ギタリストなら一度は耳にしたことがあるであろう「Epiphone ProBucker（プロバッカー）」。
エピフォンのレスポールやESシリーズなどに標準搭載されているハムバッカーで、「本家ギブソンのサウンドにどれだけ近いのか？」という点は長年の議論の的です。
今回は、実際の音質や他モデルとの違い、ユーザーのリアルな評価をもとに、ProBuckerの実力を徹底的に掘り下げます。
Epiphone ProBuckerとは？
ProBuckerは、Epiphoneが独自に開発したハムバッカー・ピックアップ。
主に「ProBucker-2（ネック）」と「ProBucker-3（ブリッジ）」のペアで搭載されることが多く、ヴィンテージPAF（Patent Applied For）を再現することを目的に作られています。
PAFとは1950年代後半のギブソン・レスポールに搭載されていた伝説的なピックアップ。
その柔らかくも力強いトーンは「黄金期のギブソンサウンド」として今なお愛され続けています。
ProBuckerは、そのサウンドを現代の技術で再現した“エピフォン版PAF”といえる存在です。
主な特徴は以下の通りです。
- Alnico IIマグネットを使用（温かくマイルドなトーン）
- ワックスポッテッド処理によるハウリング防止
- 4芯ケーブル構造でコイルタップにも対応
- ギブソン「Gibson Burstbucker」に近い構造設計
このように、価格を抑えつつもギブソンの上位モデルに迫る仕様が盛り込まれています。
音質の特徴：ヴィンテージらしい温かみと抜けの良さ
ProBuckerの最大の魅力は、PAF系ならではの甘く厚みのあるトーン。
クリーントーンでは「倍音がきらびやか」「中域に心地よい張りがある」といった評価が多く、ジャズやブルース、クラシックロックにぴったりです。
ネック側のProBucker-2はやや出力を抑えたセッティングで、ウォームかつ滑らかな音質。
一方でブリッジ側のProBucker-3はやや出力が高めで、リードトーンにもパンチを与えてくれます。
実際のユーザーからはこんな声が挙がっています。
- 「クリーンでも濁らず、コード一音一音が分離して聴こえる」
- 「歪ませても中域がしっかり残るから、埋もれにくい」
- 「安価なギターにしては想像以上に上品な音が出る」
音の抜けとレスポンスの良さが、価格帯を超えたクオリティとして評価されている理由の一つです。
他のピックアップとの比較：ギブソンGibson Burstbuckerとの違い
ProBuckerがよく比較されるのが、ギブソン純正の「Gibson Burstbucker」。
構造もサウンドコンセプトも非常に近いため、両者の差が気になるという人は多いでしょう。
技術的な観点で見れば、Burstbuckerはより厳密なヴィンテージ再現を追求しており、
巻き数や材料、マグネットの処理などが細かくチューニングされています。
その分、1基あたりの価格も数万円と高価です。
一方のProBuckerはコストを抑えつつ、実用的な範囲で同様の特性を再現しています。
音の違いを実際に比較したレビューでは、
- Burstbuckerの方がややレンジが広く、倍音の伸びが滑らか
- ProBuckerは中域が少し前に出て、ロック寄りのキャラクター
という感想が多く、
「音質の方向性は同じだが、細部のニュアンスで差が出る」といった印象です。
ただし、ブラインドテスト（目隠し試聴）では聴き分けが難しいほど似ているという意見も多く、
コストパフォーマンスではProBuckerが圧勝と評されることもあります。
ProBuckerの評価：価格以上の満足度
ProBuckerの評価は総じて高く、「エピフォンらしからぬ完成度」との声も多数。
特にエントリー〜ミドルクラスのギターに標準搭載されていることを考えれば、その実力は驚異的です。
良い点として挙げられるのは以下のようなものです。
- クリーンから歪みまで幅広く対応
- 温かみのあるトーンで長時間弾いても疲れない
- ギブソン系サウンドを手頃な価格で楽しめる
- ノイズが少なく、ライブでも扱いやすい
反面、マイナス意見としては次のようなものもあります。
- 出力が控えめで、メタルやハイゲインには不向き
- もう少し高域の抜けが欲しい場面もある
- 純正配線のままだとポテンシャルを出し切れないこともある
このように、ジャンルや使い方によって評価が分かれる点は押さえておきたいところです。
ロックやブルースには理想的ですが、モダン系のヘヴィサウンドにはややマイルドすぎる印象も。
改造・カスタムのしやすさも魅力
ProBuckerは、単体でも販売されているため、後から他のギターへ載せ替えることも可能です。
しかも4芯構造になっており、コイルタップ・フェイズ切り替え・シリーズ／パラレル配線など、
多様なサウンドバリエーションを楽しめるのも大きな魅力。
コイルタップを活かせば、シングルコイルのようなシャープなトーンも得られます。
「1本でいろんな音を出したい」というプレイヤーにとって、
ProBuckerは柔軟性の高い選択肢といえるでしょう。
また、配線キットとして販売されているものには、
ソケット接続式のパーツが使われており、ハンダ付けが不要なモデルもあります。
自分でピックアップ交換をしてみたい人にとっても扱いやすい構造です。
どんなギタリストに向いている？
ProBuckerは、サウンドの方向性からしてクラシックロックやブルース志向のプレイヤーに最適です。
ビンテージ感のある太く甘いトーンを求めるなら、まず間違いない選択。
逆に、モダンロックやメタルなど高出力サウンドを求めるなら、
Seymour Duncan JBやEMGシリーズのようなハイゲインピックアップの方がマッチします。
つまりProBuckerは、「表現力と温かみを重視するギタリスト向け」のピックアップ。
クリーンでも歪みでも、弾き手のタッチを素直に反映するタイプです。
実際に使ってみた印象
筆者がEpiphone Les Paul Standard ’60sに搭載されたProBuckerを使用した印象では、
確かに“ギブソンらしさ”を強く感じるサウンドでした。
コードストロークでは低域がふくよかで、アルペジオでは音の輪郭が立つ。
歪ませると中域がグッと前に出て、70年代ロックのような粘り気のあるトーンが生まれます。
また、ボリュームを絞ったときの追従性も良好で、ピッキングニュアンスに素直に反応。
「価格を見なければ、ギブソンと勘違いしてもおかしくない」と感じるほどの完成度でした。
Epiphone ProBuckerの音質は本物？まとめと結論
結論から言えば、ProBuckerは“本物のヴィンテージサウンド”にかなり近い存在です。
ギブソンGibson Burstbuckerと比較しても方向性はほぼ同じで、
細部の違いはあれど、耳で聴いて大きく劣るという印象はありません。
何より、Epiphoneの価格帯でこれほど豊かな倍音と温かみを持つピックアップは稀。
クリーン、クランチ、リード、どの音域でも自然で扱いやすく、
ギターのキャラクターを生かすピックアップとして非常に完成度が高いです。
唯一の注意点は、モダン系ハイゲイン志向には少し物足りないこと。
しかし、それを補って余りある表現力と汎用性がProBuckerの魅力です。
「ギブソンの音を手頃に体感したい」「レスポールで本格的なサウンドを出したい」
そんなギタリストには、Epiphone ProBuckerは間違いなくおすすめできる選択肢です。
Epiphone ProBuckerのレビューを通して見えてくるのは、
“価格以上のサウンドを手にできる喜び”と“エピフォンの技術力の高さ”。
本家に迫るトーンを自分の手で鳴らしたいなら、ProBuckerを一度試してみる価値は大いにあります。
