ゲーミングイヤホンに新たな選択肢が登場した。SteelSeriesの「Arctis GameBuds」だ。
これまでのゲーミングヘッドセットは高音質で低遅延な反面、サイズが大きく持ち運びに不便という声も多かった。
そんな中で登場したこの完全ワイヤレスイヤホンは、“軽さ・快適さ・低遅延”という三拍子をどこまで実現できているのか。
この記事では、実際の使用感やレビューをもとに音質・遅延・装着感を中心に徹底的に検証していく。
Arctis GameBudsとは?新時代のゲーミングTWS
SteelSeriesといえば、長年ゲーマーから支持されている人気ブランド。
その最新作「Arctis GameBuds」は、ゲーミングヘッドセットの技術を完全ワイヤレスイヤホンに落とし込んだ意欲作だ。
最大の特徴は、2.4GHzワイヤレス接続による超低遅延通信。
従来のBluetooth接続とは異なり、専用USB-Cドングルを使うことで体感的にほぼゼロに近い遅延を実現している。
この仕組みのおかげで、FPSや格闘ゲームなど“1フレームの反応”が命取りになる場面でもしっかり対応できる。
さらに、Bluetooth 5.3にも対応しており、スマホやタブレットでの音楽鑑賞・動画視聴にもシームレスに切り替え可能。
自宅でも外でも快適に使える“デュアルユース設計”が嬉しいポイントだ。
音質レビュー:定位感・バランス・解像度すべて良好
実際に使ってまず驚くのが、ゲーム音の定位感と空間表現の精密さだ。
足音、銃声、環境音がしっかり分離して聞こえ、敵の位置を直感的に把握できる。
中高音域の解像度が高く、FPSやTPSでは明確に優位に立てると感じた。
一方で低音は必要十分。ドンシャリ系ではなく、音のバランスが取れたフラット寄りのチューニングだ。
このため長時間プレイでも耳が疲れにくい。
音楽再生時もクリアで立体的。特にボーカルやアコースティック系の楽曲では自然な響きを感じられる。
ただし、重低音重視のリスニングイヤホンに比べると迫力は控えめ。
その代わり、細部の音の再現力が優れており、ゲーム用としては理想的な方向性だ。
遅延性能:2.4GHz接続で圧倒的に快適
Arctis GameBudsの真骨頂は、やはり低遅延通信の安定感にある。
付属ドングルを使った2.4GHz接続では、実測でおよそ30〜35msという非常に短い応答時間を実現。
実際にプレイしても、発砲音や効果音のズレはほぼ感じられない。
Bluetooth接続時はやや遅延が生じるものの、日常的な動画視聴や音楽再生では違和感はほとんどない。
ゲームに本気で臨むならドングル接続、外出時はBluetooth、と使い分けるのがベストだ。
さらに特筆すべきは、対応デバイスの広さ。
PC、PlayStation、Nintendo Switch、Steam Deckなど主要機器のほとんどで動作し、USB-Cポートに挿すだけで即接続できる。
複数デバイスを行き来するゲーマーには非常に便利な仕様だ。
マイク性能と通話品質:小型ながら明瞭な音声
完全ワイヤレスイヤホンとしては珍しく、通話・ボイスチャット性能にも抜かりがない。
デュアルマイク構成でノイズ抑制が効いており、周囲の環境音をうまくカットしてくれる。
DiscordやTeamsでのVCもクリアで、聞き取りやすいというレビューが多い。
ただし、ブームマイク付きのヘッドセットと比べるとやはり収音力は劣る。
声質の自然さや音量の安定感を求めるなら、外付けマイクの併用を検討してもよいだろう。
バッテリー性能:最大40時間の長持ち設計
ゲーミングイヤホンとしてはトップクラスのバッテリー性能も魅力だ。
イヤホン単体で約10時間、充電ケース併用で合計最大40時間の使用が可能。
長時間の配信やマルチプレイでも安心できるスタミナ設計だ。
さらに、ワイヤレス充電(Qi対応)や急速充電機能も搭載。
たとえば15分の充電で1時間程度の再生ができるため、外出前の短時間充電にも重宝する。
装着感と使い心地:軽くて疲れないフィット感
Arctis GameBudsの装着感は軽く自然。
耳にしっかりフィットしつつも圧迫感が少ないため、3〜4時間の連続プレイでも耳が痛くならない。
イヤーチップは複数サイズ付属しており、耳の形に合わせて細かく調整できる。
操作系はタッチではなく物理ボタンを採用。
誤操作が少なく、ゲーム中でも確実に操作できる点が高く評価されている。
一方で“押し込み感が強い”と感じるユーザーもいるため、好みは分かれる部分だ。
ノイズキャンセリングと外音取り込み
Arctis GameBudsは**アクティブノイズキャンセリング(ANC)**にも対応している。
その効果は日常ノイズをほどよく抑えるレベルで、電車やカフェでの使用にも十分。
また、外音取り込みモード(Transparencyモード)も搭載されており、外出時の安全性も確保できる。
ANCの性能は、ソニーやBOSEのハイエンドイヤホンに比べると控えめだが、
ゲーミングイヤホンとしては必要十分。
没入感を高めるという点では非常にバランスが取れている。
アプリ連携とカスタマイズ機能
SteelSeries GGアプリを使えば、音質やイコライザー設定を細かく調整できる。
特に人気なのが、ゲームごとのサウンドプリセット機能。
FPS向け、MOBA向けなどシーンに応じたプロファイルを切り替えられるため、
「自分好みの音」を追求する楽しみもある。
また、アプリ経由でファームウェア更新が可能な点も安心。
長期的なアップデートサポートが期待できるのは、PC周辺機器で実績あるSteelSeriesならではだ。
メリット・デメリットを整理
メリット
- 2.4GHz接続による圧倒的な低遅延
- 定位感に優れた高音質チューニング
- Bluetoothでも使えるデュアルモード設計
- ANCや外音取り込みなど機能が豊富
- 最大40時間のロングバッテリー
- 装着感が軽く、長時間使用に最適
デメリット
- Bluetooth接続時はわずかな遅延を感じることも
- マイク性能は大型ヘッドセットに劣る
- ANCは中程度の効き具合
- 物理ボタンの操作感に好みが分かれる
全体としては、ゲーミングに最適化しつつも、通勤・通学などの日常利用にも十分な完成度。
「ヘッドセットの代わりになるTWSが欲しい」というユーザーには理想的な選択肢だ。
口コミ・評判の傾向
SNSやレビューサイトを見ると、評価は総じて高い。
「有線並みに遅延がない」「音が立体的」「Switchでも快適」という声が多く、
特にモバイルゲーマーからの支持が厚い。
一方で「価格がやや高め」という意見も見られる。
しかし、高音質・低遅延・多機能をすべて兼ね備えた製品であることを考えれば、
そのコストパフォーマンスは決して悪くない。
Arctis GameBudsレビューの総括
SteelSeries Arctis GameBudsは、
「軽くて便利、でも妥協のないゲーミング性能」を求めるユーザーにぴったりの完全ワイヤレスイヤホンだ。
低遅延・高音質・快適な装着感のバランスが優れ、まさに“ゲーミングと日常の架け橋”と呼べる存在。
これまでヘッドセット一択だったゲーマーにも、
「イヤホンでもここまでできるのか」と感じさせる完成度の高さがある。
通勤中に音楽を聴き、帰宅後にFPSをプレイ──そんなライフスタイルを一つのデバイスで完結できるのは、
今の時代に非常に魅力的だ。
最後にもう一度言いたい。
Arctis GameBudsは“ただのイヤホン”ではなく、新しいゲーミング体験を提供するガジェットだ。
低遅延の快感と軽やかな装着感を、ぜひその耳で体験してみてほしい。
