピペン0.15mg(体重15〜30kg未満)
使用期限は約1年です。期限が近づいたら、再診のうえ更新処方を受けるのが一般的です。
エピペンのオンライン診療・郵送対応
近年では、オンライン診療に対応するクリニックも増えています。
ビデオ通話やチャットを使った診察で、条件を満たせばエピペンの処方が可能です。
処方箋を郵送してもらい、最寄りの薬局で受け取る、または薬局から自宅に配送してもらうこともできます。
ただし、初回は必ず対面診療が必要な医療機関もあります。
オンライン処方を希望する場合は、事前に対応可能かどうかクリニックに確認しましょう。
エピペンを使うタイミングと注意点
エピペンは、アナフィラキシーの初期症状が出たときに使います。
たとえば、以下のような症状が複数同時に出たら、ためらわず使用するのが原則です。
- 息苦しい、喘鳴(ぜんめい)が出る
- 顔や唇、喉の腫れ
- 全身のかゆみやじんましん
- 血圧の低下、意識が遠のく感じ
- 強い腹痛や嘔吐
使用した後は、速やかに救急要請し、必ず医療機関を受診します。
使用後のエピペンは針が露出しているため、付属のキャップを付けて持参し、処置した医師に渡しましょう。
保管と有効期限に関するポイント
エピペンは直射日光や高温を避けて保管します。
冷蔵庫に入れる必要はなく、室温(15〜30℃)程度が適温です。
夏場は車内やバッグの中など、高温になりやすい場所に放置しないよう注意が必要です。
また、有効期限はおおよそ1年。
期限が切れる前に再処方を受け、新しいものに交換しましょう。
使用期限が近づくと自動通知してくれる自治体や学校もあります。
学校・職場・外出先での携帯の工夫
学校や職場に申請すれば、エピペンを預けたり携帯したりできる体制を整えてもらえることがあります。
特に小中学校では、アレルギー対策マニュアルに基づき、保健室で保管するケースもあります。
また、外出時は携帯用ポーチを使うのが便利です。
気温の高い季節は保冷材付きケースを利用するなど、品質を保てる工夫が求められます。
期限切れ・使用後のエピペンはどうする?
使用済み、または期限切れのエピペンは、医療廃棄物として扱う必要があります。
自己判断で捨てず、処方してもらった医療機関や薬局に持参して処分を依頼しましょう。
また、使用練習用の「エピペントレーナー(模擬用エピペン)」も販売されており、繰り返し練習できます。
使用手順を定期的に確認しておくと、いざという時に落ち着いて対応できます。
まとめ:エピペンはどこで買える?正しい流れを知って備えよう
改めてまとめると、エピペンは以下の流れで入手します。
- 医療機関(アレルギー科など)を受診し、医師に相談
- 処方箋を受け取り、薬局で調剤
- 保険適用で購入(自己負担は約8,000円前後)
- 定期的に有効期限を確認し、必要に応じて更新
ドラッグストアや通販では買えませんが、正規ルートを通しておけば、万が一の時に確実に使える備えになります。
アレルギーを持つ方やその家族は、エピペンの入手方法や使い方を日頃から確認しておくことが大切です。
「エピペンはどこで買える?」と検索しているあなたが、この記事で少しでも安心して行動できるようになれば幸いです。
