最近、「牛すじがスーパーで見当たらない」「以前はあったのに売ってない」という声をよく耳にします。おでんや煮込み料理の定番具材として人気があるだけに、見つからないとちょっと残念な気持ちになりますよね。今回は、なぜ牛すじがスーパーで売っていないのか、その背景と理由、そして手に入らないときの代替品や購入方法をわかりやすくまとめました。
地域によって「売ってない」が変わる?関東と関西で異なる牛すじ事情
まず前提として、牛すじが「売ってない」と感じるかどうかは、住んでいる地域によってかなり差があります。
関西では、おでんやどて焼きなどに牛すじを使う文化が根強く、スーパーの精肉コーナーに普通に並んでいます。特に冬場は、パック詰めされたすじ肉が目立つ場所に置かれていることも多いです。
一方、関東では豚肉文化が中心。牛すじを使う料理があまり浸透していないため、そもそも需要が少ないのです。スーパーも「売れにくい商品は置かない」という判断をするため、結果的に牛すじが店頭に並ばないという構図になります。
地域によって「おでんに牛すじを入れるのが当たり前かどうか」が違うため、「売ってない」という声が出るのは主に関東圏に多いようです。
なぜ牛すじはスーパーに並びにくいのか?4つの主な理由
牛すじがスーパーに出回らない理由はいくつかあります。ここでは代表的な要因を4つ紹介します。
1. そもそも流通量が少ない
牛すじは、牛1頭から取れる量が非常に少ない部位です。主に他の部位を解体する際に出る「副産物」として扱われるため、安定して大量に供給することが難しいのです。
また、近年は国内の牛の飼育頭数が減少しており、さらに飼料価格や輸送コストの高騰も重なって、すじ肉の確保自体が難しくなっています。
2. 下処理に手間がかかる
牛すじはそのままだと非常に硬く、調理前に下茹でや灰汁取りなどの下処理が必要です。時間をかけて煮込むととろとろになりますが、手軽さを重視する現代の家庭料理にはやや不向き。
スーパー側も「下処理が大変で売れにくい食材」は在庫リスクが高いため、扱いを控える傾向があります。
3. 見た目のインパクトが弱く売り場で目立たない
精肉コーナーには赤身・霜降り・切り落としなど、見た目が華やかな部位が多く並びます。その中で、筋張ったすじ肉はどうしても見劣りしてしまい、手に取る人が少ないという現実もあります。
売れ残れば廃棄ロスが出るため、スーパーとしては仕入れを減らすしかありません。
4. 季節によって需要が偏る
冬場のおでんシーズンは需要が高まるものの、春や夏にはほとんど売れません。通年で安定した売上を確保できないため、年間を通して置くメリットが小さいのです。
結果として、「冬限定」「期間限定」として並ぶことはあっても、常設されないケースが多くなります。
「販売中止」と言われる背景にあるスーパーの事情
「前はあったのに、最近は置かなくなった」という声もあります。これは実際に「販売中止」というより、「採算が取れなくなったため扱いをやめた」というのが実情です。
牛すじは値段が安い一方で、廃棄リスクや加工コストが高い商品です。消費者が手に取りにくく、売れ残るとそのままロスになります。スーパーでは日々の売上データを見て「回転が悪い商品」を減らしていくため、牛すじが棚から姿を消すのは自然な流れとも言えます。
また、スーパーによっては牛肉自体の扱いが少ない店舗も増えています。豚肉や鶏肉中心の品ぞろえを強化した結果、牛すじのようなニッチな部位が外される傾向が強まっています。
牛すじが買える場所と入手のコツ
では、どうしても牛すじを使いたいとき、どこで買えばよいのでしょうか。いくつか実用的な入手ルートを紹介します。
精肉専門店
地域の肉屋さんでは、スーパーには並ばない部位を扱っていることがあります。特に「おでん用」「煮込み用」として、まとめて注文すれば取り寄せてもらえる場合もあります。
業務用スーパー
業務用スーパーは冷凍の牛すじを取り扱うことが多いです。業者向けに大容量パックで販売しているため、家庭でも冷凍保存すれば長く使えます。
ネット通販・精肉オンラインショップ
最近では、ネット通販で国産牛や輸入牛のすじ肉を簡単に注文できます。冷凍で届くため、必要な分だけ解凍して使うことが可能。レビューを見ながら脂の量や部位を選べるのも便利です。
肉の卸売サイトやふるさと納税
業務用の卸サイトでは、飲食店向けのすじ肉を小口販売している場合もあります。さらに、ふるさと納税の返礼品として牛すじを扱う自治体もあるので、探してみる価値があります。
牛すじがないときの代替食材
牛すじが手に入らないとき、代わりに使える食材もあります。料理の種類に合わせて上手に置き換えることで、似たような食感やコクを楽しむことができます。
- 豚すじや豚軟骨
牛すじよりやわらかく、煮込みやおでんにも使えます。入手しやすく、価格も手ごろです。 - 牛バラやすね肉
長時間煮込むとコラーゲンが溶け出し、牛すじに近いとろみと旨味が出ます。 - 下処理済みの冷凍すじ肉
ネットや業務用スーパーでは、下茹で済みのすじ肉も販売されています。下処理の手間が省け、すぐ調理に使えるのが便利です。
料理によっては、完全な代替は難しいものの、「とろとろ食感」や「濃厚な出汁感」を再現することは可能です。
家庭で扱うときのポイント
牛すじを調理する際は、下処理がカギになります。最初にしっかり茹でてアクを取ることで、臭みがなくなり、柔らかく仕上がります。
一度茹でこぼした後に、水からじっくり煮込むのが基本です。圧力鍋を使えば時短にもなり、30分ほどでとろとろの食感に仕上がります。
下処理したすじ肉は冷凍保存も可能です。小分けにしておけば、カレーやシチュー、どて煮などにすぐ使えて便利です。
「すじ肉を見つけたときにまとめ買いして冷凍しておく」という人も多く、スーパーで見かけたときはチャンスと言えます。
牛すじが再びスーパーに並ぶ日は来る?
牛すじの人気は決してなくなっていません。おでん専門店や居酒屋メニューなどでの需要はむしろ高まっています。
最近では関東でもコンビニおでんに牛すじが登場するようになり、少しずつ認知が広がっています。
その影響で、冬場だけ季節限定で販売するスーパーも出てきています。
今後、家庭での煮込み料理ブームや時短調理家電の普及によって、牛すじが再び注目される可能性もあります。需要が増えれば、再び定番商品として復活する日も来るかもしれません。
牛すじがスーパーで売ってない理由と今できる工夫のまとめ
牛すじがスーパーに売ってないのは、需要の地域差や流通量の少なさ、調理の手間、そして販売リスクなど、さまざまな要因が重なっているからです。
ただし、ネット通販や業務用スーパー、精肉店などをうまく利用すれば、今でも手に入れることは十分可能です。
見つけたときに少し多めに購入し、下処理して冷凍しておけば、いつでも気軽に使えます。
おでん、カレー、煮込み――。手間はかかりますが、その分だけ深い旨味を楽しめるのが牛すじ料理の魅力です。
季節や地域に左右されず、自分のペースで味わえるよう、賢く入手しておきましょう。
