最近、IT業界で話題になっているのが「VMwareが販売終了したらしい」というニュース。
これまで多くの企業が仮想化基盤として活用してきたVMwareですが、2024年に入ってからライセンス体系が大きく変わり、事実上の“販売終了”と言える状態になっています。
この記事では、その背景やサポート終了のスケジュール、そして今後の代替製品の動きまでをわかりやすく解説していきます。
VMwareが販売終了と言われる理由
「販売終了」と聞くと、製品自体がなくなるのか?と不安になりますよね。
実際には、VMware製品が突然消えるわけではなく、**永続ライセンス(買い切り型)**の販売が2024年2月4日をもって終了しました。
今後は「サブスクリプション型(定期契約)」または「期間ライセンス型」だけが提供されます。
さらに、永続ライセンスに付随していたサポート&サブスクリプション(SnS)契約の更新も停止されました。
つまり、これまでの「一度買えば長く使える」モデルから、「定期的に支払うことで利用を継続する」形に変わったのです。
この変更の背景には、2023年に完了したBroadcomによるVMwareの買収があります。
Broadcomは買収後、VMwareの事業構造を全面的に見直し、サブスクリプション化を推進。
その結果、企業ユーザーにとって“新規購入停止”という形で販売終了に見える変化が起こりました。
サポート終了時期とライフサイクルの変更点
VMwareは製品ごとにサポート期間(EoS:End of Support)を設定しています。
ライセンス販売終了とあわせて、主要製品のサポート終了時期も明確化されました。
- vSphere 7.x / vSAN 7.x:2025年10月2日でサポート終了
- vSphere 8.x:2027年10月11日でサポート終了予定
- VCF Operations Management Packs:2025年9月30日で一般サポート終了
これにより、古いバージョンを使い続けている企業は、サポート期限が迫る中でアップグレードや移行を検討しなければなりません。
また、VMwareはライフサイクルモデル自体も変更し、メジャーリリースごとに27カ月+最終版45カ月という新たなルールを導入しています。
このように、ライセンスだけでなくサポート期間の考え方も刷新され、企業のIT運用に直接影響を与える形となっています。
販売終了で何が変わるのか
永続ライセンスが終了したことで、企業は今後どのような影響を受けるのでしょうか。
1. コスト構造の変化
従来の買い切り型では、一度購入すれば保守費用を除き大きな支出はありませんでした。
しかしサブスクリプション型では、契約を続ける限り定期的な支払いが発生します。
「初期費用は安いけど長期的に高くなるのでは?」という懸念を持つ企業も多いようです。
2. サポート切れリスク
既存の永続ライセンスを使い続ける場合でも、保守契約の更新ができないため、いずれサポートが切れてしまいます。
サポート切れのまま運用を続けると、セキュリティパッチやバグ修正が受けられず、システムリスクが増大します。
3. ベンダーロックイン問題
サブスクリプション化によってVMwareへの依存度が高まり、契約をやめると即座に利用停止になるケースも。
結果的に「他製品に乗り換えづらい」構造になってしまうことが懸念されています。
企業が取るべき対応策
VMwareの販売終了・サポート変更を受け、企業は次の3つの選択肢を検討する必要があります。
1. サブスクリプション型への移行
最もシンプルなのは、現在のVMware環境を維持しつつ新ライセンスモデルに移行する方法。
サポートも継続されるため、運用リスクを最小限に抑えられます。
ただし、コストが年間契約ベースになるため、長期的な予算確保が前提となります。
2. 他社製品への移行
近年では、VMware代替として以下のような仮想化基盤が注目されています。
- Microsoft Hyper-V(Windows環境との親和性が高い)
- Nutanix AHV(HCI製品として統合管理が容易)
- Red Hat Virtualization(オープンソース系企業に人気)
- Proxmox VE / XCP-ng / KVM(コストを抑えたい中小企業に支持)
特にProxmox VEはオープンソースながら機能が豊富で、日本でも利用事例が増えています。
ただし、運用体制やサポートの確保が課題となるため、慎重な検証が必要です。
3. 第三者保守の活用
既存ライセンスを保持したまま、サードパーティによる保守サポートを利用する企業も増えています。
これにより、公式サポート終了後も安定運用を維持しながらコストを削減することが可能です。
ただし、将来的なアップデートや新機能には対応できない点は注意が必要です。
VMwareがサブスクリプション化を進める理由
なぜVMwareは永続ライセンスをやめ、サブスクリプション型に移行したのでしょうか。
その背景には、Broadcomによる経営戦略の転換があります。
Broadcomは買収後、VMwareを“安定的な収益源”と位置づけ、クラウドや定期課金型ビジネスへと舵を切りました。
サブスクリプションモデルに統一することで、収益を予測しやすくし、継続的なイノベーションを提供できると説明しています。
また、VMware製品のラインアップも簡素化されました。
これまで多数存在したエディションを整理し、よりシンプルな構成に統合。
販売パートナー制度も見直され、Broadcomの提供形態に合わせた体制へと再構築されています。
今後の日本企業への影響
日本でもVMware製品を導入している企業は非常に多く、今回の変更は広範囲に影響を与えています。
特に、中小規模の企業では、永続ライセンスの継続利用を前提にしたシステム運用が多く、保守更新停止により対応を迫られています。
IT担当者の間では、「このタイミングでクラウド化や他社移行を検討する良い機会」と捉える声もあります。
一方で、既存システムの互換性や運用負荷を考慮し、VMwareを使い続ける選択をする企業も少なくありません。
いずれにしても、サポート期限を確認し、計画的な対応を進めることが重要です。
これからの仮想化基盤はどう変わる?
VMwareの販売終了をきっかけに、仮想化基盤の在り方は再び見直されつつあります。
オンプレミス中心からハイブリッドクラウドへ、さらにはマルチクラウドへの流れが加速。
仮想化だけでなく、コンテナやクラウドネイティブ技術を組み合わせる動きも進んでいます。
企業に求められるのは、「VMwareを使うかどうか」ではなく、
自社にとって最適な仮想化・クラウド戦略をどう構築するかという視点です。
今後は、インフラを単なる“コスト”ではなく、ビジネスを支える“投資”として捉える考え方が主流になるでしょう。
VMwareが販売終了?今後の動きとまとめ
改めて整理すると、VMwareの販売終了とは「永続ライセンスが終わり、サブスクリプション型へ完全移行した」という意味です。
製品自体は存続しますが、従来の購入・更新方法は使えなくなりました。
その結果、企業は今後のIT基盤をどのように構築していくかを再検討する必要があります。
- 2024年2月4日以降、永続ライセンスの新規販売および保守更新は終了
- vSphere 7.xなど一部製品は2025年にサポート終了
- サブスクリプション化でコストと運用体制が変化
- 代替製品や第三者保守の選択肢も拡大中
VMwareの動きは、単なる販売モデル変更ではなく、ITインフラ全体の転換点とも言えます。
いま使っている環境を見直し、自社に合った最適な仮想化戦略を立てることが、これからの時代を乗り切る鍵になるでしょう。
