オーディオテクニカのモニターヘッドホンといえば「ATH」シリーズ。その中でも注目を集めているのが、オンイヤー型の最新モデル「ATH-M60xA」です。今回はこのモデルを実際に使った感想や、音質・装着感・他機種との違いを徹底的に掘り下げて紹介します。
モニターヘッドホン選びに悩んでいる方や、「ATH-M50x」との違いが気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ATH-M60xAとは?基本情報と特徴
ATH-M60xAは、オーディオテクニカが2024年に発売したプロフェッショナルモニターヘッドホン。スタジオモニター用として設計されつつも、軽量で扱いやすいオンイヤータイプになっているのが特徴です。
45mmの大口径CCAWボイスコイルドライバーを搭載し、再生周波数帯域は15Hz〜28,000Hz。広いレンジで高解像度なサウンドを再現します。インピーダンスは38Ωで、スマートフォンやポータブルプレーヤーでも十分に駆動可能です。
ケーブルは着脱式で、用途に合わせて3種類が付属。スタジオ・自宅・外出先と、シーンを問わず使える実用性の高さも魅力の一つです。重量は約220gと軽量で、持ち運びやすく、長時間使用にも向いています。
音質レビュー:フラットで正確、それでいて心地よいバランス
ATH-M60xAの最大の魅力は、何といっても音の正確さ。全体的にフラットでモニターライクなチューニングが施されており、音楽制作や動画編集など、音の判断を誤りたくないシーンで力を発揮します。
低音は、量感こそ控えめですが非常にタイトで解像度が高い印象。ベースラインやバスドラムの輪郭がしっかり捉えられ、濁りのない低域が特徴です。低音を「聴く」よりも「確認する」といった印象で、プロフェッショナル用途にふさわしい再現性があります。
中音域は、ボーカルやギター、ピアノの音が自然でリアル。特に声の質感が素直で、録音されたままのニュアンスを感じ取ることができます。定位感にも優れており、音の位置関係が正確に把握できるのはさすがモニターヘッドホンといったところです。
高音域は繊細で伸びやか。シンバルや弦楽器の響きが滑らかに広がり、刺さりすぎないバランスが絶妙です。全体として「冷静で正確」な印象ながら、聴き疲れしにくいナチュラルさが両立しています。
装着感レビュー:軽量で快適、オンイヤー型の常識を変える
オンイヤータイプと聞くと、耳への圧迫感を心配する方も多いでしょう。しかしATH-M60xAはその点がよく練られています。
イヤーパッドにはメモリーフォーム素材が使われており、柔らかく耳にフィット。ヘッドバンドも適度なクッション性があり、側圧が絶妙に調整されています。頭にしっかり安定しながらも、長時間の使用で痛くなりにくいのが特徴です。
また、軽量設計の恩恵も大きく、2〜3時間の作業やリスニングでも疲れにくい印象です。メガネをかけていても違和感が少なく、装着性の評価はかなり高いといえます。
ただし、オンイヤー型のため、完全に外部音を遮断するタイプではありません。遮音性を最優先するなら、同社のオーバーイヤー型「ATH-M50x」などの方が向いているでしょう。
他機種との比較:ATH-M50xや旧モデルとの違い
ATH-M50xとの違い
ATH-M60xAとATH-M50xは、どちらも同じ45mmドライバーを搭載していますが、構造が異なります。ATH-M50xはオーバーイヤー型で密閉性が高く、低音の迫力と音場の広がりが魅力。一方、ATH-M60xAはオンイヤー型で、より軽快かつ自然なモニターサウンドを実現しています。
簡単にいえば、ATH-M50xは「楽しむためのモニター」、ATH-M60xAは「確認するためのモニター」。どちらも完成度が高いですが、使用目的によって好みが分かれます。
旧モデルATH-M60xとの違い
ATH-M60xAは、旧モデルATH-M60xをベースにしたアップデート版です。音質面での大きな変更はないものの、イヤーパッドやヘッドバンドの素材が改善され、装着感や耐久性が向上しています。長時間使用における快適さは、明確に進化したポイントといえます。
実際のユーザー評価まとめ
レビューサイトやSNSでは、次のような声が多く見られます。
- 「音がとにかく正確で、編集作業がはかどる」
- 「低音の量は控えめだけど、質が高く締まっている」
- 「長時間つけていても痛くならない」
- 「オンイヤーとは思えないほど装着感が良い」
- 「音場はやや狭めだが、定位がしっかりしている」
一方で、やはりオンイヤー特有の「耳の圧迫感」や「音場の広さ」に物足りなさを感じる意見も見られます。とはいえ、全体的な評価は非常に高く、特に“プロの作業用ヘッドホン”としての信頼は厚い印象です。
ATH-M60xAが向いている人・向いていない人
向いている人
- 音楽制作や動画編集など、正確なモニター用途で使いたい人
- フラットな音を好み、音源そのもののニュアンスを重視する人
- 長時間の作業でも快適に使いたい人
- コンパクトで軽いヘッドホンを探している人
向いていない人
- 低音の迫力や広がりを重視するリスナー
- 完全な遮音性を求める人
- 派手で刺激的なサウンドを好む人
ATH-M60xAの総評
ATH-M60xAは、プロフェッショナルモニターとしての正確性と、日常使いできる快適さを両立した万能機です。フラットな音質はリスニングにも向きますが、本領を発揮するのは制作・編集など「正確さ」が求められる場面でしょう。
派手さはないものの、音の解像度・定位・質感、どれを取っても非常に高水準。長時間装着しても疲れにくく、付属ケーブルも豊富。価格に見合った満足感が得られる完成度の高いモデルです。
「ATH-M50xの音が好きだけど、もっと軽くて持ち運びやすいものがいい」と感じている人には、まさに最適な選択肢といえます。
まとめ:ATH-M60xAのレビュー徹底検証
ここまで「ATH-M60xAのレビュー徹底検証!音質・装着感・他機種との違いを解説」として、実際の使用感を中心に紹介してきました。
ATH-M60xAは、正確でフラットなサウンド、軽量で快適な装着感、そしてプロ用途にも耐える品質を兼ね備えた優秀なモニターヘッドホンです。派手さよりも「信頼できる音」を求める人にとって、このモデルは非常に魅力的な存在となるでしょう。
