ホンダの軽自動車ラインナップの中でも、ひときわ異彩を放つのが「N ONE RS」。可愛らしい見た目に反して、乗ってみると想像以上に本格的な走りを見せてくれる1台です。この記事では、実際にN ONE RSを体験した印象を交えながら、その魅力や評価ポイントを掘り下げていきます。
コンパクトな見た目に隠された走りの実力
最初に驚かされるのは、軽自動車とは思えないほどのしっかりとした走行感です。N ONE RSは660ccのターボエンジンを搭載し、最大出力64PS・最大トルク104Nmという軽規格の上限に迫るパワーを持ちます。
このスペックを数字だけで見ると大きな違いは感じにくいかもしれませんが、実際に走らせてみると、街中での加速の軽やかさや、坂道での粘り強さが際立ちます。アクセルを踏んだ瞬間、ターボが気持ちよく効き、エンジンが素直に反応してくれる。その感覚が小気味よく、ついもう少し遠くまで走りたくなるような気分にさせてくれます。
特に6速マニュアルトランスミッション(6MT)モデルの出来栄えは秀逸。ショートストロークのシフトフィールは、カチッと決まる感覚が心地よく、ドライバーの意図を正確に受け止めてくれます。クラッチも軽く、渋滞の多い市街地でも扱いやすい。まさに「走る楽しさを軽で体感できる」という点が、N ONE RS最大の魅力と言えるでしょう。
日常での扱いやすさと快適性
スポーティな走りを売りにしていながら、日常使いの快適さを犠牲にしていないのもN ONE RSの特徴です。軽自動車らしいコンパクトさはそのままに、室内は驚くほど広く感じます。
フロントシートのホールド感が絶妙で、長距離ドライブでも腰が痛くなりにくいのが好印象。リアシートの足元スペースも十分で、軽とは思えない快適さを確保しています。
また、全車に標準装備されている「Honda SENSING」は、安心感を一段と高めてくれます。衝突軽減ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線維持支援システム(LKAS)など、先進安全装備が一通りそろっており、日常の運転でも疲労感が少ない。とくに高速道路でのACCの安定した制御は頼もしい存在です。
デザインが放つ“かわいさとスポーティ”の絶妙バランス
N ONEシリーズといえば、その独特のデザインも大きな特徴。RSグレードでは、丸目のヘッドライトなど可愛らしいデザインを残しつつ、ブラックグリルや専用アルミホイールなど、スポーティさをプラスしています。
この“かわいいけど速そう”なギャップが、街中での存在感を一層引き立てています。男女問わず「おしゃれで個性的」と感じるデザインで、走るたびに視線を集めるのも納得です。
インテリアも手を抜いていません。オレンジステッチがアクセントになった専用シートやレザーステアリングは、乗り込んだ瞬間にワクワク感を与えてくれます。ペダル位置やハンドルの取り回しも自然で、運転に集中できるコクピット感覚がうまく演出されています。
実際に乗って感じた走行フィール
筆者が実際に試乗した際、特に印象に残ったのは、低速域での扱いやすさと高速域での安定感です。ターボが低回転から効くため、街乗りでは常に余裕を感じます。
一方で、スポーツモードに切り替えるとアクセルレスポンスがぐっと鋭くなり、軽とは思えない俊敏な反応を見せてくれました。コーナリングも安定しており、サスペンションの剛性感が高いため、ボディの傾きが少ないのも好印象。
ただし、足回りがしっかりしている分、段差を乗り越えるときに少し硬さを感じる場面もあります。とはいえ、これはスポーツモデルらしい特徴でもあり、乗り心地を重視するより“走る楽しさ”を求める人にとっては魅力に映るでしょう。
N ONE RSの燃費と維持費
ターボエンジンでありながら、燃費性能もなかなか優秀です。カタログ値で約20km/L(WLTCモード)と、実走でも17〜18km/L前後を記録するケースが多い印象です。
軽自動車なので税金や保険料も抑えられ、維持費の面でも安心感があります。スポーツモデルと聞くと燃費や維持費が気になる方も多いですが、N ONE RSは走りの楽しさと経済性のバランスがしっかり取れている点が評価されています。
気になる価格とコスパの印象
N ONE RSの新車価格はおおよそ210万円前後(MTモデル)。軽としては高めの価格帯ですが、装備内容や走行性能を考えると納得感があります。
ライバル車であるスズキ「アルトワークス」やダイハツ「コペン」と比較しても、日常使いとスポーツ性を両立した万能さが際立ちます。特にMTモデルでここまで完成度の高い軽自動車は希少で、「趣味性と実用性の絶妙なバランス」を求める層にはぴったりの1台です。
ユーザーの口コミから見えるリアルな評価
実際のオーナーからは「運転するたびに楽しい」「クラッチが軽くて扱いやすい」「街乗りでもストレスがない」といった好意的な声が多く寄せられています。
また、「コンパクトで取り回しやすいのに、長距離ドライブでも疲れにくい」という意見も多く、日常と趣味のどちらにも使える万能車としての魅力が際立ちます。
一方で、「リアシートや収納スペースが少なめ」「価格がもう少し抑えられたら理想」といった意見も見られ、実用性よりも“走る楽しさ”を重視する人向けの車であることが分かります。
まとめ:N ONE RSは“運転を楽しみたい人”のための軽
総じて、N ONE RSは「軽自動車の常識を超える楽しさ」を体現したモデルです。
6MTのシフト操作が心地よく、ターボエンジンのトルク感が抜群。さらに安全装備や快適装備も充実しており、走り好きだけでなく普段使いにも十分対応できます。
もちろん、価格や収納面など、すべてに完璧を求める人には合わないかもしれません。けれど、「車を操る楽しさ」「走る喜び」を求める人にとって、これほど満足度の高い軽は他にないでしょう。
見た目のかわいさと走りの本格さ。そのギャップこそが、N ONE RSの最大の魅力です。
もし“日常を少し特別にしたい”と感じているなら、N ONE RSという選択肢はきっと後悔しないはずです。
以上、**N ONE RS**の魅力と評価ポイントを実体験を交えて紹介しました。
