ガンダムWの中でも特に人気の高い機体「ガンダムデスサイズヘルEW」。そのEW(Endless Waltz)版を再現したMGデスサイズヘルEWは、漆黒のボディと悪魔の翼のようなアクティブクロークが印象的なキットです。
この記事では、実際に組み立てて感じた完成度、作りやすさ、そして気づいたポイントを詳しくレビューしていきます。
闇夜の死神 ― EW版ガンダムデスサイズヘルとは
まず、MGデスサイズヘルEWがどんなガンプラなのかを簡単に整理しておきましょう。
このキットは、OVA作品『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』に登場するガンダムデスサイズヘルを、カトキハジメ氏のデザインで立体化したもの。原作TV版よりもシャープで妖艶なデザインになっており、まさに「死神」の名にふさわしい威圧感を放っています。
MG(マスターグレード)として発売された本モデルは、カトキ氏監修のもと全身のプロポーションをリニューアル。背中の巨大なアクティブクロークが展開する姿は圧巻で、飾るだけでも存在感抜群です。
成型色と色分け ― 組むだけで映える完成度
MGデスサイズヘルEWの成型色は、ブラック、ダークグレー、ホワイト、レッド、イエローの5色構成。組み立てるだけで設定通りのカラーリングが再現できるため、塗装をしなくても十分見栄えがします。
特にブラックの質感はツヤを抑えたマット寄りのトーンで、全体に落ち着いた印象。白い肩装甲や黄色いアンテナが映える配色バランスも絶妙です。
頭部センサーやツインアイはクリアーパーツ+ホイルシールで再現されており、光を当てるとキラッと光るのが気持ちいい。
色分けの完成度はMGシリーズの中でも上位クラスで、初心者でも「組んだだけで完成品に近い仕上がり」になります。
フレーム構造とギミックの作り込み
内部フレームにはXXX-Gフレームを採用。関節の可動域が広く、自然な立ち姿からアクションポーズまでしっかり決まります。
腕や脚の内部構造には段落ちモールド処理が施され、合わせ目が目立ちにくい設計です。装甲の開閉や干渉も少なく、可動とデザインのバランスが取れています。
そして最大の見どころは、背部のアクティブクローク。
悪魔の翼のように広がる5枚のパネルが連動し、展開時は驚くほどのボリュームに。閉じた状態ではマントのように包み込むフォルムになり、劇中の姿を完璧に再現できます。
可動部にはABSパーツが多用されており、強度は高いものの少し硬め。
最初の開閉時は関節をゆっくり動かすのがおすすめです。慣れるとスムーズに可動し、閉じた時の「パチン」と噛み合う感触も心地よいポイントです。
組み立てやすさ ― 難易度は中級者向け
組み立てそのものはMGシリーズとしてはオーソドックスな構成で、パーツ数も極端に多くはありません。
しかし、アクティブクロークやフレーム周りの細かい可動部はやや複雑で、初心者にとっては慎重さが求められます。特にクロークの接続基部はABS素材のため、無理に押し込むと白化しやすいので注意。
説明書の工程は非常に丁寧で、パーツの組み合わせが分かりやすく、迷うことはほとんどありません。
腕部や脚部の構造は左右対称で組みやすく、パーツ精度も高いため、ズレや歪みもほぼ無し。
組み上がる過程で「しっかりとした骨格を作っている感覚」があり、完成時の達成感はかなり大きいです。
可動性能とポージングの自由度
可動域については、MGデスサイズEWをベースに改良されているため、全体的に良好です。
肘や膝は二重関節構造で深く曲がり、立膝ポーズも余裕。肩関節は引き出し機構付きで、腕を大きく振り上げることができます。
腰の回転は標準的ですが、フロントスカートの可動で前屈姿勢もしっかり取れます。
ただし、背中のクロークを装着すると重心が後ろに寄りがち。
大きく羽を広げた状態では、アクションベースを併用するのが安心です。
また、サイドアーマーが外れやすいというレビューもあり、接着または塗膜調整で補強しておくと安定します。
付属品と武装 ― シンプルながら存在感大
主武装のビームシザースは、長大な刃と重厚なデザインで迫力満点。
ハンドパーツは保持力が高く、ビームシザースをしっかり握れます。
ビーム刃はクリアグリーン成型で、光の当たり方によって美しいグラデーションが浮かび上がるのも魅力です。
このほか、デュオ・マックスウェルの1/20スケールフィギュアが付属。
小さいながらもディテールが細かく、塗装すれば飾り甲斐のある仕上がりになります。
ディスプレイ用のジョイントパーツも付属しており、アクションベースと組み合わせて自由にポーズを楽しめます。
組み立て後の見栄えと存在感
完成後のMGデスサイズヘルEWは、とにかく「立っているだけで絵になる」キットです。
ダークカラーの装甲と白い肩パーツ、鋭角なシルエットの対比が美しく、どの角度から見ても陰影の映える立体感があります。
特にアクティブクロークを閉じた姿は、闇に潜む死神そのもの。広げた時のシルエットは圧倒的で、他のMGを隣に置くとその迫力が際立ちます。
また、外装パーツの合わせ目が目立たず、素組みでも完成度が高い点は評価ポイント。
表面処理や軽い墨入れを施すだけで一気にクオリティが上がるので、塗装派にも素組み派にも満足度の高い内容です。
注意点と改善ポイント
このキットにはいくつか気をつけたい部分もあります。
まず、アクティブクロークの展開ギミックは構造が複雑で、特に開閉軸が硬い場合があります。無理に動かすと破損の恐れがあるため、ゆっくり動かすこと。
一度馴染むと滑らかに動作しますが、最初は慎重さが必要です。
また、重量バランスの関係で背面に倒れやすい場合があります。ディスプレイする際はアクションベースを使うと安定します。
その他、ABSパーツは塗装時に塗料が乗りにくい素材のため、塗装派の方は下地処理を丁寧に行うのがおすすめです。
MGデスサイズヘルEWは「見た目重視」派に最適な一体
総合的に見て、MGデスサイズヘルEWは完成度の高いガンプラです。
組みやすさと仕上がりの両立ができており、プロポーション・色分け・ギミックのすべてが高水準。
特に「飾ったときの存在感」を重視する人には、間違いなく満足できるキットです。
アクティブクロークの展開ギミックやフレームの強度、成型色の深みなど、MGシリーズの魅力を凝縮したような内容。
同じW系MGの中でも完成度はトップクラスで、シリーズを集めている人にもおすすめです。
MGデスサイズヘルEWレビューのまとめ
MGデスサイズヘルEWは、EW版のガンダムデスサイズヘルを忠実に再現した、完成度の高いマスターグレードです。
悪魔的なフォルム、重厚感のあるクローク、そして組み立てやすさのバランスが取れた良キット。
多少の組み立て難易度はあるものの、完成後の満足度は非常に高く、「作って楽しい」「飾って映える」MGとして高い評価を受けています。
ガンダムW好きはもちろん、造形美を重視するモデラーにも強くおすすめできる一体です。
MGデスサイズヘルEWの完成度と作りやすさを検証レビューとしてまとめるなら、このキットは“死神”の名にふさわしい存在感を放つ、まさに傑作MGといえるでしょう。
