ホンダのミドルクラススポーツ、CBR650R。
「400ccからのステップアップにちょうどいい」「大型の中でも扱いやすい」——そんな声をよく聞くモデルだ。
この記事では、実際のオーナーの声や試乗レビューをもとに、加速・乗り心地・燃費を中心にその実力を掘り下げていく。
CBR650Rってどんなバイク?
CBR650Rは、ホンダが誇る649cc直列4気筒エンジンを搭載したミドルスポーツ。
フルカウルスタイルの堂々とした見た目ながら、乗ってみると意外なほど親しみやすい。
「スーパースポーツのかっこよさ」と「日常的な扱いやすさ」を両立した、まさに“万能タイプ”のバイクだ。
2024年モデル以降ではE-Clutch(電子制御クラッチ)搭載モデルも登場し、渋滞や街乗りでのストレスを大きく軽減。
クラッチ操作なしで発進・停車できる快適性は、スポーツバイクの世界に新しい風を吹き込んでいる。
加速性能|中回転域から一気に吹け上がる爽快感
CBR650Rの魅力を語る上で、まず外せないのが加速フィールだ。
0-100km/h加速は約3.5秒。これはリッタークラスに迫る俊敏さだ。
中回転域からグッとトルクが立ち上がり、7,000rpmを超えたあたりからは直列4気筒らしい伸びとサウンドが一気に高まる。
アクセルを開けた瞬間、エンジンがまるで吸い込むように回転していく感覚。
このフィーリングが「CBRらしさ」そのもので、ただの移動が楽しくなる。
特にコーナー出口での立ち上がりは、トラクションの安定感もあり、安心してスロットルを開けられる。
一方で、トラクションコントロールの介入がやや早く感じるという意見も。
スポーツ走行を楽しみたい人は、必要に応じてオフにして走るのもおすすめだ。
乗り心地|スポーティだけど長距離も快適
フルカウルスポーツというと「前傾がきつくて疲れる」というイメージを持つ人も多いだろう。
しかしCBR650Rは、ハンドル位置とステップ位置のバランスが絶妙。
前傾姿勢はやや強めだが、日常の街乗りでも無理のないポジションに収まる。
シートはやや硬めだが、フォームがしっかりしているため腰が沈み込みにくく、長距離ツーリングでも安定した座り心地を維持できる。
高速道路では直進安定性が高く、風防効果のあるカウルが上半身への風圧を軽減。
「スーパースポーツらしい一体感とツアラー的な快適性を兼ね備えている」との声も多い。
足まわりはやや硬めのセッティングだが、路面の凹凸をしっかり吸収してくれる。
特にワインディングでのコーナリングは抜群で、切り返しの軽さと安定感の両立が印象的だ。
エンジンフィール|直列4気筒の美しさを味わう
CBR650Rの心臓部は、ホンダらしい高精度な4気筒エンジン。
低回転域は静かでスムーズ、中回転では力強く、高回転では爽快に吹け上がる。
どの回転域でも「つながりの良さ」があり、アクセル操作に対してリニアに反応する。
街中では3,000〜5,000rpmあたりで十分なトルクを感じられ、高速巡航では6速・100km/hで約4,500rpm。
振動は少なく、エンジン音も耳障りではない。
ただし7,000rpmを超えると微細な振動が手やステップに伝わるが、それも「スポーツしている感覚」として好まれることが多い。
音も魅力の一つだ。
高回転時の吸気音と排気音が重なり、ホンダらしい上質な“直4サウンド”を響かせる。
マフラーを社外品に交換すると、そのフィーリングがさらに際立つと語るオーナーも多い。
燃費|スポーツ性と実用性のバランスが絶妙
カタログ上の燃費はWLTCモードで約20.4km/L。
実際のユーザー燃費は、街乗りで15〜21km/L、高速道路主体では22〜27km/Lと幅がある。
このクラスの4気筒スポーツとしては優秀な数値だ。
ツーリング中に15Lタンクを満タンにすれば、300km以上は無給油で走れる計算。
峠道でスポーティに走っても、リッター20km前後を維持するあたりがホンダの実用志向を感じさせる。
エンジンブレーキの効きが穏やかで、アクセルオフ時の燃費悪化も抑えられている。
「スポーツバイク=燃費が悪い」という固定観念を覆すバイクといえるだろう。
取り回し・扱いやすさ|大型初心者でも安心できる設計
車重は約211kgとミドルクラスにしてはやや重いが、重心が低く、押し歩きの安定感がある。
ハンドルの切れ角も大きめで、Uターンや取り回しがしやすい。
足つきはシート高810mmながら、シートが絞り込まれているため、身長170cm前後で両足のつま先がしっかり接地する。
街中でも取り回しやすく、クラッチ操作も軽め。
E-Clutch装備モデルなら、発進や停車時の操作がさらに楽になる。
渋滞路やストップアンドゴーの多い通勤にも向いており、「通勤にもツーリングにも使えるスポーツバイク」という声が多い。
ブレーキと装備|公道での使いやすさを重視
ブレーキは前後ともダブルディスクで制動力十分。
コントロール性が高く、初期制動が穏やかなので、街乗りでも扱いやすい。
ABSの介入タイミングも自然で、不意のブレーキングでも挙動が安定している。
メーターはフルデジタルTFT液晶で、視認性が高い。
ギアポジション表示や燃費計、走行距離などが見やすく配置されており、夜間走行でも視界を妨げない。
また、スマホ連携機能により、ナビや通話通知も確認できるのは地味に便利だ。
実際のオーナー評価
多くのユーザーが口を揃えて挙げるのは、「万能感」と「質感の高さ」。
400ccからのステップアップ組には「リッターほどの暴力的な加速ではないが、公道ではちょうどいい」と好評だ。
さらに「ツーリングで疲れにくい」「メンテナンス性が高い」といった実用面の評価も目立つ。
ネガティブな意見としては、
・シートが硬く長時間でお尻が痛くなる
・高回転で振動が出る
・ミラーの視界が狭い
などがあるが、総合的には「これ1台で何でもできる」と評価されている。
CBR650Rが向いているライダー像
・初めての大型二輪を探している人
・通勤と週末ツーリングを両立したい人
・スポーツバイクの走りを味わいたいが、乗りやすさも捨てたくない人
これらの条件に当てはまるなら、CBR650Rは非常におすすめだ。
軽すぎず重すぎず、速すぎず遅すぎない——そんな“ちょうどいい”性能を体感できる。
CBR650Rのレビューまとめ|走りと日常のバランスが秀逸
改めて振り返ると、CBR650Rは「スポーツ性・快適性・燃費性能」をバランス良く備えたオールラウンダーだ。
直列4気筒の滑らかな加速感、安心感ある足回り、そして高い燃費性能。
これらが調和して、乗るたびに“ちょうどいい”満足感を与えてくれる。
街乗りでもツーリングでも、どんなシーンでも頼れる相棒。
CBR650Rは、走る楽しさを日常に落とし込んだ、ホンダらしい完成度の高い一台だ。
