イヤホン選びに迷っていると、名前をよく見かけるのが「KZ ZSTX」。
価格帯は手頃なのに「ハイブリッド構成」「解像度が高い」などの声が多く、コスパの良さで注目を集めています。
今回は、そんなKZ ZSTXを実際に使ったときの使い勝手と音質を、できるだけ丁寧に検証していきます。
KZ ZSTXとは?手頃な価格でハイブリッド構成を実現
KZ(Knowledge Zenith)は、中国のオーディオブランドの中でも特に「コスパの良さ」で知られるメーカーです。
KZ ZSTXは、同社の定番モデルKZ ZSTの後継として登場した有線イヤホンで、1BA(バランスドアーマチュア)+1DD(ダイナミックドライバー)構成を採用しています。
低音域用のダイナミックドライバーと、高音域を担当するBAドライバーを組み合わせることで、価格以上の解像度と広がりを実現。
実売価格は2,000円台前半でありながら、仕様面だけ見れば中価格帯モデルに匹敵する内容です。
- 周波数帯域:20Hz〜40kHz
- インピーダンス:12Ω
- 感度:107dB/mW
- 接続端子:0.75mm 2Pinリケーブル対応
カラーバリエーションはブラック、パープル、ターコイズなどがあり、透明感のある筐体が印象的です。見た目にも安っぽさがなく、初めてのKZイヤホンとしても人気のモデルです。
実際の使い勝手:軽さとフィット感が心地いい
最初に手に取って感じるのは、本体の軽さ。
樹脂製のハウジングは透明で、内部のドライバー構造がうっすら見えるデザイン。ケーブルは耳掛け式で、装着するとしっかりと固定されます。
耳へのフィット感は良好で、長時間つけていても痛くなりにくいのが好印象です。
付属のイヤーピースは3サイズあり、自分の耳に合うものを選びやすい構成になっています。
遮音性はカナル型らしく標準的。
通勤やカフェなど、ある程度の環境音がある場所でも快適に聴けますが、完全なノイズキャンセル機能を求める人にはやや物足りないかもしれません。
また、リケーブル対応なのもこの価格帯では貴重です。
断線時にケーブルだけ交換できるのはもちろん、好みのケーブルに替えることで音質傾向を微調整することもできます。
イヤホンを長く使いたい人にとっては、ここも大きな魅力です。
音質レビュー:ドンシャリ傾向で迫力あるサウンド
KZ ZSTXを聴いたときの第一印象は「元気のある音」。
全体的に低音と高音が強めのドンシャリ傾向です。音の輪郭がはっきりしていて、音楽を「勢いよく」聴かせてくれます。
低音:力強く、厚みがある
低音はしっかりと出ています。
特にベースラインやバスドラムのアタック感が明確で、EDMやロック、ヒップホップなどのリズム重視の楽曲では非常に心地よい迫力があります。
一方で、低音がやや膨らみ気味に感じることも。
曲によっては低域が全体を包み込みすぎて、中音域が少し埋もれる印象を受けることもあります。
ただ、価格を考えればこの重低音の量感は見事です。
中音:やや控えめだが、ボーカルは明瞭
中音域は、ドンシャリの特徴通り少し引っ込んだ位置にあります。
しかしボーカルはしっかりと前に出ており、声の粒立ちは良好。
アコースティックやポップスなどでは、楽器の分離感が感じられ、ボーカルと伴奏の距離感も適度にあります。
ただし、ギターやピアノなどの中音域がメインの曲では「もう少し厚みがほしい」と感じる人もいるでしょう。
それでも、この価格帯でボーカルの表現力がここまであるのは驚きです。
高音:明るく抜けが良いが、やや強め
高音はとてもクリアで、細かい音の粒まで聴き取れます。
シンバルの金属的な響きやストリングスの伸びなど、高音の抜け感がとても気持ちいい。
ただ、音量を上げると刺さるように感じる場面もあり、長時間のリスニングでは少し疲れを感じるかもしれません。
高音の表現力は優秀ですが、刺さりが気になる人はイヤーピースを交換して調整するのがおすすめです。
シリコン製よりもフォームタイプを使うと高音の角がやわらぎ、バランスが取りやすくなります。
サウンドステージと解像度:広がりのある立体感
KZ ZSTXは、ステレオイメージが広く、音の分離も上々です。
特に左右の定位が明確で、楽器がそれぞれの位置で鳴っているように感じられます。
小編成のジャズやライブ音源などでは、音の距離感がリアルで没入感があります。
また、1BA+1DDの構成による高解像度も印象的です。
細部の表現がしっかりしており、低価格帯にありがちな「ぼやけた音」になりにくい。
コスパイヤホンとしてはトップクラスのクオリティといってよいでしょう。
使って感じたメリットとデメリット
メリット
- 2,000円台とは思えない高解像度
- ドンシャリ傾向で迫力のある音
- リケーブル対応でカスタマイズ性が高い
- 軽量で装着感が良い
- デザイン性が高く、見た目も安っぽくない
デメリット
- 高音が刺さることがある
- 低音が強めで、中音域が少し埋もれる傾向
- ケーブルの取り回しがやや硬め
- ノイズキャンセリング機能は非搭載
こうして見ると、KZ ZSTXは「勢いのある音」を求める人にぴったりのイヤホンです。
一方で、フラットで自然な音を求める人には少し元気すぎるかもしれません。
他モデルとの比較:KZ ZSTやKZ ZSXとの違い
KZ ZSTXは、初代KZ ZSTの改良版として登場しています。
旧モデルと比べると、音のクリアさや低音の量感が増し、全体的にパワフルな仕上がりです。
一方でKZ ZSTの方が中音域が落ち着いており、やや聴き疲れしにくいという意見もあります。
上位機種のKZ ZSXと比べると、KZ ZSTXはより軽快で元気なサウンド。
KZ ZSXのほうが解像度と音場の広さでは上ですが、価格差を考えればKZ ZSTXは圧倒的なコスパを誇ります。
音のバランスを取るより「楽しく聴くこと」を重視する人には、KZ ZSTXのほうが向いています。
こんな人におすすめ
- 低価格でハイブリッド構成イヤホンを試したい人
- EDMやロックなど、テンション高めの音楽をよく聴く人
- 音の迫力や解像度を重視する人
- リケーブルで音をいじってみたい人
- 手軽に高音質を楽しみたい初心者
逆に、クラシックやジャズを落ち着いて聴きたい人には向かないかもしれません。
音の派手さよりも自然さを求める場合は、KZの他モデルやフラット傾向のイヤホンを検討するのもありです。
総評:KZ ZSTXは価格以上の満足度を与えてくれるイヤホン
KZ ZSTXは、「安いけれど音に妥協したくない」人にとって、理想的な選択肢です。
2,000円台という価格で、ハイブリッド構成・高解像度・デザイン性をすべて兼ね備えています。
確かに高音が少し強めでクセのある音ですが、その元気なサウンドが逆に中毒性を生んでいます。
リケーブル対応なので、自分好みの音に調整できる点も魅力。
音楽を「楽しむ」ことを大切にする人にとって、このイヤホンは非常に面白い存在です。
最後にもう一度強調すると、KZ ZSTXは「価格以上に音楽を楽しませてくれる」モデルです。
これからイヤホンを新調する人は、ぜひ一度試してみてください。
KZ ZSTXの使い勝手と音質を丁寧に検証レビュー(まとめ)
改めてまとめると、KZ ZSTXは
- 低音の迫力
- 高音の透明感
- リケーブル対応の自由度
- 軽くて快適な装着感
これらを備えた、バランスの良いエントリーモデルです。
派手めな音が好きな人、初めてハイブリッド構成を試す人にはとてもおすすめ。
あなたの音楽体験を、きっと手軽に広げてくれるはずです。
