イヤホン選びにこだわりたい人なら、一度は耳にしたことがあるであろう「final」。その中でも特に評価の高いモデルが、**final e5000**です。
この記事では、実際の音質傾向や装着感、そして同価格帯でのコスパまで、じっくりとレビューしていきます。
final e5000とは？──金属筐体が放つ上質な存在感
final e5000は、日本ブランド「final」が展開するEシリーズの中でも上位に位置するモデルです。
約3万円台という価格ながら、筐体にはステンレス鏡面仕上げの金属シェルを採用。
手に取った瞬間にわかる高級感と、緻密に仕上げられた造形は、まさに“工芸品”のような印象を与えます。
ドライバーは6.4mmのダイナミック型を搭載。
一見シンプルな構成ですが、内部の音響設計と通気構造の調整によって、自然な音の広がりと深みを実現しています。
このモデルが愛される理由は、スペックでは語りきれない「音の質感」にあります。
聴いて感じる音質──包み込むような低音と自然な中高域
final e5000の音を一言で表すなら、“暖かくて上品”。
最初に耳を奪うのは、柔らかく深みのある低音です。
ベースラインがしっかり沈み込みながらも、過剰にならずに音楽全体を支えるような存在感があります。
バスドラムの響きやコントラバスの余韻が美しく、クラシックやジャズとの相性は抜群です。
中域は非常に滑らかで、ボーカルの質感が自然。
音の厚みがありながら、声の息づかいやギターのボディ感もきちんと感じられます。
特にアコースティック系の楽曲では、演奏者が目の前に立っているかのような臨場感を味わえるでしょう。
高域は刺激を抑えた丸みのあるチューニング。
シンバルの煌びやかさは控えめですが、その分耳に刺さらず、長時間のリスニングでも疲れにくい。
一方で、解像度は非常に高く、音の細部をしっかり描き出します。
派手さよりも「滑らかで自然な音の流れ」を重視する人にぴったりです。
音場と立体感──静寂の中に広がる奥行き
E5000の魅力の一つが、音場の広さ。
左右だけでなく前後方向にも奥行きがあり、音がふわりと空間に漂う感覚を楽しめます。
ライブ音源やオーケストラでは、ホールの残響や空気感まで再現されるようなリアルさがあり、
“イヤホンで聴いていることを忘れる”というレビューも少なくありません。
また、音の分離感も非常に高いです。
複数の楽器が重なる場面でもそれぞれの位置が明確で、混濁しない。
これはfinalが得意とする微細音の再現性が活きている部分です。
装着感とデザイン──小ぶりながら上質な作り
見た目の金属ボディからは想像できないほど軽量で、装着感は快適。
final独自の「SwingFitイヤーピース」により、耳道に自然にフィットしてくれます。
長時間聴いていても痛くなりにくく、圧迫感も少なめです。
ただし、遮音性はやや控えめ。
外出時よりも、自宅や静かな場所でじっくり音楽を聴く用途に向いています。
ケーブルは銀コートOFC仕様で高音質ですが、やや硬めでタッチノイズが出やすい点は注意が必要です。
リケーブル対応なので、使い込んで好みのケーブルに交換する楽しみもあります。
駆動力と機器の相性──真価を引き出すにはアンプが鍵
final e5000は**感度が低め（93dB/mW）**で、スマホ直挿しでは音がこもるという声もあります。
高音質DAPやヘッドホンアンプを使うことで、本来の透明感や広がりが格段に増すのが特徴です。
特に出力に余裕のあるプレイヤーと組み合わせると、
低域の沈み込みや音の立ち上がりが見違えるほど向上します。
「鳴らす機材を選ぶイヤホン」とも言えますが、そこを丁寧に整えたときの音の美しさは唯一無二です。
コスパをどう見るか──高級機に迫る完成度
3万円台という価格を考えると、final e5000はコストパフォーマンスの高い高級イヤホンです。
同価格帯の機種と比べても、金属筐体の仕上げや付属ケーブルの品質、
そして音の自然さは一歩抜きん出ています。
一方で、駆動力の要求やタッチノイズなど、扱いに少し慣れが必要な面もあります。
しかし、その“ひと手間”をかけて向き合うほどに応えてくれるイヤホンです。
“鳴らしやすいイヤホン”を求める人には向かないかもしれませんが、
音にじっくり浸りたいリスナーにとっては価格以上の価値を感じられるでしょう。
他モデルとの比較──final e4000との違い
よく比較されるのが、下位モデルの**final e4000**。
E4000は中高域が明るめで、より軽快で万能なサウンド。
一方でE5000は、より低域寄りで音の厚みと空間表現を重視した設計です。
簡単に言えば、
- E4000：ナチュラルで明るい
- E5000：ウォームで重厚
という違い。
どちらも完成度は高いですが、音楽を「聴く」のではなく「感じたい」人にはE5000のほうが向いています。
どんな人におすすめか
- 音楽の“質感”や“空気感”を大事にしたい人
- 刺激の少ない落ち着いたサウンドを求める人
- DAPやアンプを使ってじっくりリスニングしたい人
- 長く使える高品質なイヤホンを探している人
派手な高音や強い低音を求める層には物足りなく感じるかもしれませんが、
「音楽を丁寧に味わいたい」というタイプのリスナーには理想的な一台です。
総評──final e5000が放つ“静かなる完成度”
final e5000は、派手さではなく音の自然さと上質さで魅せるイヤホンです。
低域の包容力、中域の温かみ、高域の滑らかさ。
どの要素も過剰ではなく、聴くたびに新しい発見があります。
アンプを通せばさらに深みを増し、まるで空間全体が音に包まれるような感覚に。
価格を超える体験を求める人にこそ、一度試してほしいモデルです。
「高級イヤホンは興味あるけれど、まずは確かな1本を選びたい」
そんな人にとって、final e5000は最良の出発点になるでしょう。
final e5000レビューのまとめ
final e5000は、高級イヤホンとしての音質とコスパを両立した名機です。
繊細で自然なサウンド、上品なデザイン、そして長時間聴いても疲れにくい優しさ。
派手さよりも深みを求めるリスナーにとって、これほど完成度の高いモデルは多くありません。
静かに、そして確実に“音楽と向き合う時間”を豊かにしてくれるイヤホン。
それがfinal e5000です。
