finalのフラッグシップ完全ワイヤレスイヤホン「ZE8000 MK2」。
初代ZE8000の“8K SOUND”で話題をさらったあの名機が、どのように進化したのか。
今回は実際に試聴しながら、音質・機能・使い勝手を中心に、その魅力を掘り下げていく。
ZE8000 MK2とは?新世代8K SOUNDを搭載したfinalの最新TWS
ZE8000 MK2は、finalが手がける完全ワイヤレスイヤホンの最上位モデル。
前モデルZE8000で掲げられた“8K SOUND”をさらに進化させ、解像度と立体感、そして音場の広がりをよりナチュラルに再現することを目指して開発された。
Bluetooth 5.2、aptX Adaptive対応、IPX4防滴、マルチポイント接続など、基本機能は現代的にアップデート。
デザインは初代の美しい筐体を踏襲しつつも、質感と装着性をブラッシュアップしている。
音質レビュー:8K SOUND+が生み出す高精細サウンド
まず最も注目すべきは、finalが誇る「8K SOUND+」の完成度だ。
従来のZE8000でも高解像な音作りが評価されていたが、MK2では音場の奥行きと分離感がさらに磨かれている。
クラシックやジャズを聴くと、まるでステージの空気をそのまま閉じ込めたような臨場感。
弦楽器やピアノの余韻が自然に広がり、定位も非常にクリアだ。
音の輪郭がくっきりしているのに、決して硬すぎない。柔らかく包み込むような暖かさも感じられる。
一方で低域は引き締まっていながらも量感がしっかりあり、バスドラムやベースラインの沈み込みが上質。
中音域は滑らかでボーカルが近く、息づかいがわかるほど繊細だ。
高音は刺激を抑えつつも伸びやかで、全体のバランスが整っている。
つまりZE8000 MK2は、分析的な解像感と音楽的な自然さを高次元で両立させたイヤホンと言える。
ANC性能の進化と新しい「Shield Fin」イヤーピース
ZE8000 MK2ではアクティブノイズキャンセリング性能も向上している。
新設計の「Shield Fin」イヤーピースによって装着時の密閉度が上がり、物理的な遮音効果とANCの協調がよりスムーズに働くようになった。
通勤電車やカフェで使うと、エンジン音や人のざわめきが自然に減衰し、音楽に没入しやすい。
ANCをオンにしても音質の劣化が少ないのも好印象だ。
また、風切り音を抑える「ウインドカット」モードや、周囲の音を自然に取り込む「ながら聴き」モードも搭載。
外音取り込み時の音の自然さは、他社フラッグシップと比較してもかなり優秀だ。
ただしANCの効き自体は強烈というよりも“自然”。
BOSEやSONY WF-1000XM5のような圧倒的遮断力というより、音質を優先した上品なチューニングだ。
装着感とデザイン:長時間リスニングに耐える安定性
装着感の改善はMK2で大きく進化した部分だ。
耳にねじ込むというより、外耳の形にフィットして“置く”ような感覚で装着できる。
長時間のリスニングでも耳が痛くなりにくく、しっかり安定している。
デザイン面では、finalらしいミニマルで工芸的な美しさが健在。
表面の質感はさらっとしていて、指紋が付きにくいマット仕上げ。
ケースもスリムで手のひらに収まり、開閉の感触も上質だ。
「音質だけでなく所有感でも満足できるイヤホン」を目指したfinalの哲学が感じられる。
アプリと機能性:細かくチューニングできる「final CONNECT」
専用アプリ「final CONNECT」もMK2では進化している。
ANCや外音取り込みの切り替えに加え、EQ調整やボリュームステップの最適化、ガイド音やLEDの設定まで細かくカスタマイズ可能。
特にEQ機能は自然な効き方で、少し高音を足したり低音を引き締めたりといった調整がしやすい。
また、マルチポイント対応により、スマートフォンとPCを同時接続して自動で切り替えられるのも便利だ。
音楽を聴いている最中にPCの通知音が鳴ってもシームレスに移行でき、日常使いでもストレスが少ない。
Bluetooth接続と音の安定性
Bluetoothは最新の5.2規格に対応し、aptX AdaptiveやSnapdragon Soundにも対応。
高音質伝送と低遅延の両立が可能で、動画視聴やゲームでも音ズレを感じにくい。
屋外での接続安定性も高く、混雑した駅構内でも途切れにくい。
特にSnapdragon Sound対応機種で聴くと、解像感がさらに一段上がる印象。
aptX Adaptiveの可変ビットレートによって、環境に合わせた最適な伝送が行われているのもポイントだ。
バッテリーと充電ケース:音質優先のバランス設計
バッテリー持ちはイヤホン単体で約5時間、ケース併用で約15〜20時間前後。
ハイエンドTWSとしては平均的な水準だが、finalが重視しているのは“音質優先設計”。
Class-ABアンプ構成による自然でアナログライクな音を実現するため、あえて省電力よりも音の表現力を優先している。
充電ケースはUSB-C接続で、ワイヤレス充電には非対応。
ただ、質感と作り込みの良さは特筆もので、蓋の開閉感や素材の質感からも高級感が漂う。
ジャンル別インプレッション:得意・不得意を正直に語る
ZE8000 MK2は、どんなジャンルでも万能というタイプではない。
むしろ“音楽を深く聴く人”向けのイヤホンだ。
クラシックやジャズでは、空間の広がりと楽器の分離が際立つ。
弦楽器の艶や金管の響き、ボーカルの定位感など、音の一つひとつが立体的に浮かび上がる。
アコースティック系のライブ音源なども非常に相性が良い。
一方で、EDMやロックなど低音を前に出したいジャンルではやや控えめに感じるかもしれない。
ただし低域の質感自体は極めて高く、サブベースの沈み込みやキックの立ち上がりの速さは優秀。
あくまで「派手さではなくリアルさを追求した低音」と捉えると納得できる。
他社フラッグシップとの比較:音楽鑑賞重視のチューニング
ZE8000 MK2を競合モデルと比べると、特徴がより明確に浮かび上がる。
SONY WF-1000XM5やApple AirPods Pro 2が“ANCと使い勝手の総合力”を売りにしているのに対し、finalは“音楽再生そのものの品質”で勝負している。
ANCやマイク性能、アプリ機能は他社の方が高機能かもしれない。
しかしZE8000 MK2は、空間表現の自然さや質感のリアルさでそれらを凌駕する部分がある。
“デジタル臭さのない音”を求めるオーディオファンには、唯一無二の存在といえるだろう。
使い勝手の全体評価
総じて、ZE8000 MK2は「音楽を純粋に楽しむためのイヤホン」として非常に完成度が高い。
操作系はタッチ式で、反応が良く誤操作も少ない。
マルチポイント、ANC、外音取り込みなど、日常使用で困る場面もほぼない。
唯一の弱点を挙げるなら、バッテリーの持続時間とANCの強度だが、これは音質重視設計の代償でもある。
むしろ“音を聴く道具”として考えれば、納得できるバランスだ。
ZE8000 MK2 レビューまとめ:音の純度を極めたTWS
final ZE8000 MK2は、初代から着実に進化した音質特化型イヤホンだ。
8K SOUND+による高解像で自然なサウンド、改良されたイヤーピースによる快適な装着感、そして洗練されたデザイン。
どれを取っても、音楽を愛する人に向けた一台だと感じる。
ANCの強さや派手な低音を求める人には向かないかもしれない。
しかし“音そのものの美しさ”を追求するなら、ZE8000 MK2は確実にその期待に応えてくれる。
音楽の中に没入し、空気の震えや空間の奥行きを感じたい。
そんなリスナーにとって、ZE8000 MK2はまさに“聴くためのイヤホン”だ。
