ラム好きの人なら、一度は名前を聞いたことがあるであろう「パンペロ（Pampero）」。独特の甘みとスパイス感、そして樽熟成由来の深い香りで、多くのバーや愛飲家に親しまれてきた銘柄です。そんなパンペロが「終売」となり、店頭から姿を消してしまったというニュースが広がり、惜しむ声が続出しています。今回は、なぜパンペロが終売になったのか、その背景を探りつつ、愛されてきた味わいとおすすめの代替銘柄を紹介していきます。
パンペロとは？ベネズエラが誇るプレミアム・ダークラム
パンペロは、南米ベネズエラで誕生したラムブランドです。ブランド名の由来は、広大な平原を駆けるカウボーイ「リャネロ（Llanero）」にちなんだもので、自然と情熱が融合したような力強さを感じさせます。中でも代表的な銘柄「パンペロ アニベルサリオ（Pampero Aniversario）」は、同社の創業25周年を記念して生まれた特別なブレンド。シェリー樽を含む複数のアメリカンオーク樽で熟成されたラムを組み合わせ、濃厚で複雑な香味を実現しています。
その味わいは、ドライフルーツやバニラ、シナモン、チョコレート、レザーといった多層的な香りが特徴。ウッディで力強いのに、どこか丸みのある優しさも感じられます。ストレートやロックでじっくりと楽しむのはもちろん、ラムオールドファッションなどのカクテルベースとしても人気を集めていました。
なぜパンペロは終売になったのか？考えられる背景
「パンペロ アニベルサリオ 700ml」が国内の卸サイトで「終売」と明記されているほか、SNSや通販サイトでも「終売品」「入手困難」などの文言が相次いでいます。では、なぜ長年愛されてきた銘柄が姿を消すことになったのでしょうか。メーカーからの正式な発表は確認されていませんが、複数の要因が絡んでいると考えられます。
まず大きいのが輸入・流通の停止です。パンペロは海外ブランドであり、日本では輸入代理店を通じて販売されていました。輸入コストの上昇、為替の影響、流通ルートの維持コストなどが重なれば、採算が取れなくなり、販売を終了せざるを得ない場合があります。
次に、ブランド戦略の見直し。パンペロは世界的な酒類大手ディアジオ社の傘下ブランドであり、同社は定期的に製品ラインの整理を行っています。市場ごとの売上や流通コストを見直す中で、日本市場での展開を終了した可能性もあります。
さらに、製造・原料コストの上昇も無視できません。サトウキビ価格の高騰、長期熟成に必要な樽の確保や保管コストなど、プレミアムラムは原価が上がりやすいカテゴリーです。生産国ベネズエラの経済事情や物流の不安定さも、継続供給を難しくした一因と考えられます。
こうした要素が重なり、「パンペロ」は国内外で徐々に流通量が減り、最終的に終売へと至ったとみられます。
終売を惜しむ声とファンの反応
パンペロの終売が広まった当初、SNSやバー業界からは多くの惜しむ声が上がりました。「ラムの中で一番好きだったのに」「ストックを買い溜めしておけばよかった」といった投稿も少なくありません。特に、ラムを常備していたバーでは「パンペロがなくなるとメニュー構成を変えざるを得ない」と語るオーナーもいました。
また、フリマアプリやオークションサイトでは「終売品」「レアボトル」としての出品が急増。価格も定価の1.5倍〜2倍ほどで取引されている例が見られます。すでに市場在庫は限られており、今後さらに入手困難になる可能性が高いといえるでしょう。
パンペロが愛された理由：香りと熟成の奥深さ
パンペロがここまで多くのファンに支持された理由は、その唯一無二のバランスにあります。まず、香りの第一印象はシェリー樽由来のドライフルーツとバニラ。続いて、スパイスやチョコレートのような甘苦いニュアンス、そして最後に樽のウッディな余韻が続きます。口当たりは滑らかで、しっかりしたコクがありながらもアルコールの角を感じさせない仕上がりです。
この深みのある味わいは、シガーとの相性も抜群。食後に少量をストレートで楽しむスタイルが多くの愛好家に定着していました。また、価格帯もプレミアムラムの中では手頃で、品質とコストパフォーマンスのバランスが取れていた点も人気の理由のひとつです。
代替銘柄を探すなら？パンペロ好きにおすすめのラム
パンペロの終売を受けて、「似た味わいのラムを探したい」という声も多く聞かれます。ここでは、パンペロを愛していた人におすすめしたい代替銘柄を紹介します。
ディプロマティコ（Diplomático）／ベネズエラ産
同じベネズエラ生まれのプレミアムラム。甘みが豊かで、熟成感と丸みを兼ね備えています。「ディプロマティコ リゼルヴァ イクスクルーシヴァ」は特に人気が高く、パンペロよりもやや柔らかく上品な印象です。
ロン・サカパ（Ron Zacapa）／グアテマラ産
熟成年数が長く、シェリー樽由来の香りと深い余韻が特徴。価格はやや高めですが、パンペロの“濃厚さ”を求める人にはぴったりの一本です。
アップルトン・エステート（Appleton Estate）／ジャマイカ産
トロピカルなフルーツ香とスパイス感のバランスが絶妙。パンペロのようにウッディで骨太な味わいが楽しめます。
マウントゲイ（Mount Gay）／バルバドス産
ラムの原点ともいえる老舗ブランド。樽熟成による香ばしさとドライな後味が特徴で、パンペロの複雑な香りが好きな人に向いています。
これらの銘柄は、パンペロと同じく“ゆっくり味わうラム”として評価が高く、入手も比較的容易です。もしパンペロが好きだったなら、まずディプロマティコから試してみると良いでしょう。
終売銘柄をどう楽しむ？今後の付き合い方
終売銘柄を前にして、多くの愛好家は「最後の一本をどう飲むか」に悩みます。パンペロも同様に、残されたボトルは貴重なコレクションとなりつつあります。開封済みのものは劣化を防ぐため、直射日光を避け、温度変化の少ない場所で保管するのが理想です。未開封ボトルであっても、液面の低下や栓のゆるみがないか定期的に確認するとよいでしょう。
また、完全に同じ味わいを再現することは難しいですが、代替銘柄を飲み比べることで「パンペロが持っていた特徴」を改めて感じ取ることができます。香りや余韻の違いを楽しむことこそ、ラムの魅力を深める第一歩です。
パンペロ終売の今、ラム愛好家ができること
パンペロの終売は、ひとつの時代の終わりを告げたように感じるかもしれません。しかし、ラムの世界は広く、新しい魅力を持った銘柄が次々と登場しています。パンペロが好きだった人こそ、今こそ他の熟成ラムを試してみるチャンスです。
もし見かけることがあれば、ぜひ最後の1本を手に入れて、その香りと味をゆっくりと記憶に刻みましょう。そして、新しいお気に入りのラムを探す旅に出るのもまた一興。終売という寂しさの先に、次の一杯との出会いが待っています。
パンペロが終売になった理由と代替銘柄のまとめ
パンペロが終売になった背景には、輸入コストやブランド戦略、原料事情など、さまざまな要因が重なっていると考えられます。しかし、その味わいの記憶は多くのファンの中で今も生き続けています。似た香味を持つディプロマティコやロン・サカパなどを試しながら、パンペロが教えてくれたラムの深さを改めて感じてみてください。
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