ヘッドホン好きの間でじわじわ注目を集めている「HIFIMAN Edition XS」。
名前は知っているけれど、どんなサウンドなのか、実際のところどうなのか気になっている人も多いのではないでしょうか。今回は、平面磁界型ヘッドホンの魅力とともに、Edition XSの実力をじっくり掘り下げます。
平面磁界型の魅力を凝縮したHIFIMAN Edition XSとは
HIFIMAN Edition XSは、平面磁界（プラナー）ドライバーを搭載したオープンバック型ヘッドホン。
もともと上位モデル「HIFIMAN Edition X」や「HIFIMAN Ananda」の技術を受け継ぎつつ、価格を抑えたミドルレンジとして登場しました。
平面磁界型のドライバーは、薄い振動板全体を磁力で均一に動かす構造。これにより歪みが少なく、音の再現性が非常に高いのが特徴です。
HIFIMANの独自技術「Stealth Magnet」と「NEO Supernano Diaphragm」によって、微細な音の立ち上がりや余韻をより正確に再現できるようになりました。
オープン型ならではの開放感と、平面磁界ならではの情報量。この2つを両立している点がEdition XS最大の魅力です。
開放型らしい広がりと空気感
Edition XSを初めて装着すると、その音場の広さに驚く人が多いです。
耳の周囲で音が鳴っているというより、前方にステージが広がっているような感覚。
クラシックのオーケストラでは楽器の配置が自然に感じられ、ライブ音源では空気の震えまで伝わるようです。
音の定位も明確で、ボーカルやギター、ドラムの位置関係がはっきりとわかります。
まるで録音スタジオの中にいるような臨場感が味わえる、そんな印象を持つ人が多いようです。
解像度の高さと中立的なバランス
Edition XSのもう一つの特徴は、情報量の多さ。
高解像度という言葉はよく使われますが、このヘッドホンの場合は「音の粒立ちが細かく、空間に浮かんでいるように感じられる」と表現したくなります。
ボーカルの息遣いや、弦が擦れる瞬間のニュアンス。
通常のダイナミック型ヘッドホンでは埋もれがちな音が、自然に、しかし鮮明に浮かび上がります。
中音域はフラットで誇張がなく、録音そのものを忠実に再生するタイプです。
低音は量感よりも質を重視したタイプで、タイトに締まりながら深く沈みます。
重低音を強く求める人には物足りなく感じるかもしれませんが、音楽全体のバランスを壊さず、繊細な響きを大切にしている印象です。
高音域の透明感と繊細な描写
高音域はクリアで抜けが良く、細部までしっかりと再現します。
シンバルの響きやピアノの余韻がとても自然で、透明感のあるサウンド。
ただし録音状態によっては高音がやや鋭く感じられることもあります。
とはいえ、刺さるような不快感というよりは「音の情報量が多いがゆえのシャープさ」と考えると納得できます。
ジャンルによってはこの明るいトーンが生きる場面も多く、特にアコースティックや女性ボーカルでは清涼感が際立ちます。
駆動しやすく扱いやすい設計
平面磁界型というと、大型アンプが必要なイメージがあります。
しかしEdition XSは18Ωという低インピーダンス、感度92dBと比較的鳴らしやすい設計。
ポータブルDACや据え置きアンプを使えば、十分に実力を発揮できます。
もちろん、駆動力の高いアンプを用意すれば音の密度や立体感はさらに向上します。
スマホ直挿しでも音量は取れるものの、本領を引き出すならDAC併用が理想的です。
「入門しやすい平面磁界型」という点で、Edition XSは多くのオーディオファンから支持されています。
装着感とビルドクオリティ
重量は約405gと、やや重ため。
とはいえイヤーパッドが大きく、耳全体を包み込むような楕円形デザインなので、側圧はそれほど強くありません。
装着時の快適さは良好で、通気性も高いです。
長時間リスニングでも蒸れにくく、疲れにくいという声が多く見られます。
一方で、頭のサイズによっては少しズレやすいという意見もあり、フィット感には個人差があるようです。
軽快な外出用途というよりは、じっくりと腰を据えて聴く“据え置き用”ヘッドホンと言えるでしょう。
ジャンル別の相性
Edition XSはジャンルを選ばず使える万能型ですが、特に相性が良いのは以下のような音楽です。
- クラシックやジャズなど、音場や楽器の分離感が重要なジャンル
- アコースティック、女性ボーカル、ライブ録音など自然な響きを味わいたい音源
- ゲームや映画のサウンドトラックなど、空間的な臨場感を重視するシーン
一方で、EDMやヒップホップなど、重低音を主体とする音楽を好む人にはやや軽めに感じるかもしれません。
ただ、その分中高域の解像度が高く、ミックス全体のバランスを見通せる点は魅力です。
価格とコストパフォーマンス
定価は6万円前後ですが、現在は流通価格が下がり手に取りやすくなっています。
この価格帯でこれほどの解像度と空間表現を持つヘッドホンは多くありません。
特に平面磁界型の世界に初めて触れる人にとっては、理想的なエントリーモデルと言えます。
同社の上位機種「HIFIMAN Ananda」や「HIFIMAN Arya」と比較しても、解像度や音場の広さで大きな差は感じにくく、コストパフォーマンスの高さが際立ちます。
「この価格でここまでの音が聴けるのか」と驚くレビューが多いのも納得です。
迫力と繊細さを両立するサウンド体験
Edition XSのサウンドは、一言でいえば「迫力と繊細さの共存」。
音の立ち上がりは俊敏で、エネルギー感がありながら、決して荒々しくならない。
高音の抜けと低音の締まりが見事にバランスしており、音楽の息づかいをそのまま感じられます。
長く聴いていても聴き疲れしにくい点も魅力で、分析的でありながらリスニング用途にも十分使える。
「音を研究する」だけでなく、「音を楽しむ」ためのヘッドホンとして完成度が高い一台です。
HIFIMAN Edition XS レビューで体感する迫力のサウンド：まとめ
HIFIMAN Edition XSは、平面磁界型ヘッドホンの入門としても、長く使える一本としてもおすすめできるモデルです。
その特徴は、開放的な音場、高解像で繊細な表現、そして疲れにくい自然なバランス。
高音質を求めつつも、日常的に音楽を心地よく聴きたい人にはぴったり。
一度この音に慣れてしまうと、もう他のヘッドホンには戻れないという人もいるほどです。
「迫力のあるサウンドを、透明感とともに楽しみたい」――
そんな人にこそ、HIFIMAN Edition XSは強くおすすめしたい一台です。
