「サンシャインウイスキーが終売になるらしい」。そんなニュースに驚いた人は多いのではないでしょうか。北陸・富山の地ウイスキーとして70年以上愛されてきたブランドが、ついに一区切りを迎えるというのは、ウイスキー愛好家にとって大きな出来事です。この記事では、その終売の背景や味わいの特徴、そして後継となる新ブランド「SAB.（サブ）」について詳しく解説します。
サンシャインウイスキーとは？富山が生んだ“地ウイスキー”の原点
サンシャインウイスキーは、富山県砺波市にある若鶴酒造（三郎丸蒸留所）が1952年に発売したブレンデッドウイスキーです。戦後まもなく、日本で本格的にウイスキーづくりが始まった時代に誕生しました。
「サンシャイン（Sunshine）」という名前は、一般公募で決まったもの。戦後の復興期、「水と空気と太陽光線からできるウイスキーで日本に再び日をのぼらせたい」という思いが込められています。まさに“陽の光”のように、温かく明るい未来を願って生まれたブランドでした。
長年、三郎丸蒸留所のシンボル的存在として親しまれ、「北陸の地ウイスキー」として全国でも静かな人気を誇っていました。
終売が発表された背景とは
2024年11月、若鶴酒造は「サンシャインウイスキー プレミアム」「サンシャインウイスキー 1.8L」「十年明シリーズ」などの出荷を終了すると正式に発表しました。製造終了は2024年11月末、出荷は2025年1月末までとされています。
では、なぜ今終売なのでしょうか。
理由として考えられるのは、まずブランドの整理と刷新です。サンシャインウイスキーは1950年代から続く長寿ブランドであり、製造体制や原酒の管理などを見直す時期に来ていました。ウイスキー需要の高まりとともに、より高品質で世界に通用するジャパニーズウイスキーを目指す動きが強まっています。若鶴酒造も例外ではなく、新しいブランド戦略に向けた決断を下したと見られます。
また、原酒やブレンドの構成、熟成環境の変化も理由の一つでしょう。小規模蒸留所では、長期熟成原酒の確保やコスト上昇が大きな課題です。そうした中で、ブランドを整理し新体制に移行することは自然な流れです。
サンシャインウイスキーの味わいと特徴
長い歴史を持つサンシャインウイスキー。その魅力は「スモーキーで甘苦い味わい」にあります。
三郎丸蒸留所のモルト原酒をベースに、スコッチグレーンウイスキーなどの輸入原酒をブレンド。アルコール度数は40％前後と飲みやすく、それでいてウイスキーらしい厚みを感じる仕上がりです。
香りはピートのスモーキーさ、カラメルやココア、バニラのような甘いニュアンスが漂います。口に含むと、最初にほのかな甘味、次に酸味と苦味、そしてスモーキーな余韻が追いかけてくる——そんな複層的な味わいが特徴です。
飲み方によって印象も変わります。
- ストレート：カラメルとピート香がしっかりと感じられ、ウイスキーらしい力強さが際立つ
- ロック：氷で冷やすことで口当たりがなめらかになり、苦味と甘味のバランスがより柔らかく
- ハイボール：スモーキーさがふわっと香り立ち、爽快感のある飲みやすい一杯に
特にハイボールとの相性が良く、地ウイスキーらしい個性を保ちながらも日常的に楽しめる味わいです。
「終売」とは言っても、完全に姿を消すわけではない
「サンシャインウイスキーがなくなる」と聞くと残念に思う方も多いかもしれませんが、実は“後継ブランド”がすでに発表されています。
若鶴酒造は2024年12月、サンシャインウイスキーシリーズの後継ブランドとして新たに 「SAB. SUNSET RED」 を立ち上げました。
ラインナップは以下の2種類です。
- SAB. SUNSET RED：アルコール度数46％、700ml／200ml、税込3,498円
- SAB. NIGHT BLACK：アルコール度数46％、700ml、税込5,390円
両商品ともに「スモーキーさをより極めたブレンデッドウイスキー」として開発されており、サンシャインウイスキーのDNAを受け継ぎながら、より現代的な味わいに進化しています。
つまり、サンシャインブランドは“消滅”ではなく“進化”。新時代に向けたリブランディングという位置づけです。
後継ブランド「SAB.」が目指す新しい世界観
若鶴酒造は「SAB.」について、「スモーキーな個性をさらに極め、世界に誇れるジャパニーズウイスキーを目指す」と語っています。
従来のサンシャインウイスキーが親しみやすく手軽な地ウイスキーであったのに対し、SAB.はより洗練された印象を意識しています。ボトルデザインもモダンで、海外輸出や高級バーでの提供も視野に入れた仕様です。
度数が46％に引き上げられているのも注目点。香りとコクをより強く感じられるため、ウイスキー上級者にも満足できる仕上がりです。
つまり、「SAB.」はサンシャインウイスキーの延長線上にありながらも、次の時代に向けての挑戦でもあります。スモーキーさという個性を守りつつ、新しいブレンディング技術と世界市場への展開を視野に入れた“再出発”なのです。
サンシャインウイスキーを今手に入れるなら
終売が発表された今、在庫はどんどん減っています。公式では「販売終了時期：2025年1月末（店頭在庫限り）」とされており、現在市場に出回っている分が最後となります。
通販サイトではすでに「メーカー終売」や「在庫限り」の表記が増え、価格もじわじわと上昇しています。旧ラベルや1.8Lボトルなど、かつての仕様は今後さらに入手困難になるでしょう。
飲みたい方はもちろん、記念として保管しておきたいという人も、早めの確保をおすすめします。サンシャインウイスキーは長い歴史を持つ銘柄だけに、コレクターズアイテムとしても価値が高まる可能性があります。
サンシャインウイスキーが愛された理由
70年もの間、地域と共に歩んできたサンシャインウイスキー。愛された理由は、その「手に取りやすさ」と「温かみ」にあります。
高級すぎず、どこか懐かしい味。スモーキーなのに優しい香り。華やかな都会のウイスキーとは違い、まさに“地元の味”として親しまれてきました。
また、名前の通り“サンシャイン＝太陽”のように、明るく前向きな印象を与えるブランドイメージも、多くの人の記憶に残っています。晩酌の一杯として、ハイボールで、仲間との語らいの中で——。生活の一部として愛され続けたことが、このブランドの最大の魅力だったのでしょう。
これからの三郎丸蒸留所とジャパニーズウイスキー
三郎丸蒸留所は、サンシャインウイスキーの終売を経て、次のステージに進もうとしています。近年の設備改修や原酒づくりの強化によって、より高品質なスモー
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