「いつものケナログが薬局で見つからない…」
そんな経験をした人、多いのではないでしょうか。口内炎の定番として長く愛されてきたケナログですが、実はすでに販売が終了しています。この記事では、なぜケナログが手に入らなくなったのか、その真相と代わりに使える代替薬をわかりやすく解説します。
ケナログとはどんな薬だったのか
ケナログは、口内炎や歯肉炎などの炎症に使われる「口腔用軟膏」です。
有効成分はトリアムシノロンアセトニドというステロイドで、炎症を抑え、痛みや腫れをやわらげる働きがあります。
1960年代から長く使われてきた薬で、医療用・市販用の両方が存在していました。特に「ケナログA口腔用軟膏5mg」はドラッグストアでも定番商品として親しまれ、口内炎といえばケナログ、と言われるほどの存在でした。
塗った部分にしっかり密着して、食事のときにも落ちにくい。
そんな“使い勝手の良さ”も人気の理由でした。
ケナログが販売終了したのはいつ？その背景とは
ケナログの販売が終了したのは2018年。
医療用・市販用ともに出荷が停止され、以後は流通在庫のみとなりました。2019年以降は薬局でもほぼ見かけることがなくなっています。
「成分の問題？」「副作用？」と思う人もいますが、実はそうではありません。
製造販売元の判断による“製品整理”が理由です。
つまり、安全性や効果に問題があったわけではなく、企業側の経営判断によって生産を終了した、ということです。薬事承認の維持費や生産ラインの合理化など、コスト面から旧製品を整理する流れが背景にあります。
また、ケナログは国内限定の販売薬でした。海外展開がなく、日本市場だけで販売されていたため、需要と供給のバランスがとりづらかったことも一因と考えられています。
現在ケナログは本当に手に入らないのか？
結論から言えば、正規ルートでの入手はほぼ不可能です。
メーカーによる出荷はすでに終了しており、薬局・ドラッグストア・通販サイトの在庫も完売状態です。
ネット上では「まだ売っている」との情報もありますが、その多くは転売品や旧在庫。
製造から年月が経過しており、品質の保証が難しいケースがほとんどです。
また、海外通販サイトやフリマアプリでの入手には、偽物や期限切れなどのリスクが伴います。
安全性を考えるなら、現在は代替薬を選ぶのが現実的です。
ケナログの代替薬候補①：オルテクサー口腔用軟膏
ケナログの代替薬としてもっとも知られているのが「オルテクサー口腔用軟膏」です。
有効成分はケナログと同じトリアムシノロンアセトニド。
ステロイドの力で炎症を抑え、痛みを鎮める作用があります。
使用感もケナログによく似ており、粘膜にしっかり密着して長持ちするタイプ。
「ケナログがなくなって困った」という人が乗り換えるケースが多く、薬剤師からも代替として推奨されています。
ただし、薬局によっては在庫が限られている場合もあるため、事前に問い合わせておくと安心です。
ケナログの代替薬候補②：アフタッチA
「貼るタイプがいい」という人には、アフタッチAがおすすめです。
こちらもトリアムシノロンアセトニドを有効成分とするステロイド系の口内炎薬。
患部に直接貼りつけることで、薬剤が長時間とどまり、痛みを和らげてくれます。
貼るタイプは軟膏よりも落ちにくく、外出中でも安心して使えるのが魅力。
一方で、貼る位置やタイミングに少しコツが必要です。慣れれば快適に使えるでしょう。
ケナログの代替薬候補③：トラフル軟膏PROクイック
市販薬で手軽に買えるものを探しているなら、トラフル軟膏PROクイックも候補に入ります。
こちらは抗炎症成分を含む軟膏で、ステロイドタイプと非ステロイドタイプの2種類があります。
ステロイド配合タイプは即効性があり、ケナログに近い働きをします。
非ステロイドタイプは、妊娠中やステロイドを避けたい人にも使いやすいのが特徴です。
ケナログの代替薬候補④：デキサルチン軟膏
デキサルチン軟膏も、医師の処方で手に入るステロイド軟膏です。
有効成分はデキサメタゾンで、炎症を鎮める効果があります。
ケナログと比べてややさらっとした質感で、べたつきを避けたい人に向いています。
ただし、こちらは医療用医薬品のため、ドラッグストアでは購入できません。
歯科や耳鼻科などで相談すると処方してもらえる場合があります。
ステロイドが気になる人向けの代替品
ステロイドを避けたい場合は、非ステロイド系の口内炎薬も選択肢になります。
代表的なものに「口内炎軟膏大正A」や「新コルゲンコーワ軟膏」などがあります。
これらは殺菌成分や組織修復成分が中心で、刺激を抑えながら患部の回復をサポートします。
効果の即効性はステロイド系に劣ることもありますが、長期的に使いやすく、副作用の心配が少ないのが特徴です。
代替薬を選ぶときのポイント
- 症状の原因を見極めること
口内炎にもウイルス性やカンジダ性など種類があります。ステロイドが逆効果になる場合もあるため、自己判断せず、長引くときは医師や薬剤師に相談を。 - ステロイドの有無を確認すること
即効性を重視するならステロイド系、刺激の少なさを重視するなら非ステロイド系を選びましょう。 - 剤形（軟膏・貼付・スプレー）を使いやすさで選ぶこと
塗るタイプ、貼るタイプ、スプレータイプなど、ライフスタイルに合ったものを選ぶと続けやすくなります。
ケナログ販売終了が示す「薬のライフサイクル」
ケナログの販売終了は、多くの人にとって意外な出来事でした。
しかし、薬の世界では決して珍しいことではありません。
市場規模の変化や採算、薬事制度の改定などによって、長く親しまれた薬が静かに姿を消すことがあります。
これは「製薬会社の合理化」だけでなく、医療技術や生活スタイルの変化も関係しています。
新しい薬が次々登場する中で、古い製品を維持するコストが見合わなくなることも多いのです。
ケナログもその一例。
半世紀以上にわたって活躍し、世代を超えて愛された薬が、時代の流れとともに幕を閉じたとも言えます。
それでも口内炎はなくならない。だから代替薬が大事
現代人にとって、口内炎は避けられないトラブルです。
ストレス、睡眠不足、栄養バランスの乱れ…。
生活のどこかに無理が出ると、すぐに口内に現れます。
だからこそ、信頼できる代替薬を知っておくことは大切です。
ケナログがなくなっても、オルテクサー口腔用軟膏やアフタッチA、トラフル軟膏PROクイックなど、今の市場には頼れる選択肢がそろっています。
自分の体質や生活スタイルに合うものを見つけておけば、いざというときに慌てずに済みます。
ケナログが手に入らない時代をどう乗り越えるか
「ケナログが手に入らない」という現実は、少し寂しいものです。
長年使っていた人にとっては、慣れた薬を失う不安もあるでしょう。
けれども、代替薬を上手に選べば、治療の質を落とすことなく乗り換えることができます。
重要なのは、信頼できる製品を正規ルートで購入し、症状に合わせて正しく使うこと。
必要に応じて薬剤師や歯科医に相談することで、安心して治療を続けられます。
ケナログが消えても、口内炎治療の選択肢は決して消えていません。
むしろ、時代とともに多様な薬が生まれ、より使いやすく進化しています。
「ケナログがなくても大丈夫」と思えるよう、あなたに合った代替薬を見つけてください。
