ホンダの400ccクラスに新しく登場した「NX400」。
このモデル、すでにバイク好きの間では話題になっているけれど、実際のところどうなのか。スペックだけでなく、走り心地や使い勝手、そして日常使いでの魅力をじっくり見ていこう。
NX400とは?400Xの後継にして万能なツーリングマシン
NX400は、ホンダが「デイリークロスオーバー」をコンセプトに掲げて開発したバイクだ。
つまり、通勤や街乗りなどの日常使いから、週末のロングツーリングまで、どんな場面でも「ちょうどいい」を目指したモデル。
前身となる「400X」から大きく進化していて、見た目も走りもぐっと現代的になった。フロントマスクはよりシャープに、そしてスクリーンは防風性能を重視。アドベンチャーらしいタフさを保ちながらも、都会的な印象を与えるデザインだ。
ボディサイズは全長2,150mm×全幅830mm×全高1,390mm。
シート高は800mmと、足つき性も意外と悪くない。重量は約196kgで、400ccクラスとしては標準的。初めての中型バイクにも選びやすいバランス感だ。
エンジン性能:扱いやすく、どんな道でも気持ちよく走れる
NX400に搭載されているのは、水冷4ストロークDOHC直列2気筒エンジン。
最高出力は46PS/9000rpm、最大トルクは38Nm/7500rpm。数値的には過激ではないが、実際に走らせるとその「扱いやすさ」に驚く人が多い。
低中速域では力強く、高回転ではスムーズに伸びる。街中ではストレスなく流れに乗れ、高速道路では余裕をもって巡航できる。
特に60〜100km/hあたりの中間加速が自然で、ライダーの意図に素直に応えてくれる印象だ。
このトルク特性は、スポーツバイクのような鋭さではなく、あくまでフラットで穏やか。だからこそ、疲れにくくて長距離でも快適に走り続けられる。
「刺激よりも安定」を求める人には、ちょうどいいエンジン特性だ。
走りの安定感と足まわりの完成度
NX400の走行性能を語るうえで外せないのが、しっかりとした足まわり。
フロント19インチ・リア17インチのホイールは、アドベンチャー系の定番サイズだ。これが路面の段差や荒れにも強く、安定した走りを支えている。
サスペンションはストローク量がしっかり確保されていて、街乗りの段差でもショックを吸収してくれる。
高速道路でも直進安定性が高く、ワインディングでは素直な旋回性を見せる。どの速度域でもバランスが崩れず、安心感が続くのがこのバイクの強みだ。
また、ブレーキはフロントダブルディスク仕様。制動力も申し分なく、ABSの介入も自然。ツーリング中の突然の減速でも怖さを感じにくい。
快適性と装備:長旅に強いツアラー設計
NX400の魅力は、乗り心地の快適さにもある。
アップライトなライディングポジションで、腰や肩への負担が少ない。ハンドル位置も自然で、長時間乗っても疲れにくい設計だ。
さらに、シートの座り心地が良い。クッション性が高く、長距離ツーリングでもお尻が痛くなりにくいと評判だ。
スクリーンも大型化されており、高速巡航時の風の巻き込みを軽減。防風性能が高いことで、寒い季節や長距離走行でも快適に走れる。
そしてもうひとつ特筆すべきは、5インチのTFTカラーメーター。
視認性が高く、スマートフォン連動機能にも対応している。ナビ情報を表示したり、通話・音楽の操作も可能だ。ツーリング中の利便性をしっかり考えた仕様になっている。
実際の燃費と維持費の印象
NX400の燃費性能は、400ccクラスの中でも優秀な部類だ。
定地燃費で41.0km/L(60km/h走行時)、WMTCモードで28.1km/L。実際の走行でも25〜30km/L程度を記録するユーザーが多い。
燃料タンク容量は17リットル。
満タンにすればおよそ400〜500kmの航続距離が期待できる。給油の回数を減らせるのはツーリングではありがたいポイントだ。
燃料はレギュラーガソリン対応なので、維持費も抑えやすい。
タイヤやチェーンなどの消耗品コストも比較的安く、車検も含めて年間の維持費は現実的な範囲。大型アドベンチャーに比べてコスパが良く、長く乗れるバイクだと感じる。
街乗りでの扱いやすさと取り回し
400ccの中では車体サイズがしっかりしている部類に入るが、NX400は意外と取り回しが軽い。
重心が低く、ハンドルの切れ角も広めに設定されているため、狭い道や駐車場での移動もスムーズ。女性ライダーや初心者でも安心して扱えるという声が多い。
また、クラッチ操作も軽く、渋滞時でも左手が疲れにくい。
低速での安定感があり、信号待ちからの発進もスムーズだ。街中でも「乗りやすさ」に振ったバランスがしっかり感じられる。
ユーザーの声:高評価と課題の両面
実際にNX400を購入したライダーたちの感想を見てみると、総じて好意的なレビューが多い。
特に評価されているのは以下の点だ。
- 扱いやすいエンジン特性と優れた安定性
- 長距離でも疲れにくい快適なポジション
- 燃費と航続距離のバランスが良い
- メーターや電子機能の充実度
一方で、「加速のパンチがもう少し欲しい」という意見もある。
これは穏やかなエンジン特性ゆえの印象で、スポーツ志向のライダーにはやや物足りないかもしれない。
また、アドベンチャーらしいデザインが好みを分ける要素にもなっている。
ただ、多くのユーザーが「欠点よりも安心感を取る」と語っており、NX400の方向性が幅広い層にマッチしていることがわかる。
どんな人におすすめか
NX400は、万能型のバイクを探している人にぴったりだ。
特におすすめできるのは以下のタイプ。
- 初めて中型バイクに乗る人
- ロングツーリングを快適に楽しみたい人
- 通勤や街乗りにも使いたい人
- 安定性と信頼性を重視する人
高出力を求めるライダーにはややおとなしく感じられるかもしれないが、「疲れにくくて、どこまでも走れる」という意味では非常に完成度が高い。
乗るほどに良さがわかるタイプのバイクだ。
NX400の実力を徹底レビュー!性能と使い勝手を解説【まとめ】
NX400は、ホンダらしい実用性と信頼性を兼ね備えた400ccクラスの理想形とも言える。
スペックは控えめでも、実際に乗ると「ちょうどいい」と感じるシーンが多い。
通勤にもツーリングにも対応でき、燃費やメンテナンスコストも現実的。
派手さよりも安心感と快適さを求める人にとって、非常に魅力的な選択肢だ。
「どんな道でも無理せず走りたい」――そんなライダーの願いに寄り添うバイク。
NX400はまさに、そんな思いを形にした一台だ。
