スコットランド・アイラ島を代表するシングルモルトウイスキー「ラフロイグ（Laphroaig）」。その中でも特に人気が高かった「ラフロイグ18年」が、いつの間にか店頭から姿を消しているのをご存じでしょうか。ファンの間では「もう生産していない」「終売になったらしい」と話題になり、ネット上でも入手困難の声が相次いでいます。
この記事では、ラフロイグ18年がなぜ終売になったのか、その背景とともに、今でも手に入れるための方法をまとめて紹介します。ウイスキー好きなら一度は味わっておきたいこの一本。その真相をじっくり見ていきましょう。
ラフロイグ18年とはどんなウイスキー？
ラフロイグは1815年に創業した歴史ある蒸溜所で、独特のスモーキーさとヨード香が特徴の「アイラモルト」の代表格です。現在はビーム・サントリー（Beam Suntory）傘下にあり、日本でも根強い人気を誇ります。
そんなラインナップの中でも「ラフロイグ18年」は、熟成年数が長く、より深みのある味わいを楽しめるプレミアムモデルでした。ラフロイグ10年に比べて角が取れ、ピート香の奥にバニラやハチミツのような甘みが感じられるバランスの取れた一本。スモーキーでありながら滑らかで、時間をかけて飲むほどに複雑な香りが広がります。
もともとは2009年ごろに15年物の代替として登場したモデルで、限定的な出荷が続いていました。しかし2015年頃を境に「出荷終了」「終売」という情報が広まり、今では公式ラインナップから姿を消しています。
ラフロイグ18年が終売になった理由
終売の背景にはいくつかの要因が複合的に絡んでいます。公式発表こそ限定的ですが、流通や業界情報から見えてくる真相を整理すると、おおまかに次の3つが挙げられます。
1. 熟成原酒の不足
最も大きな理由は「熟成原酒の枯渇」です。18年以上の長期熟成を経た原酒は生産コストも時間もかかり、常に十分な量を確保できるわけではありません。特に2000年代以降のウイスキーブームで需要が急増し、ラフロイグ蒸溜所でも長期熟成原酒の在庫が逼迫していたと言われています。
18年という熟成年数を維持しながら安定供給するのは難しく、結果的に生産継続が困難になったと考えられます。
2. ブランド戦略の再編
ラフロイグはこれまで、10年・15年・18年・25年など、年数表記のあるラインを中心に展開していました。しかし世界的にはノンエイジ（年数表記なし）のウイスキーが増えており、ラフロイグも例外ではありません。「ラフロイグロア（Lore）」や「ラフロイグ・セレクトカスク」など、原酒の年数よりも味のバランスや個性を重視する新しいシリーズが登場しています。
つまり、ブランド戦略の中で「18年」というポジションを整理し、新たな方向性へ移行した結果として、終売に至ったと見られます。
3. 国内市場での出荷終了
日本市場では2015年ごろにビーム・サントリーがラフロイグ18年の出荷終了を発表したとされます。それ以降は正規代理店経由の流通が途絶え、残っているのは在庫限り。国内の酒販店サイトでも「終売」「販売終了」「在庫なし」と表示されるようになりました。
このように、供給面・戦略面・流通面のすべてで歯車が噛み合わなくなった結果、ラフロイグ18年は自然消滅的に終売を迎えたといえます。
終売後の価格と希少性の変化
終売が発表された直後から、ラフロイグ18年の価格は急上昇しました。定価1万円台だった時期もありましたが、今では中古市場で5万円以上、海外サイトでは700ドル近い値を付けることもあります。
コレクターズアイテム化
終売品となった今、ラフロイグ18年は「飲むウイスキー」から「保有するウイスキー」へと価値が変化しています。特に状態の良いボトルや未開封品はコレクターズアイテムとして扱われ、オークションでも高値で落札されています。
海外市場でも高騰
海外のウイスキーショップでも「Discontinued（生産終了）」と明記され、数年前の数倍の価格で販売されています。供給が止まった以上、今後新品が再流通する可能性はほぼなく、時間が経つほど希少価値が上がる傾向にあります。
今でもラフロイグ18年を入手する方法
とはいえ、「もう手に入らない」と諦めるのはまだ早いです。国内外を探せば、まだいくつかの方法でラフロイグ18年を入手できるチャンスがあります。
1. 酒販店・通販サイトの残り在庫を探す
一部の専門店や老舗酒販店では、倉庫に少量の在庫を抱えていることがあります。「終売品」や「限定入荷」と記載されていることが多いため、こまめにチェックしてみましょう。
注意点としては、価格が高騰しているため、あまりに安すぎる出品には警戒が必要です。ボトルの状態、正規品か並行輸入品か、箱付きかどうかなども確認しましょう。
2. オークション・フリマサイトを活用する
ヤフオクやメルカリなどの個人売買でも、時折ラフロイグ18年が出品されています。状態の良い未開封ボトルを狙うなら、写真や出品者の評価をしっかり確認しましょう。価格は2万円台からスタートすることもありますが、人気が集中すると一気に跳ね上がる傾向があります。
3. 海外ショップ・並行輸入を利用する
英語圏のウイスキー専門店では、今も少量ながら在庫を扱っている場合があります。例えば海外サイトでは700ドル前後で販売されており、輸入代行サービスを使えば日本からも購入可能です。ただし関税や送料がかかるため、総額ではかなり高くつく点に注意してください。
4. 専門の買取・リユースショップを探す
ウイスキー専門の買取業者では、ラフロイグ18年を高値で買い取っているケースもあります。こうした店舗は販売も兼ねていることが多く、状態の良い中古品を購入できる可能性があります。
代替として楽しめるラフロイグの現行モデル
もし18年が入手困難であれば、現行モデルの中にも魅力的な選択肢があります。
- ラフロイグ10年：ブランドの定番。ピート香とヨード香のバランスが良く、初心者でも手に取りやすい。
- ラフロイグロア（Lore）：複数の熟成年数をブレンドしたノンエイジモデルで、18年に近い深みと甘みを感じられる。
- ラフロイグ25年：高価ではありますが、長期熟成らしい円熟味と複雑な香りを堪能できる特別な一本。
これらのモデルを飲み比べることで、18年との味わいの違いや共通点を感じるのも楽しい体験です。
ラフロイグ18年を探す際の注意点
終売品を探す際には、以下の点を押さえておくと安心です。
- 真偽の確認：外観・ラベル・ボトル形状を必ずチェック。偽物対策として、信頼できる店舗での購入を心がけましょう。
- 保存状態の確認：高温多湿・直射日光下で保管されていたものは品質が劣化している場合があります。
- 価格の相場感を持つ：あまりに安すぎる出品は要注意。市場平均を調べておくと、適正価格が見極めやすくなります。
- 目的を決めて購入する：飲むため、コレクションのため、プレゼントのためなど、自分の目的を明確にしてから選ぶと後悔しません。
ラフロイグ18年が終売になった真相と今後の展望
ラフロイグ18年の終売は、多くのファンにとって寂しいニュースでした。けれどもその背景には、ウイスキー業界全体が直面する「熟成原酒の不足」と「ブランド再編」という現実的な理由があります。
今後、18年が復活する可能性は低いと見られますが、ラフロイグは常に新しい挑戦を続けており、限定リリースや特別ボトルで同等以上のクオリティを味わえる機会があるかもしれません。
もしまだどこかで出会えたなら、それは本当に幸運なこと。ラフロイグ18年は、飲む人にとって「一期一会の一本」と言える存在です。
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