イヤホン選びで「音質も使い勝手も両立したい」と思う人は多いはず。そんな中、近年オーディオファンの間で話題になっているのが KZ ZAX。中国ブランド「KZ（Knowledge Zenith）」の中でもハイコスパモデルとして注目を集めています。
今回はこのKZ ZAXを実際のレビューや比較を踏まえながら、サウンド面と利便性の両方から詳しく紹介していきます。
KZ ZAXとは？多ドライバー構成が生み出す実力派イヤホン
KZ ZAXは、片側に7基のバランスド・アーマチュアドライバー（BA）と1基のダイナミックドライバー（DD）を搭載した、合計8ドライバー構成（左右で16基） のハイブリッドイヤホン。
この多ドライバー構成により、低音から高音までを緻密に分担し、解像感の高いサウンドを実現しています。
スペック面では以下のような特徴があります。
- 感度：約113dB
- インピーダンス：24Ω
- 再生周波数帯域：10Hz〜40kHz
- ケーブル着脱式（2pinコネクタ採用）
- 銀メッキケーブル付属
価格はおおよそ7,000円〜1万円前後。
多ドライバー構成ながら1万円以下で購入できる点が、KZ ZAXの最大の魅力といえるでしょう。
KZ ZAXの音質を徹底レビュー
イヤホンを語る上で外せないのが「音質」。KZ ZAXのサウンドは、全体としてバランスの良いU字型傾向と評されます。
低域・中域・高域それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
低音 ― パワーと深みを両立した迫力ある鳴り
KZ ZAXの低音は、10mmダイナミックドライバーによって生み出される厚みと力強さが印象的です。
ベースやドラムのキックはしっかりと沈み込み、音楽全体を下支えしてくれます。
ただし、他モデルのような過剰な重低音ではなく、音の輪郭を保ちながら自然に鳴らす方向性。
そのため、ポップスやロックだけでなく、ジャズやクラシックなど幅広いジャンルに対応します。
中音 ― ボーカルが映えるクリアな定位感
ボーカルの表現力はこの価格帯として非常に高いです。
中域の音は埋もれにくく、ボーカルがしっかり前に出てきます。
男性ボーカルでは温かみ、女性ボーカルでは透明感が感じられ、ハーモニーの重なりも丁寧に描写。
ギターやピアノなどの中域帯楽器の音も明瞭で、細かなタッチがきちんと伝わります。
高音 ― 伸びやかで鮮明なディテール
高音域は7基のBAドライバーが担当。繊細で透明感のある響きを持ち、ハイハットやストリングスの余韻までしっかり再現します。
一方で、一部のユーザーからは「高域がやや鋭い」との指摘もあり、長時間のリスニングでは音量調整が必要な場合も。
しかし、解像度の高さと空気感の再現性は同価格帯では頭ひとつ抜けています。
音場の広さと分離感
ZAXを装着してまず感じるのが、音の立体感と広がり。
サウンドステージは広めで、左右の定位がしっかりと感じ取れます。
ライブ音源を聴くと、ボーカルと楽器の距離感が自然に再現され、まるで目の前に演奏者がいるような臨場感を楽しめます。
また、複数の楽器が同時に鳴る場面でも、各音が潰れずしっかり分離。
多ドライバー構成の恩恵が最も発揮されるポイントといえるでしょう。
装着感とデザイン ― 長時間リスニングでも快適
ZAXはハウジングが人間工学に基づいて設計されており、耳にしっかりフィットします。
筐体は金属フェイスプレートと樹脂ボディの組み合わせで、質感も高級感があります。
重量はややあるものの、耳にかかる負担は少なく、長時間の装着でも痛くなりにくい設計です。
イヤーピースは標準的なシリコンタイプですが、好みに合わせてフォームタイプや別売イヤピに交換することで、遮音性や装着感をさらに向上させることも可能です。
利便性 ― ケーブル交換・使い勝手の良さ
KZ ZAXは2pinコネクタを採用しており、リケーブルが可能。
より高音質なケーブルやBluetoothケーブルに交換すれば、ワイヤレスイヤホンとしても使用できます。
音楽リスニングだけでなく、テレワークや動画視聴などにも柔軟に対応できる点が強みです。
付属のケーブルは銀メッキ仕様で、音の透明感を損なわない作り。
マイク付きケーブルを選べば、スマートフォンでの通話や音声会議にも対応できます。
シンプルながらも実用性に優れた構成です。
他モデルとの比較で見えるKZ ZAXの立ち位置
同ブランドの人気モデル「KZ ZSX」や「KZ ZAS」と比較すると、ZAXはより全体のバランスが整ったモデルといえます。
ZSXは低音寄り、ZASはやや高域寄りのチューニングなのに対し、ZAXはその中間に位置する自然なバランスが特徴。
特定の帯域を強調せず、どんなジャンルでも聴きやすい万能タイプとして評価されています。
また、他社の「TinHifi T2 Plus」などと比較しても、ZAXのほうが音の厚みと空間の広さを感じやすいという声が多いです。
コスパの面では依然として強力な選択肢のひとつと言えるでしょう。
KZ ZAXのメリットと注意点をまとめる
良い点
- 多ドライバー構成による解像度と立体感
- 自然で聴き疲れしにくい音のバランス
- リケーブル対応で拡張性が高い
- 価格に対しての音質が非常に優秀
- 長時間でも快適な装着性
気になる点
- 高域がややシャープに感じる場合あり
- ケーブルの質感は標準的
- 遮音性はイヤーピースに左右される
これらを踏まえると、KZ ZAXは「高音質を手頃に楽しみたい」「自分好みにカスタマイズしたい」人におすすめの1本。
特にリケーブルやイヤーピースの交換で音のキャラクターを変えられるため、オーディオの入口としても最適です。
まとめ：KZ ZAXのサウンドと利便性を比較レビューで紹介
KZ ZAXは、音質・装着性・拡張性の三拍子が揃った高コスパイヤホンです。
多ドライバー構成による広がりのあるサウンドは、初めて中華イヤホンを試す人にも満足度が高いはず。
一方で、高域の刺激やケーブルの質感など気になる点もありますが、価格を考えれば十分に納得のいく仕上がりです。
「1万円以下でここまで鳴らせるのか」と思わせる完成度。
音楽を細部まで楽しみたいリスナーには、ぜひ一度試してほしいモデルです。
KZ ZAXのレビューを通して、音の深さと使いやすさを両立する魅力を感じてもらえれば幸いです。
