Bluetoothヘッドホンの選択肢は年々増えていますが、「手頃な価格で、音も使い勝手も妥協したくない」と考える人は多いはず。そんな人に注目されているのが、オーディオテクニカの「ATH-S220BT」です。この記事では、実際の使用感や音質、機能面を中心に、このヘッドホンの魅力と注意点をじっくり検証していきます。
シンプルで軽量、日常使いにぴったりなデザイン
ATH-S220BTを手に取ってまず感じるのは、その軽さ。重さは約180gしかなく、長時間つけても首や耳への負担が少ないのが特徴です。オンイヤー型（耳に乗せるタイプ）なので耳を完全に覆うわけではありませんが、パッドが柔らかく、軽快な装着感があります。
ただし、オンイヤー型特有の「耳が痛くなりやすい」という声も一部で見られます。特に長時間リスニングを続けると圧迫感が気になる人もいるようです。
その一方で、軽量さやスリムなデザインのおかげで、通勤・通学やリモートワークなどの「ながら聴き」にはちょうどいいバランス。デザインも無駄がなく、黒・白・ネイビーなど落ち着いたカラーが選べます。
60時間再生のバッテリーがもたらす安心感
このモデルの大きな魅力は、何と言っても最大約60時間の連続再生です。1日2〜3時間の使用なら、2週間以上も充電不要。バッテリーを気にせず使えるのは、ワイヤレスヘッドホンとして非常にありがたいポイントです。
さらに、10分の充電で約3.5時間再生できる「急速充電」にも対応。外出前に少しだけ充電しても十分使えるので、忙しい日常でもストレスがありません。
USB Type-C端子を採用しており、最近のスマホやタブレットと同じケーブルで充電できる点も便利です。
Bluetooth接続の安定性と操作性
ATH-S220BTはBluetooth 5.0に対応しており、接続の安定性は良好です。ペアリングもスムーズで、一度登録すれば次回以降は自動接続してくれます。Android端末ならGoogle Fast Pairにも対応しており、接続が一瞬で完了します。
さらに便利なのがマルチポイント接続。スマホとPCを同時に接続し、音楽を聴きながらパソコンの通知音や通話もすぐ切り替えられます。オンライン会議や在宅ワークでも重宝する機能です。
イヤーカップ側面には物理ボタンが配置されており、音量調整・曲送り・再生停止などを直感的に操作できます。タッチ式ではなく物理ボタンなので誤操作が少なく、シンプルで使いやすい点も好印象です。
音質レビュー：ワイヤレスはバランス型、有線はワンランク上
音質の評価はこのヘッドホンの最大のポイントです。結論から言うと、「価格を考えれば十分満足できるバランス型サウンド」です。
ワイヤレス接続時の音
Bluetooth接続ではSBCコーデックのみ対応ですが、音の傾向は非常にフラット。低音が出すぎず、高音も刺さらない、落ち着いたチューニングです。
ボーカルが自然に聴こえ、ポップスやアコースティック系には相性が良好。ただし、重低音の迫力を求める人には少し物足りなく感じるかもしれません。
一方で、音の解像度や定位感は価格帯を考えると健闘しています。全体的にクセがなく、長時間聴いても疲れにくい音質は、通勤・勉強中など「ながら聴き」にちょうどいい印象です。
有線接続での音
ATH-S220BTの隠れた実力は、有線接続にあります。付属のケーブルを使えば、有線ヘッドホンとしても利用可能。
実際に有線で聴くと、低音の量感が増し、全体の音が引き締まった印象に変わります。Bluetooth時にはやや平面的に感じた音場も、有線では立体感が増し、「この価格でここまで鳴るのか」と驚く人も少なくありません。
ワイヤレスの便利さと有線の音質、両方を楽しめるのは、このヘッドホンならではの強みです。
動画やゲームにも強い「低遅延モード」
音楽用途だけでなく、動画やゲームでも活躍します。ATH-S220BTには**低遅延モード（Low Latency Mode）**が搭載されており、映像とのズレを最小限に抑えます。
このモードを使えば、YouTubeの視聴やスマホゲームでも音ズレがほとんど気にならず、自然にプレイ可能。
ただし、aptXやAACといった高音質コーデックに対応していないため、音質よりも「遅延の少なさ」に重点を置いた設計と考えると良いでしょう。
ノイズキャンセリングは非搭載、それでも使いやすい理由
最近のワイヤレスヘッドホンではノイズキャンセリング搭載が主流になりつつありますが、ATH-S220BTにはこの機能はありません。
しかし、密閉性のあるイヤーパッドのおかげで、ある程度の外音は自然に遮断されます。オフィスやカフェでの作業中に使っても、十分集中できるレベルです。
むしろ、外音を完全に遮断しない分、周囲の音に注意を払いたい通勤・通学時には安心感があります。価格とのバランスを考えると、ノイズキャンセリング非搭載は大きなマイナスではありません。
通話品質とマイク性能
ヘッドホンには内蔵マイクがあり、スマホ通話やオンライン会議にも対応しています。
実際に使用した印象では、「声はしっかり届くが、クリアさはそこそこ」といったところ。環境音が多い場所では多少ノイズを拾いますが、静かな室内では問題なく会話できます。
テレワーク用のサブヘッドホンとしても十分機能するレベルです。マルチポイント対応のおかげで、スマホ通話からPC会議への切り替えもスムーズに行えます。
ATH-S220BTのメリットと注意点まとめ
ここで、実際に使用して感じたポイントを整理しておきましょう。
良い点
- 最大60時間の圧倒的バッテリー持ち
- 軽量で長時間使っても疲れにくい
- 有線・無線どちらでも使える
- マルチポイント接続・低遅延モード対応
- シンプルな操作性と安定したBluetooth接続
気になる点
- 低音の迫力は控えめ
- ノイズキャンセリング非搭載
- オンイヤー型のため長時間装着で耳が痛くなる人も
- 高音質コーデック（AAC・aptX）非対応
総合すると、「音質よりも使い勝手重視」「軽くて長持ちするヘッドホンが欲しい」というユーザーには非常に向いているモデルです。
どんな人におすすめか？
ATH-S220BTは、次のような人に特におすすめです。
- 通勤・通学などで毎日ヘッドホンを使う人
- 家やカフェで作業しながら音楽を聴きたい人
- ワイヤレスでも有線でも使いたい人
- ゲームや動画の音ズレが気になる人
- 高コスパのBluetoothヘッドホンを探している人
反対に、重低音重視のリスナーやノイズキャンセリングが必須な人は、もう少し上位機種を検討した方が満足できるでしょう。
ATH-S220BTレビューの総括：コスパに優れた万能型Bluetoothヘッドホン
改めてまとめると、ATH-S220BTは「安いけど安っぽくない」ヘッドホンです。
音質は中庸で、長時間聴いても疲れにくい。装着感も軽く、最大60時間の再生時間はクラス随一。さらに有線接続までできる万能ぶりは、1万円以下のヘッドホンとは思えない完成度です。
派手さや特別な機能はないものの、「毎日気軽に使える道具」としての完成度は非常に高い。
特にワイヤレス初心者やサブ機としての利用にはぴったりの一台です。
音楽、動画、仕事、勉強——あらゆるシーンで「ちょうどいい音と快適さ」を求める人にとって、ATH-S220BTは強力な選択肢となるでしょう。
