ゲーミングモニターを探していると、最近よく目にするのが「Titan Army P2710R Max」というモデル。WQHD、180Hz、量子ドット、HDR500対応と、まるで高価格帯のような仕様を持ちながら、実売価格は3〜4万円台。
「この価格で本当にそこまでの性能があるの？」と気になっている人も多いはず。今回は実際に使用し、その性能と使い勝手を徹底検証してみた。
27インチ・WQHDで感じる快適さと画面の美しさ
P2710R Maxは27インチ・WQHD（2560×1440）解像度のモニター。4Kほどの負荷はないが、フルHDよりも高精細。テキスト表示がくっきりして、動画や写真の細部もはっきり見える。
27インチサイズでWQHDというのは、作業効率と視認性のバランスが非常に良い。複数のウィンドウを並べても狭さを感じず、ゲームでは遠景の描写がより自然に感じられる。
さらに量子ドット（Quantum Dot）技術を採用しているため、色の鮮やかさやコントラストの深みが一般的なIPSパネルより一段上。
写真編集や映像視聴では「この価格帯でここまで出るか」と思うほどの発色だ。彩度が高いのに不自然さがなく、映画やゲームの世界観を壊さない。
HDR500対応で映像の奥行きがぐっと増す
P2710R MaxはHDR500相当の明るさに対応しており、ピーク輝度は500nit。
HDRコンテンツを再生すると、暗部から明部までの階調が豊かになり、奥行き感が大幅に増す。夜景の光の粒や、ゲーム内の太陽の眩しさがリアルに感じられる。
もちろんHDRはコンテンツ側の対応が前提だが、NetflixやYouTubeのHDR映像を表示したときの印象は非常に良い。
暗いシーンでも黒つぶれが少なく、ハイライトの白飛びも抑えられている。IPSらしい柔らかなトーンを保ちながら、輝度レンジの広さをしっかり体感できる仕上がりだ。
180Hz×1msの応答性能でゲームも滑らか
ゲーミングモニターとして注目される理由のひとつが、180Hzの高リフレッシュレートと1ms（GTG）の応答速度。
DisplayPort接続時に最大180Hz、HDMI接続でも144Hzまで対応している。
一般的な60Hzモニターと比較すると、動きの滑らかさは段違い。FPSやレーシング、アクションゲームではキャラクターや背景のブレが格段に少ない。
オーバードライブを有効にすると、応答速度がさらに速くなり、残像感も最小限。
実際に「Apex Legends」や「Valorant」をプレイしてみると、敵の動きが追いやすく、射撃タイミングも合わせやすい。
リフレッシュレートが高いだけでなく、入力遅延の少なさも感じられる。
Adaptive SyncやVRR（可変リフレッシュレート）にも対応しており、ティアリング（画面のズレ）やスタッター（カクつき）を抑えてくれるのも安心だ。
発色・視野角・コントラストのバランスが良好
P2710R MaxはFAST IPSパネルを採用しており、視野角が広く、どの角度から見ても色の変化が少ない。
発色の正確さは非常に高く、sRGB 100%、DCI-P3 99%、Adobe RGB 99%をカバーしている。
この広色域性能のおかげで、ゲームだけでなく写真や動画編集にも十分使える。
特に量子ドットの効果で赤や緑が深く出るため、自然の風景やキャラクターの衣装なども鮮やかに映る。
IPSらしい柔らかい色合いを保ちながら、しっかりとしたコントラストが得られる点は、低価格帯のモニターとしては大きな強みだ。
スタンド・筐体・操作性の印象
外観はシンプルで落ち着いたデザイン。
ゲーミングモニターらしい派手さはないが、その分どんなデスクにも馴染む。
スタンドは高さ調整、チルト、スイーベル、ピボットに対応しており、縦画面にもできる。長時間の作業でも姿勢に合わせやすく、疲れにくい。
ただし、OSD（設定メニュー）は物理ボタン式で、操作には少し慣れが必要。
ジョイスティック式のモデルに比べると、ボタンの配置がやや分かりづらい印象だ。頻繁に設定を切り替える人には少し不便に感じるかもしれない。
とはいえ、一度好みの設定にしてしまえば触る機会は少ないため、大きな欠点ではない。
接続端子と機能面の充実度
背面の端子構成はHDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×2、オーディオ出力×1。
複数デバイスを接続でき、PCとゲーム機の切り替えもスムーズだ。
PS5やXbox Series Xでも144Hz表示に対応しており、コンソールゲーマーにも嬉しい仕様。
さらにPIP（ピクチャ・イン・ピクチャ）やPBP（ピクチャ・バイ・ピクチャ）機能も搭載している。
例えばPC作業をしながら隣に別デバイスの映像を表示したり、2台のPCを同時に表示するなど、用途の幅が広い。
テレワークや配信、映像編集など、複数の画面を扱うシーンでも活躍するだろう。
実際の使用感：コスパの高さを実感
数日間の使用でまず感じたのは、画質のクオリティが価格以上だということ。
発色・明暗の表現・解像感、どれを取っても3万円台のモニターとは思えない完成度。
文字もくっきりしていて、日常使いでも快適。
ブラウジングや事務作業などでも目の疲れを感じにくい。
ゲーム時の滑らかさも申し分なく、180Hz＋1msの効果は確実に体感できる。
普段60Hzのモニターを使っている人が買い替えたら、その差に驚くはず。
動画編集でも色の再現性が高く、プレビュー画面の見た目と最終出力の差が少ないのも好印象だった。
気になった点・注意点
完璧ではない部分もある。
まず、HDR500対応といっても上位のDisplayHDR600や1000と比べるとダイナミックレンジは控えめ。
明るい環境ではもう少しピーク輝度が欲しいと感じることがある。
また、スピーカーは非搭載なので、音声出力は外部スピーカーかヘッドホンが必須。
スタンドの剛性も悪くないが、角度を変える際に若干のぐらつきを感じることがある。
それでも、この価格帯でこれほどの完成度なら十分に納得できるレベルだ。
競合モデルとの比較で見える立ち位置
同価格帯には、LGやBenQ、AOCなどのWQHDゲーミングモニターが並ぶ。
しかし、それらの多くはHDR400止まりで、量子ドットを搭載していないモデルも多い。
P2710R MaxはHDR500と量子ドットを両立しており、画質重視派には魅力的な存在。
さらに180Hzのリフレッシュレートと1ms応答というスペックを兼ね備えているため、
「高リフレッシュレート・高発色・広色域」を求めるユーザーにはちょうど良いバランス感だ。
総評：P2710R Maxは価格以上の満足度を与える万能モニター
P2710R Maxは、3〜4万円台で購入できるモニターの中でも屈指の完成度。
ゲーム・映像・作業のすべてを快適にこなせる「万能型」であり、特定の用途に偏らない汎用性が魅力だ。
量子ドットの美しい発色、HDR500の奥行きある映像、180Hzの滑らかな動き。
どれも体感的に効果があり、「値段以上」という言葉がぴったり当てはまる。
初めてのWQHDゲーミングモニターとしても、2台目の高画質ディスプレイとしてもおすすめできる。
P2710R Maxレビューまとめ：性能と使い勝手のバランスが光る一台
最終的に、P2710R Maxは“コスパ重視だけど妥協したくない”人に最適なモニターだ。
多少のUIのクセやスピーカー非搭載など細かい弱点はあるが、それを補って余りある性能と画質がある。
普段使いからゲーム、映像制作まで幅広く対応できるこのモデルは、今後さらに注目されるだろう。
P2710R Maxの性能と使い勝手を実機レビューで検証した結果、
この価格帯では間違いなく“買って後悔しない一台”と言える。
