「こつぶ」という名前、懐かしく感じる人も多いのではないでしょうか。缶を開けると、オレンジの香りと一緒に“つぶつぶ”のみかん果肉が口に広がるあの感覚。子どもの頃や昭和・平成初期に自販機でよく見かけたという方も少なくありません。しかし、最近はまったく見かけなくなり、「こつぶってもう売ってないの？」という声がSNSなどでも増えています。
この記事では、「こつぶがなぜ販売終了したのか」「生産中止の背景は何か」、そして「今でも似た味を楽しめる代替商品」について詳しく掘り下げます。
「こつぶ」とはどんな飲み物だったのか
「こつぶ」は、**はごろもフーズ**が製造・販売していた果肉入りオレンジジュースです。1970年代後半に登場し、みかんの“粒”がたっぷり入った独特の飲みごたえが特徴でした。缶を振って飲むことで、果汁と果肉が混ざり、飲むたびに「食べるジュース」のような食感を楽しめると評判でした。
当時は「果粒入りジュース」自体が珍しく、他の飲料メーカーに先駆けて登場したことで、つぶつぶ系飲料の先駆者的な存在とも言われています。昭和世代には、駄菓子屋や学校帰りの自販機で買った記憶がある人も多いはずです。
SNS上では「1977年から2003年頃まで売っていた」「2000年代前半まではスーパーで見かけた」という声が多く、長年愛され続けたロングセラー商品だったことがわかります。
こつぶが販売終了した理由
では、なぜこの人気商品が姿を消してしまったのでしょうか。公式な発表はされていませんが、複数の情報源や流通の変化をもとに、その背景を探っていきます。
1. はごろもフーズが飲料事業から撤退したため
最も大きな理由は、製造元のはごろもフーズが飲料製造事業を終了したことです。
同社といえば「シーチキン」や「デザート缶詰」で知られる食品メーカーですが、かつては果汁飲料の分野にも力を入れていました。しかし、時代の流れとともに飲料事業の採算が取りにくくなり、戦略転換の一環として飲料分野から撤退。これにより、「こつぶ」も自然消滅するような形で市場から姿を消したと見られています。
2. 製造コストと採算性の低下
果肉入りの飲料は、一般的なジュースよりも製造工程が複雑で、果肉の管理や充填に手間がかかります。缶詰タイプでは沈殿防止のための調整も必要で、製造ラインの維持コストも高め。
一方で、消費者の嗜好が健康志向・低糖・無果肉系へとシフトしたことで、販売数は減少。結果として採算が取れず、製造継続が難しくなったと推測されます。
3. 市場環境の変化とライフスタイルの多様化
2000年代以降、飲料市場ではペットボトルが主流になり、缶飲料はコンビニ・自販機でも売り場が縮小していきました。
また、「果粒入りジュース」は独特の食感が好みを分けるため、万人受けする商品ではありません。健康志向やカロリー制限の流れもあり、果肉入りで甘めの「こつぶ」は市場のトレンドから外れていったと考えられます。
実際にSNSでは、「最後に見たのは10年以上前」「いつの間にか棚から消えていた」という声が多く、明確な終売告知もないまま自然に姿を消した印象を与えています。
いつ頃販売終了したのか
明確な公式発表はありませんが、消費者の目撃情報や販売履歴をもとに推測すると、2000年代前半〜中盤頃にかけて販売が終わったと考えられます。
もぐナビなどのレビューサイトには「2005年頃に購入した」「2006年までは自販機で見かけた」といった投稿が残っており、少なくともその頃までは流通していたことが分かります。
また、一部の食品マニアサイトでは「1977年から2003年まで発売されていた」という記録も見られ、2000年代初頭を境に終売へ向かったとみられます。
つまり、「こつぶ」は約30年近く愛された末に、メーカーの事業転換と時代の流れの中で静かに幕を閉じたというわけです。
「こつぶ」販売終了の背景をもう少し深掘り
はごろもフーズの事業転換
はごろもフーズはもともとツナ缶やフルーツ缶詰を主力としてきた会社です。2000年代以降、競争の激化とコスト上昇により、飲料や軽食などの周辺事業を整理していきました。飲料部門の撤退はその流れの中で行われ、「こつぶ」も対象になったと見られます。
飲料事業は設備投資や衛生管理のコストが高く、小規模ブランドでは継続が難しい分野です。特に果肉入りのような特殊製法は、維持費がかかるため、採算ラインを割ってしまった可能性が高いでしょう。
消費者ニーズの変化
「こつぶ」は甘くて濃厚なオレンジ味と粒感が特徴でしたが、現代では“さっぱり”“低糖”“ビタミン強化”など健康志向の商品が人気です。さらに、SNSやカフェ文化の拡大で、見た目やトレンド性を重視する時代になりました。
その結果、缶入りでレトロなデザインの「こつぶ」は、新世代の消費者にアピールしづらくなってしまったと考えられます。
とはいえ、ノスタルジーを感じるファンは多く、「もう一度飲みたい」「復刻してほしい」といった声が今でも根強く残っています。
こつぶに似ている代替商品はある？
現在、「こつぶ」とまったく同じ飲み心地のジュースは存在しませんが、近い味わいや食感を楽しめる商品はいくつかあります。代表的なものを紹介します。
- サンガリア つぶつぶオレンジ
ペットボトルタイプで手に入りやすく、オレンジ果粒入りの食感が特徴。昔ながらの甘めテイストで、「こつぶ」を思い出すという口コミも多いです。 - ポッカサッポロ つぶみ
果肉入りジュースとして長年親しまれているブランド。「こつぶ」と同じく“食べる感覚”があり、オレンジ以外にもグレープフルーツなどバリエーションがあります。 - 果肉入りみかんジュース（国産ブランド各社）
地方の果汁メーカーなどが製造している果肉入りジュースも、味や口当たりが「こつぶ」に似ていると話題です。通販サイトやふるさと納税などでも見つけることができます。
このように、「つぶつぶ感」や「みかん果汁の懐かしさ」を楽しみたい場合は、現在でも選択肢があります。完全な再現ではありませんが、“あの頃のこつぶ”を思い出すには十分な存在です。
復刻の可能性はある？
「こつぶ」自体の復刻は、現時点で公式な動きは確認されていません。ただ、近年は“懐かしの味”を再販・限定復刻するメーカーも増えており、SNSで話題になると復活のきっかけになるケースもあります。
たとえば、過去に終了した飲料やお菓子が、ファンの声で再登場した例は少なくありません。もし「こつぶ」に関しても一定の需要が再び注目されれば、記念商品や限定コラボとして復刻する可能性もゼロではないでしょう。
「もう一度あの味を飲みたい」という声が増えれば、メーカーの判断を動かすこともあり得ます。
こつぶ販売終了のまとめ
・「こつぶ」は、はごろもフーズが製造していた果肉入りオレンジジュース
・1970年代後半〜2000年代前半まで販売されていたロングセラー商品
・メーカーの飲料事業撤退、製造コスト上昇、市場環境の変化が販売終了の主因
・現在は類似する“果粒入りジュース”が複数存在
・ファンの間では復刻を望む声が今も根強い
「こつぶ 販売終了」という言葉に懐かしさを覚える人は多いでしょう。あの“つぶつぶオレンジ”の味わいは、単なる飲み物以上に、当時の記憶を呼び起こす存在です。もしまた再販される日が来たら、きっと多くの人があの頃の気持ちを思い出すことでしょう。
