ポータブルオーディオの世界では、音質だけでなく操作性や機能の充実度も重視されるようになりました。その中で話題を集めているのが、FiiOの最新DAP「Fiio M23」です。この記事では、実際のユーザー評価や専門レビューをもとに、M23の魅力と実力をわかりやすく紹介していきます。
Fiio M23とは?中上位クラスの実力派DAP
Fiio M23は、2024年に登場したAndroid搭載デジタルオーディオプレーヤー(DAP)。同社の人気モデルFiiO M11 Plusの上位機にあたり、音質・デザイン・機能のすべてをバランス良く仕上げた“実用フラッグシップ”といわれています。
まず目を引くのはデザイン。六角形のハニカムパターンが特徴的なアルミボディは、硬質でありながら高級感が漂います。約299gの重量はやや重めですが、手に取ると“機械としての安心感”を感じさせる存在感があります。
内部構成は、オーディオファンの期待を裏切らない内容です。DACチップにはAKMの「AK4191EQ」と「AK4499EX」を組み合わせた最新構成を採用し、ノイズと歪みを徹底的に抑制。加えてTHX AAA-78+アンプをデュアルで搭載し、クリアかつ力強い出力を実現しています。
音質レビュー:精細さと音楽性のバランスが絶妙
Fiio M23の音は、一言で表すなら「ニュートラルだけど退屈じゃない」。多くのレビューで共通しているのは、情報量の多さと音の透明感、そして自然なバランス感です。
高域は伸びやかで煌びやか。シンバルやストリングスの余韻が丁寧に描かれ、空間の広がりを感じさせます。中域は滑らかで、ボーカルが前に出すぎず、奥行きのある立体的な表現。低域は量感よりも制動重視で、タイトかつキレの良い印象を与えます。
音場は横にも縦にも広く、ライブ録音などではステージの奥行きをしっかり再現。特にヘッドホンを変えたときの音の変化がわかりやすく、ソースや機材の違いを素直に引き出してくれる点が好評です。
一方で、FiiO M17やFiiO M15のような圧倒的スケール感や温かみを求める人には、ややクールに感じられるかもしれません。しかし「情報量」「分離感」「定位の正確さ」という点では、M23のほうが現代的で整った仕上がりと言えます。
操作性・UIの快適さ
M23はAndroidベースのOSを採用しており、スマホ感覚で直感的に操作できます。搭載されているSnapdragon 660と4GB RAMのおかげで、アプリの起動やスクロールもサクサク。音楽専用プレーヤーでありがちな“もたつき”がほとんどありません。
Google Playストアにも対応しており、SpotifyやApple Music、TIDAL、Amazon Musicなどのストリーミングアプリを自由にインストール可能。ローカル音源だけでなく、ストリーミング中心のリスニング環境にも対応できる点が現代的です。
物理ボタンやボリュームホイールの操作感も上質。クリック感があり、細かい音量調整がしやすいと評判です。設定メニューもわかりやすく、初心者でも数分で使いこなせるUI設計になっています。
機能性:据え置きにも耐える万能プレーヤー
Fiio M23はポータブル用途にとどまらず、据え置き利用を想定した「Desktop Mode」を搭載しています。このモードでは、USB給電を行うことでバッテリーをバイパスし、熱や劣化を抑えながら長時間使用が可能。デスクトップDACとしてPCと組み合わせるユーザーも多いようです。
さらにBluetoothレシーバー/トランスミッター機能、AirPlay、Roon Readyなどのワイヤレス機能も充実。LDACやaptX Adaptiveなど高音質コーデックにも対応しており、スマホやPCと組み合わせても遜色ない音質で楽しめます。
また、USB-DACモードではPCM768kHz/32bit、DSD512まで対応。MQAの8x展開にも対応しており、あらゆるハイレゾ音源をストレスなく再生できます。ファイル形式を気にせず再生できる柔軟さは、上位機にも匹敵します。
バッテリー性能と携帯性
搭載バッテリーは5,500mAh。バランス出力時で約9時間、アンバランス出力時で10.5時間程度の再生が可能です。数値的には平均的ですが、急速充電に対応しているため実用性は高め。最大30W入力で約1時間ほど充電すれば80%近くまで回復します。
一方で重量は約300gとやや重め。ポケットに入れて持ち歩くよりは、カバンに入れて移動するスタイルが現実的です。ただ、その分筐体の剛性が高く、傷や歪みに強い設計なので、長期使用にも耐えうる安心感があります。
実際の口コミ・評価の傾向
ユーザーの評価を総合すると、Fiio M23は「音質」「機能」「デザイン」すべてで高評価を得ています。レビューサイトやSNSでは、以下のような意見が目立ちます。
- 「M11 Plusから乗り換えたが、明らかに音の透明感が増した」
- 「デスクトップモードが便利。家でもDAPを使いたい人には最高」
- 「重量はあるけど、筐体の高級感が圧倒的」
- 「ストリーミングアプリがサクサク動くのが嬉しい」
一方で、ネガティブな意見としては「内蔵ストレージ64GBが少ない」「もう少しバッテリーが持ってほしい」「音がややドライ」という声も。とはいえ価格帯を考えれば、音質と機能性の両立は非常に高いレベルにあります。
特に、初めての本格DAPとして選ぶユーザーからの満足度が高く、「次のステップとして最適」という声が多いのが印象的です。
他モデルとの比較と立ち位置
FiiOの上位機FiiO M17は据え置きクラスのパワーとスケール感が持ち味ですが、携帯性や熱対策に課題があります。Fiio M23はその“ちょうど中間”に位置づけられており、外でも家でも使える万能型。
FiiO M11 Plus ESSと比べると、Fiio M23は音の粒立ちや低域の締まりが向上。ドライバー制御の力強さや静寂感は確実に一段上です。FiiO M15シリーズよりはややクールですが、解像度の高さと正確な定位は明らかに進化しています。
つまりFiio M23は、「音の正確さ」と「音楽性」の中間を絶妙に突いたモデル。上位機の迫力まではいかないものの、日常的に使うDAPとしては理想的なバランスに仕上がっています。
デザインとビルドクオリティの満足度
FiiOは筐体設計にもこだわりが強いブランドですが、M23も例外ではありません。梨地加工されたアルミボディは触感が滑らかで、エッジの仕上げも美しい。背面のハニカムパターンは光の当たり方で表情を変え、所有欲を満たします。
操作ボタンや端子の配置も計算されており、実際の使い勝手が良いと評判です。細部の品質が高く、安っぽさは皆無。オーディオ機器としてだけでなく、デザインプロダクトとしての完成度も高い1台です。
こんな人におすすめ
Fiio M23は次のような人に特におすすめできます。
- 初めてハイレゾDAPを購入したい人
- ストリーミング再生をメインに使いたい人
- 外出でも自宅でも同じ機材で聴きたい人
- 音の分離感・解像度を重視する人
- シンプルなUIと高品質なデザインを求める人
逆に、軽さやポケットサイズを最優先する人、音の温かみや味付けを強く求める人には、もう少し別の機種が合うかもしれません。
Fiio M23のレビュー評価まとめ!音質・機能・使いやすさの結論
総合すると、Fiio M23は“万能型ハイエンドDAP”という表現がぴったりです。音質は高解像度でありながら自然、機能面ではストリーミングやUSB-DACなど現代のニーズを完全にカバー。さらにデザイン・操作性・安定感のどれをとっても完成度が高く、日常で気軽にハイエンドオーディオを楽しめるプレーヤーといえます。
携帯性やストレージ容量に小さな不満は残るものの、それを補って余りある満足度があります。FiiOらしい技術と設計思想が詰まった、音楽を“純粋に楽しむ”ためのDAP。それがFiio M23です。
