こんにちは。今回はケンウッドのデジタルルームミラー「LZ X20EM」を実際に使って感じたリアルなレビューをお届けします。発売直後から話題になっているこのモデル、果たして本当に「映像が鮮明で遅延が少ない」と評判通りなのか。実際の使用感や気づいた点を含めて、じっくり検証しました。
LZ X20EMとは? ケンウッド初のデジタルルームミラー
LZ X20EMは、ケンウッドが2024年11月に発売した10インチクラスのデジタルルームミラーです。後方カメラの映像をミラーにリアルタイム表示するタイプで、車内の荷物や後席の人影に邪魔されることなく後方を確認できます。純正ミラーに取り付けるだけで使える手軽さも魅力のひとつです。
特徴をざっくりまとめると以下のようなイメージです。
- 10V型の大型ディスプレイ
- 59fpsの滑らかな映像表示
- 高感度PureCel®Plus-S CMOSセンサー搭載
- HDR(ハイダイナミックレンジ)で白飛びや黒つぶれを軽減
- バックギア連動の自動下向き切り替え
- 6段階のズーム・アングル調整
つまり、ただ「映るだけ」ではなく、映像の質と使い勝手の両立を目指したモデルです。
開封してまず感じた「質感」と「安心感」
実機を手にした第一印象は「想像以上にしっかりした作り」。筐体の剛性感があり、安っぽさは皆無。ケンウッドらしい信頼性の高さを感じました。10インチのモニターは存在感がありますが、車内に装着しても圧迫感は意外と少なく、純正ミラー感覚で使えます。
ケーブルや付属品も一通り揃っており、DIYで取り付けたい人にも配慮された設計。ただし、ケーブルがやや太めなので、配線をきれいにまとめたい人は事前にルートを考えておくと安心です。
取り付けのしやすさと初期設定
取り付け方法は純正ミラーにかぶせてゴムバンドで固定するタイプ。力もコツもほとんど要りません。電源はシガーソケットや常時電源のどちらにも対応しており、DIY初心者でも問題なく設置できるレベルです。
電源を入れると自動でリアカメラの映像がミラーに映し出されます。初期設定で輝度や画角を調整できますが、すべてタッチ操作で直感的。スマホを操作する感覚で設定が進められる点はかなり好印象でした。
実際の映像品質:昼と夜で印象がガラリと変わる
LZ X20EMの最大の売りは、59fps対応による滑らかな映像。実際に走行してみると、車線変更や追い越し時でも映像のブレやカクつきがほとんどなく、後方の車の動きが自然に把握できます。従来の30fpsモデルとは明らかに違う「滑らかさ」を実感できます。
昼間はくっきり見える一方で、強い日差しが当たる時間帯ではコントラストがやや淡く感じることもあります。明るさの自動調整はある程度機能しますが、晴天の昼間は手動で少し輝度を上げると見やすくなります。
夜間は一転して非常に優秀。PureCel®Plus-S CMOSセンサーが本領を発揮し、街灯の少ない道でもしっかりと後方が映ります。HDR処理が効いており、ヘッドライトの白飛びも少ないです。特に雨天時やトンネル内など、反射が多いシーンでの視認性は抜群でした。
実走でわかった「遅延の少なさ」
デジタルミラーの課題としてよく挙げられるのが映像の遅延ですが、LZ X20EMは非常に少ないです。運転中にミラーを見てもタイムラグを感じることはほぼなく、あくまで“ミラーとして自然に使える”印象。合流やバック走行のときも違和感がありません。
これにより、従来の「映像が少し遅れて怖い」といった不安感が解消されており、初めてデジタルミラーを導入する人でも安心して使えると思います。
操作感と表示調整の自由度
タッチパネルによる画角・ズーム・明るさ調整は非常にスムーズです。6段階のズーム調整で「後続車全体を映す」「ナンバープレートを中心に映す」といった微調整が可能。リバース連動時は自動的にアングルが下向きになるため、駐車時の後方確認も快適でした。
また、画面の反応速度も速く、タッチ後すぐに映像が追随します。UIデザインもシンプルで、運転中でも直感的に操作できます。
LZ X20EMのメリットまとめ
実際に使って感じた「良かった点」は以下の通りです。
- 夜間でも鮮明に後方が確認できる
- 高フレームレートで滑らかな映像表示
- 視界が広く、死角が減る
- 映像遅延がほとんどない
- 操作が直感的でわかりやすい
- バックギア連動やズーム調整が便利
特に夜間走行が多いドライバーにとっては、かなりの安心感を得られる製品です。トラックやSUVなど後方視界が限られる車種との相性も良いと感じました。
気になった点や注意点
もちろん完璧ではなく、いくつか気になった部分もあります。
まず、日中の直射日光下では映像がやや見えづらくなることがあります。これは液晶特性上仕方ない部分ですが、偏光フィルムなどを併用することである程度改善可能です。
次に、ケーブルの取り回し。リアカメラとの配線が太めなので、きれいに配線したい人は内張りを少し外す作業が必要になる場合もあります。DIYに不慣れなら、ショップで取り付けてもらうのが安心です。
また、色味に少しクセがあり、実際よりも淡く映ることがあります。見づらいというほどではありませんが、カメラ映像としての再現性は好みが分かれるかもしれません。
価格とコスパについて
LZ X20EMの実勢価格は3万円台前半。3年保証付きという点を考えると、ケンウッドブランドの安心感込みでコストパフォーマンスは非常に高いといえます。同価格帯では中華製ミラーも多く出回っていますが、信頼性やサポート体制を重視するならこちらを選ぶ価値は十分あります。
他モデルとの違いと選び方のポイント
ケンウッドにはこれまでドライブレコーダー一体型モデルもありましたが、LZ X20EMはあくまで「ルームミラー特化型」。録画機能を省いた分、映像の安定性や応答速度にリソースを集中しています。
「ドラレコは別で運用する」「とにかく見やすいミラーが欲しい」というユーザーにぴったりの設計です。
もしドライブレコーダー付きが欲しい場合は上位のDRVシリーズを検討してもいいですが、映像の滑らかさや遅延の少なさではLZ X20EMが優れています。
実際に使って感じた総評
LZ X20EMを数週間使ってみて、もっとも強く感じたのは「デジタルミラーがようやく実用レベルになった」ということ。
これまでのモデルにありがちな映像のぎこちなさや反応の遅さが解消されており、まるで普通のミラーのように自然に使えます。
また、夜間や雨天時の安心感は従来の鏡式ミラーでは得られないレベル。長距離運転や後席をよく使う人には、間違いなく導入する価値があります。
一方で、晴天下の映像コントラストやケーブル処理など細かい不満もゼロではありませんが、総合的には価格以上の満足度でした。さすがケンウッド、と感じさせる完成度です。
まとめ:LZ X20EMの実機レビューと性能を徹底検証した結果
最後にもう一度まとめると、LZ X20EMは以下のような人におすすめできます。
- 夜間走行が多く、明るく見やすいミラーを探している
- デジタル遅延の少ない自然な映像を求めている
- ケンウッドの品質とサポートに安心感を求める
- ドライブレコーダーは別で運用し、ミラー表示に特化したい
「映像が滑らかで遅延が少ない」「死角が減る」「夜間も明るい」。これらを求めるなら、LZ X20EMは間違いなく満足できる選択肢のひとつです。
デジタルルームミラーの完成形に近いこのモデル。
使うたびに「これがあってよかった」と思える一台でした。
