「奉書紙（ほうしょがみ）」は、古くから日本で使われてきた高級和紙の一種。贈答用の包み紙や冠婚葬祭の書状、または書道・水引細工などにも欠かせない素材です。見た目の上品さと質感の良さから、改まった場面で重宝されています。
この記事では、「奉書紙はどこで買えるの？」という疑問に答える形で、文房具店や専門店、そして通販での購入方法を詳しく解説します。
奉書紙とは？特徴と用途をおさらい
まず、奉書紙がどんな紙なのかを簡単に整理しておきましょう。
奉書紙は、楮（こうぞ）や三椏（みつまた）などを原料とした高級和紙で、柔らかく手触りが良く、適度な厚みとしなやかさが特徴です。元々は公文書や書状に使われてきたため、上品で格式ある印象を与えます。
用途は幅広く、代表的なものには次のような使い方があります。
- のし紙・包み紙として
- 贈答品の包装
- 書道や水墨画の練習紙
- 表装・和綴じノート用紙
- 水引細工や折り紙の素材として
日常的に使う紙ではありませんが、礼儀や伝統を重んじる場面では欠かせない存在です。
奉書紙はどこで買える？主な販売場所
奉書紙は、どこにでも売っているわけではありません。とはいえ、探し方を知っていれば購入は難しくありません。大きく分けて、次の3つのルートで購入できます。
1. 文房具店・画材店で探す
まずおすすめなのが、紙製品を豊富に扱う文房具店や画材店です。
特に大手チェーンの文房具店では、奉書紙の取り扱いがある場合があります。
- 伊東屋
銀座本店や一部の大型店舗では、和紙コーナーに奉書紙を常設。サイズや厚さのバリエーションも豊富で、専門スタッフに用途を相談しながら選べます。 - 世界堂
画材・製図用品で有名な世界堂でも、奉書紙や和紙を扱っています。店舗によっては見本を手に取って質感を確認できるのが魅力です。 - 丸善ジュンク堂・紀伊國屋書店（文具売場）
一部店舗では、便箋や書簡用紙コーナーに奉書紙が並ぶこともあります。紙製品の品揃えが多い大型店を狙うと見つけやすいです。
ただし、コンビニや一般的なスーパーの文具コーナーではまず取り扱いがないため、専門性のある文房具店を探すのが近道です。
2. 和紙専門店・紙問屋で購入する
より高品質な奉書紙を探すなら、和紙専門店や紙問屋がおすすめです。
用途に合わせて職人が漉いた奉書紙や、産地ごとの特色ある和紙を選べます。
代表的な店舗をいくつか紹介します。
- 小津和紙（東京都中央区）
創業360年以上の老舗。奉書紙だけでなく、雁皮紙や楮紙など伝統和紙の品揃えが圧倒的。1枚から購入できるため、少量試したい人にも人気です。 - いせ辰（東京都台東区）
江戸和紙の専門店として知られ、奉書紙を使った祝儀袋や包み紙、和紙便箋などを販売。職人の手仕事が生きた高品質な紙が手に入ります。 - 京都の和紙店（堀金箔粉、唐紙屋、鳩居堂など）
京都には古くからの和紙店が多く、奉書紙を冠婚葬祭用として扱う店も多数あります。観光ついでに購入する人も多いです。
こうした専門店では、用途（表書き用、折り紙用、包装用など）を伝えると、最適な厚さや質感の紙を提案してもらえるのが魅力です。
3. 通販での購入も可能
最近は奉書紙も通販で手軽に購入できます。文房具店や和紙専門店が運営する公式通販サイトのほか、一般のECサイトでも取扱いがあります。
主な購入先としては次の通りです。
- Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング
サイズや枚数、用途に応じた豊富なラインナップ。A4サイズや巻紙タイプ、折り紙用など種類が多く、レビューも参考にしやすいです。
ただし、写真だけでは質感が分かりにくいため、用途が決まっている場合は商品説明をよく確認しましょう。 - 伊東屋オンラインストア・世界堂オンラインショップ
店頭と同じ品質の紙をオンラインで購入可能。店舗受け取りができる場合もあり、信頼性が高いのが特徴です。 - 小津和紙オンラインショップ
伝統的な奉書紙を1枚単位または束で購入可能。ギフト包装や見本紙の取り寄せにも対応しています。
通販では価格帯が幅広く、A4サイズ10枚入りで300〜800円ほど、伝統和紙の奉書紙になると1枚500円以上するものもあります。
奉書紙の選び方のポイント
奉書紙と一口に言っても、使う目的によって選び方が変わります。
ここでは、購入時にチェックしておきたいポイントを整理します。
- 用途を明確にする
贈答用なら厚手でしっかりした質感の紙を。書道や印刷用途なら、薄手でにじみにくいタイプが扱いやすいです。 - 白色度と質感を確認
奉書紙には真っ白なタイプと生成り（きなり）があります。フォーマルな用途では白、柔らかい印象を出したいときは生成りが人気です。 - サイズ・枚数を比較する
A4・B5などの定形サイズや、巻紙タイプなどがあります。少量でよければ10枚入り、作品づくりには50枚以上のパックが便利です。 - 産地・製法で選ぶ
越前和紙や美濃和紙など、産地によって質感や風合いが異なります。こだわりたい人は伝統和紙ブランドを選ぶと良いでしょう。
奉書紙を買う際の注意点
奉書紙は見た目が似ていても品質差が大きい紙です。購入時には次の点に注意しましょう。
- 「奉書紙風」や「模造奉書」と書かれた製品は再生紙タイプの場合がある
本格的な和紙の質感を求めるなら、「手漉き」「楮100％」「和紙」と明記された商品を選ぶのが安心です。 - インクジェット対応かどうかを確認
印刷や筆記用途で使う場合、にじみ防止加工があるか確認を。筆で書くなら未加工タイプが好まれます。 - 折り目やしわに注意して保管する
奉書紙は湿度や圧力に弱いため、平らな場所で保管し、使用直前に開封するのがおすすめです。
奉書紙を扱う有名ブランド・メーカー
いくつかのメーカーは、奉書紙を定番商品として製造・販売しています。代表的なものを紹介します。
- 越前和紙（福井県）
国の伝統的工芸品にも指定されており、奉書紙の代表的産地。高級筆記用紙や書状紙として人気です。 - 美濃和紙（岐阜県）
薄く丈夫で、美しい白さが特徴。封筒や便箋に使われることも多く、実用性の高い奉書紙が揃います。 - 石州和紙（島根県）
耐久性と風合いの良さがあり、書道や巻紙に最適。古文書の修復にも用いられるほど品質が高いです。
奉書紙を贈答・包装用に使うときの豆知識
奉書紙は、単なる「包む紙」ではなく、心を伝える道具でもあります。
たとえば贈答品を包む際は、紙の表と裏を意識し、光沢がある方を外側にして使うのがマナーです。
また、熨斗紙として使う場合には、用途に応じた水引や表書きを組み合わせると、より格式が高まります。
紙そのものの美しさが伝わるため、無地のままでも十分に上品です。相手に丁寧な印象を与えたいときにぴったりの素材と言えるでしょう。
まとめ：奉書紙はどこで買える？あなたに合った購入方法を選ぼう
奉書紙は、文房具店や和紙専門店、通販などさまざまな場所で購入可能です。
日常使いなら文房具店やECサイトで十分ですが、伝統的な和紙の質感を求めるなら、専門店や老舗の紙店で選ぶのがおすすめです。
目的や用途に合わせて最適な紙を選ぶことで、仕上がりも印象もぐっと良くなります。
上品で丁寧な印象を演出できる奉書紙、ぜひあなたの暮らしにも取り入れてみてください。
