オーディオテクニカの定番モニターヘッドホン「Mシリーズ」。その中でも手に取りやすい価格と堅実な音づくりで人気の「ATH-M20x」に、Bluetooth機能を追加したのが**ATH-M20xBT**です。
今回は、実際の使い心地や音質、有線モデルとの違いをじっくりレビューしていきます。
ATH-M20xBTとは？ベースは定番モニターヘッドホン
ATH-M20xBTは、有線モデル「ATH-M20x」をベースにBluetooth機能を搭載したワイヤレスヘッドホンです。
モニターヘッドホンらしいフラットな音質傾向を維持しながら、ワイヤレスでの快適さを追求したモデルになっています。
本体は軽量で約216g。装着感も比較的軽く、長時間つけていても疲れにくいのが特徴。イヤーパッドとヘッドバンドには柔らかいクッション素材が使われており、装着時の圧迫感も少なめです。
デザインはシンプルで、プロ仕様らしい落ち着いた印象。派手さはないものの、スタジオでも外出先でも使いやすい雰囲気があります。
Bluetooth接続の安定性と使い勝手
ATH-M20xBTはBluetooth 5.0に対応しており、スマホやPCとの接続はスムーズです。
一度ペアリングすれば次回以降は自動で接続されるため、電源を入れるだけで使い始められます。
対応コーデックはSBCとAAC。ハイレゾコーデック（LDACなど）には非対応ですが、日常的な音楽鑑賞や動画視聴には十分な音質です。
また、マルチポイント接続に対応しているため、スマホとPCを同時接続しての切り替えも簡単。
音楽をスマホで聴きながら、PCに着信があったときはそのまま通話に切り替えることもできます。
通話用のマイクも内蔵されており、Web会議やオンライン授業にも対応。
イヤーカップ側面のボタンで再生・一時停止、音量調整、通話の操作がすべて完結します。
バッテリー持ちは圧倒的。最大60時間の長寿命
ワイヤレスヘッドホンで気になるのがバッテリー持ち。
ATH-M20xBTはなんと最大約60時間の連続再生が可能です。
1日2〜3時間の使用なら、2〜3週間も充電なしで使い続けられる計算になります。
充電時間は約4時間ほど。
また、10分の充電で約3時間再生できる「急速充電」にも対応しているため、外出前のちょっとした充電でも安心です。
バッテリーの残量はスマホのBluetoothメニューから確認可能。バッテリー切れの心配がほとんどないのは、このモデルの大きな魅力です。
音質レビュー：モニターらしいフラットサウンド
肝心の音質ですが、ATH-M20xBTは価格帯を考えるとかなりの高音質。
40mm径のCCAWボイスコイルドライバーを搭載しており、低音から高音までのバランスが良く、全体的にスッキリとした音の印象です。
特に中高域がクリアで、ボーカルやアコースティック楽器の響きが自然。
リスニング用途だけでなく、軽いミックス作業や動画編集などのモニター用途にも使えるフラット傾向です。
低音は控えめですが、決して薄いわけではなく、輪郭のある引き締まった低域。
ロックやポップス、ジャズ、アコースティック系など、幅広いジャンルに対応できるバランス型のチューニングになっています。
ただし、EDMや重低音を求めるリスナーにはやや物足りなく感じるかもしれません。
派手さよりも「原音に忠実」な音づくりを重視したモデルです。
有線モデルとの違い：音の厚みと空間表現
ATH-M20xBTはBluetooth接続がメインですが、有線接続にも対応しています。
付属の1.2mケーブルを接続すれば、電源オフでも通常のヘッドホンとして利用可能です。
実際に聴き比べてみると、有線接続時の方が音の立体感や奥行きがわずかに増し、解像度も高く感じます。
これはBluetooth伝送時にデータ圧縮が入るためで、細かなニュアンスや音場表現では有線がわずかに有利です。
とはいえ、Bluetoothでも十分に高音質。
移動中や作業中に使う分には、ワイヤレスの快適さの方が勝ります。
自宅では有線、外ではBluetoothという使い分けが理想的です。
遅延と動画視聴・ゲーム時の使い勝手
Bluetoothヘッドホンでは「音ズレ」も気になるところですが、ATH-M20xBTには低遅延モードが搭載されています。
この機能をONにすると、動画やゲームでも音の遅れがほとんど気にならないレベルになります。
YouTubeやNetflixなどのストリーミング動画は問題なく視聴可能。
ただし、FPSゲームなど音の位置情報を重視するジャンルでは、有線接続の方がより正確です。
装着感と遮音性：軽さとフィット感のバランス
長時間使ううえで大切なのが装着感。
ATH-M20xBTは軽量かつイヤーパッドの厚みもあり、側圧も強すぎず弱すぎず。
長時間のリスニングでも痛くなりにくい構造です。
パッシブな遮音性も高めで、カフェや電車内でもある程度外音を遮断してくれます。
ただし、アクティブノイズキャンセリング（ANC）は非搭載のため、騒がしい環境では限界があります。
一方で、外出先で周囲の音が多少聞こえる方が安全な場面も多く、あえてANCを省いたこの設計は日常使いに向いています。
デザインと操作性：シンプルで扱いやすい
ATH-M20xBTは、シリーズ共通の無骨でプロフェッショナルなデザイン。
マットブラックの質感と、ATHロゴがワンポイントとして映える控えめなスタイルです。
操作ボタンは右イヤーカップに集約されており、慣れると直感的に扱えます。
電源ボタン、音量ボタン、再生・停止、通話の応答などを指先で操作でき、スマホを取り出す手間が減ります。
ヘッドバンド部分の伸縮幅も広く、頭のサイズを問わず調整しやすい点もポイント。
見た目はシンプルながら、実用性重視のデザインに仕上がっています。
他モデルとの比較と選び方のポイント
ATH-M20xBTは、同社の上位モデル「ATH-M50xBT2」などと比べると、音の分離感や解像度では一歩譲ります。
しかし、価格が抑えられている分、コストパフォーマンスは非常に高いです。
より重低音や高解像度を求めるなら上位機種へ。
一方で、「日常使いで安定した音をワイヤレスで楽しみたい」「仕事でも使いたい」という人には、ATH-M20xBTが最適です。
ATH-M20xBTのレビューまとめ：有線との違いやBluetooth性能の結論
最後に、ATH-M20xBTのポイントを整理します。
- フラットで自然な音質。モニター系サウンドが好きな人におすすめ
- Bluetooth 5.0で接続安定。マルチポイント・低遅延モードも便利
- 最大60時間のバッテリーで長時間使用も安心
- 有線接続にも対応し、音質の厚みを活かせる
- 軽くて疲れにくい装着感。ANC非搭載だが遮音性は十分
総じて、価格以上の完成度を誇る万能ワイヤレスヘッドホンです。
派手なサウンドではなく、「正確で聴きやすい音」を求める人にこそ向いています。
有線モデルとの違いを楽しみながら、Bluetoothの自由さを体感できる一台と言えるでしょう。
