音楽制作や配信で使うオーディオインターフェイスを探していると、よく目にするのが「MOTU M2」。
プロ用機器を多数手がけるMOTUが出しているコンパクトモデルで、3万円台ながら音質の良さと低レイテンシーで評判が高い。
この記事では、MOTU M2を実際に使った印象や音質・操作感・機能面を総合的にレビューしていく。
MOTU M2とはどんなインターフェイス？
MOTU M2は、2イン／2アウト構成のUSBオーディオインターフェイスだ。
XLR／TRSコンボ入力が2系統あり、マイクもラインも楽器も柔軟に扱える。出力はTRSラインアウト、ヘッドホン端子、RCA端子を装備。MIDI入出力も備えており、DTM用途に十分対応できる構成だ。
対応サンプリングレートは最大192kHz／24bit。電源はUSBバスパワーで動作し、外部電源を必要としない。
金属筐体のしっかりした作りで、コンパクトながらスタジオ機材のような存在感がある。持ち運びも簡単で、宅録やライブ配信など様々なシーンで活用できる。
音質レビュー：クリアでフラット、そしてノイズが少ない
まず感じるのは音の透明感だ。
MOTU M2は、ESS Sabre系の高性能DACチップを搭載しており、解像度の高さとノイズの少なさが際立っている。入力した音がそのまま出力されるような、癖のないフラットな音質。
余計な味付けがないため、後処理で音作りを追い込みたい人には特に向いている。
録音してみると、高域は澄んでいて、低域も引き締まっている。ダイナミックレンジが広く、静かな部分と大きな音の差をしっかり描き分けてくれる。
ボーカルの息遣いやギターの弦の振動など、細部のニュアンスが非常にリアルに再現される印象だ。
ノイズについても優秀で、ゲインを上げてもホワイトノイズがほとんど聞こえない。
マイクプリのクオリティも高く、ダイナミックマイクでも十分なゲインが確保できる。感度が低いマイクを使う場合でも、追加のブースターを使わずに済む場面が多い。
レイテンシー性能：リアルタイムで扱える快適さ
音楽制作や配信において、レイテンシー（遅延）は非常に重要なポイントだ。
MOTU M2は、この価格帯ではトップクラスの低レイテンシー性能を誇る。実測で2〜3ミリ秒程度の遅延に抑えられており、リアルタイムでモニタリングしても違和感がない。
ギターやシンセをリアルタイムで弾きながら録音しても、遅れを感じることがなく、自然に演奏できる。
配信やオンラインセッションなど、即応性が求められる用途でも安心して使えるのがMOTU M2の魅力だ。
ループバック機能で配信にも強い
MOTU M2のもう一つの大きな特徴が、ループバック機能を標準搭載している点。
PC内部の音とマイク入力を同時に録音・配信できるため、配信者やポッドキャスターにとっては非常に便利だ。
例えば、YouTube配信でBGMを流しながらトークしたり、ゲーム配信でシステム音を含めて録音したりといった使い方が簡単にできる。
専用の仮想ケーブルソフトを別途導入する必要がないので、設定の手間が少なく、トラブルも少ない。
カラーメーター付きの見やすいデザイン
操作性もMOTU M2の魅力のひとつ。
前面パネルにはフルカラーのLCDレベルメーターが搭載されており、入力・出力レベルを一目で確認できる。
このメーターは精度が高く、クリップやレベルの傾向をリアルタイムで視覚的に把握できるため、録音時の安心感がある。
ノブの操作感もしっかりしており、細かな音量調整がしやすい。
視覚的な情報と操作感のバランスが良く、初心者でも直感的に使いこなせるデザインだ。
付属ソフトとセットアップのしやすさ
MOTU M2には、DAWソフト「Digital Performer Lite」や「Ableton Live Lite」などが付属している。
初めてDTMを始める人でも、このバンドルソフトで録音・編集まで行える。インストールもシンプルで、MacやWindowsのどちらでもすぐ使える点は心強い。
一方で、Windows環境ではドライバーの設定がやや複雑だと感じるケースもある。
MOTUの公式サイトから最新版を入れることで安定動作するが、初回だけ少し手間がかかるかもしれない。
Macの場合はクラスコンプライアント対応で、接続するだけですぐに認識される。
ビルドクオリティと持ち運びやすさ
外装は金属製で非常に頑丈。安っぽさがなく、デスク上に置いても高級感がある。
ノブやスイッチの精度も良く、頻繁に持ち運ぶユーザーでも安心して使える作りだ。
サイズもコンパクトで、ノートPCと一緒にバッグに入れて持ち歩ける。
USBバスパワー駆動のため、電源ケーブルを持ち歩く必要がないのも魅力的だ。
自宅での制作はもちろん、リハスタや出先での録音にも対応できる万能さを感じる。
他機種との比較：同価格帯での立ち位置
同価格帯で人気のあるインターフェイスと比較しても、MOTU M2は強力な選択肢だ。
- Focusrite Scarlett 2i2：音質はやや温かみがあるが、M2のほうが解像度とノイズの少なさで上。
- Audient EVO 4：自動ゲイン設定などの便利機能はEVOが優れるが、音の純度ではM2が勝る。
- Steinberg UR22C：堅実な作りと安定性が魅力だが、M2はレイテンシーとメーター表示でリード。
このように、M2は“シンプルながら音質重視”という明確な方向性を持っており、録音品質を最優先する人に向いている。
実際の使用感：初心者から中級者まで満足できる一台
音楽制作を始めたばかりの人にも、MOTU M2は扱いやすい。
設定が簡単で、ドライバーを導入すればすぐに使える。DAWとの相性も良く、入力遅延が少ないため録音作業がスムーズに進む。
また、上位機種に匹敵する音質を持ちながら、余計な機能が省かれているので操作が迷いにくい。
録音、配信、モニタリングといった基本機能がすべて高いレベルでまとまっており、必要十分という言葉がぴったりだ。
注意点と改善してほしいところ
完璧に見えるMOTU M2にも、いくつか注意点はある。
・付属のUSBケーブルがUSB-A to Cの1本のみで、USB-Cポート同士で繋ぎたい場合は別途ケーブルを用意する必要がある。
・Windows環境では一部ドライバーの相性問題が報告されている。
・DSPミキサー機能など、本体での詳細ルーティングはできない。
とはいえ、これらは使用環境に依存する部分が大きく、基本的な動作や音質には何の不満もない。
MOTU M2オーディオインターフェイスの音質と性能レビューまとめ
MOTU M2は、価格以上のクオリティを備えたオーディオインターフェイスだ。
音の透明感、低ノイズ、優れたレイテンシー性能、ループバック機能など、すべての面で高い完成度を誇る。
特に「録音音質に妥協したくない」「これからDTMや配信を始めたい」という人にとって、最初の一台として最適。
見た目の高級感や操作のしやすさも含め、長く使える信頼感がある。
オーディオインターフェイス選びで迷ったら、MOTU M2を候補に入れて間違いない。
音質・性能・デザイン、どれをとっても価格帯を超えた実力を体感できるはずだ。
