角ハイボール愛好家に衝撃。7年ぶりの値上げがスタート
みなさん、こんにちは。突然ですが、お気に入りのお酒の値段が変わってしまったことはありませんか?
最近、多くの人が驚きと少しの寂しさを感じているニュースがあります。それは、サントリーの角瓶をはじめとするウイスキー製品の価格改定です。
特に、家庭でハイボールを作る際の定番である「角瓶」700mlボトルの希望小売価格(税込)が、2023年7月に出荷分から352円も値上げされ、2,101円になったことは大きな話題になりました。
これは実に7年ぶりの大幅な値上げ。居酒屋で楽しむ角ハイボールだけでなく、自宅でゆっくりとグラスを傾ける習慣がある方々にも、直接影響のある変更です。
今回は、なぜ角ハイボールが値上げされることになったのか、その背景にある「原材料高騰」の実態と、新価格の詳細について、詳しく掘り下げてみたいと思います。
具体的な値上げ内容。角瓶は約20%の価格上昇
まずは、実際にどのような値上げが行われたのか、具体的な数値を確認してみましょう。
2023年7月1日出荷分から実施された値上げは、「角瓶」を含む4つのブランド、合計11品目に及びました。
主力商品の値上げ幅を見てみると:
- 角瓶(700ml):1,749円 → 2,101円(税込) 約20%の値上げ
- オールド(700ml):2,068円 → 2,475円(税込) 約20%の値上げ
- スペシャルリザーブ(700ml):約16%の価格上昇
- ローヤル(700ml):約16%の価格上昇
この数字を見て、少し息をのんだ方もいるのではないでしょうか。特に角瓶とオールドの20%という値上げ率は、消費者の家計に与える影響も小さくありません。
ウイスキーは一般的に、蒸留後に長期間樽で熟成させる必要があるため、短期的な供給量の調整が難しい商品です。このような大幅な値上げが実施された背景には、単なる物価上昇とは異なる、より深い構造的な要因が潜んでいるのです。
値上げの背景にある2つの要因。原材料高騰と需要急増
なぜ、これほどまでの値上げが必要だったのでしょうか?その理由は主に2つあります。
世界的な原材料価格の高騰
まず第一の理由は、ウイスキー製造に必要な原材料の価格が世界的に高騰していることです。
ウイスキーの主要原料である大麦をはじめ、熟成に欠かせない樽の木材、麦芽を乾燥させるために使用するピート(泥炭)などの価格が、ここ数年で著しく上昇しています。
その背景には:
- 気候変動による天候不順で農作物の収量が不安定化
- 世界的な燃料価格の上昇が農業資材や輸送コストに影響
- 樽材となるオーク材の需給バランスの変化
このような要因が重なり、ウイスキー製造の根幹をなす原料調達コストが大幅に増加しました。
日本ウイスキーへの世界的な需要急増
第二の理由は、日本ウイスキーに対する国内外での需要が爆発的に増加していることです。
特に「角瓶」は、その高いコストパフォーマンスと独特の風味から、韓国をはじめとする海外市場で大人気となり、現地での価格が高騰するほどの状況が生まれています。
国内でも、ウイスキー市場は拡大を続けており、ハイボールブームに加えて、若年層のウイスキー離れが止まり、新たな愛好家が増えていることも追い風となっています。
需要が急増する中で、安定した供給を維持し、将来にわたって品質を保証するためには、生産設備の拡充が不可欠です。実際、サントリーはこの需要に対応するため、100億円規模の投資を行い、滋賀県にある原酒の貯蔵庫を増設しています。
ウイスキーは蒸留後、長年樽で熟成させる必要があるため、増産には大規模な貯蔵スペースの確保が前提となります。今回の値上げによる収入の一部は、この将来に向けた巨額の設備投資にも充てられているのです。
角ハイボール缶は値上げ対象外?RTD製品の価格動向
ここで気になるのは、角瓶の値上げが、コンビニやスーパーで手軽に買える「角ハイボール缶」にどのような影響を与えるかということです。
2023年7月の値上げ時点では、缶入りの「角ハイボール」(RTD:Ready-to-Drink製品)は値上げ対象から外されました。これは、缶製品の価格が小売店の販売戦略に委ねられる部分が大きいことや、既に市場で競争が激しいことなどが理由と考えられます。
しかし、注意が必要なのは、原料であるウイスキー原酒のコストが上昇している以上、中長期的には缶製品にも何らかの影響が出る可能性があることです。
現時点では:
- 角ハイボール缶は当面、値上げ対象外
- ただし、原料コスト上昇の影響は中長期的に懸念される
- 各メーカーの価格戦略や市場競争の状況によって今後変動する可能性あり
自宅で角ハイボールを作る方はボトルを購入し、手軽に楽しみたい方は缶製品を選ぶというように、用途に応じた選択が求められる時代になってきたと言えるでしょう。
プレミアム銘柄も高騰中。山崎・白州・響の価格動向
角瓶の値上げは、実はウイスキー市場全体の大きな潮流の一部に過ぎません。この動きは、プレミアム銘柄と呼ばれる高級ウイスキーに、より顕著に表れています。
サントリーは2026年4月1日出荷分から、「山崎」「白州」「響」の主力15品目について、希望小売価格(税別)を6%から15%値上げすることを発表しています。
具体的には:
さらに驚くべきは、超熟成銘柄の値上げ幅です。一部の情報によると、「響30年」「山崎25年」「白州25年」については、税別価格が36万円から41万5千円へと、約15%の大幅な値上げが予定されているとも報じられています。
このようなプレミアム銘柄の値上げは、コスト増への対応だけでなく、世界的な評価の高まりに伴い、これらのウイスキーが「飲む酒」から「資産価値やコレクション性を持つアイテム」として再定義されるという戦略的な側面も強く持っています。
私たちにできる賢い選択。値上げ時代のウイスキーの楽しみ方
角瓶の値上げは、家庭でのハイボール愛好家にとっては家計への打撃となります。しかし、この状況は他の選択肢を試すきっかけにもなるかもしれません。
缶チューハイ(RTD)の検討
既に触れたように、角ハイボール缶が当面値上げ対象外であるなら、手軽さを求める場合の選択肢として注目です。ただし、味わいの好みやコスパは実際に試してみて判断する必要があります。
他社製品やクラフトウイスキーへの関心
サントリーの動きは市場のリーダーとして他社にも影響を与えます。ニッカの「ブラックニッカ」など、他の定番ウイスキーも同様の価格圧力に直面している可能性があります。
また、2010年代から台頭してきた国内のクラフトウイスキー蒸留所(秩父、厚岸、嘉之助など)が、2025年以降に「熟成10年」の原酒を本格的に出荷し始めると予想されており、多様で個性的な味わいを求める消費者にとって新たな選択肢が広がりつつあります。
コスパを考えた選択
あくまでアルコール単価を重視するのであれば、焼酎や一部のスピリッツが依然として有利です。例えば、度数が高く希釈して飲むことを前提とした「チューハイの素」のような商品は、アルコール量あたりの単価が低くなる傾向があります。
角ハイボールが値上げ!これからのウイスキー市場の展望
角瓶の値上げは、日本ウイスキー市場が大きな転換点を迎えていることを示す象徴的な出来事です。
市場は二極化の様相を強めており、一方では角瓶のような「日常的に楽しむ定番酒」が原材料高の影響を真っ先に受け、他方では「山崎」や「響」に代表される「ラグジュアリーでコレクティブルな酒」が国際的な資産価値を背景にさらなる高値をつけていく構造が鮮明になっています。
今後も、世界的な穀物価格やエネルギー価格の動向、為替変動がウイスキー価格に影響を与え続けるでしょう。また、サントリーによる大規模な貯蔵庫増設が完了し、供給能力が向上すれば、長期的には需給バランスが緩和される可能性もありますが、それが即座に価格低下につながるとは限りません。
メーカーは獲得したブランド価値と品質を維持するため、慎重な価格戦略を続けると予想されます。
私たち消費者としては、この変化を理解した上で、自分の好みと財布と相談しながら、従来の角ハイボールを続けるのか、あるいは缶製品や他の酒種へと選択の幅を広げていくのか、それぞれの楽しみ方を模索する時代に入ったと言えるでしょう。
値上げは確かに残念なニュースですが、これを機会に、さまざまなウイスキーの魅力を再発見する旅に出てみるのも、一つの楽しみ方かもしれませんね。
最後に、お酒は20歳になってから。楽しく、そして責任を持って楽しみましょう。
