長年親しまれてきた「スーパーカップ 大盛りいか焼そば」。ソースの香ばしさと、もちもちの麺、そしてあの独特ないか具材の食感が好きだったという人も多いのではないでしょうか。しかし、そんな人気商品が突然店頭から姿を消し、「販売終了」「見かけない」という声が相次ぎました。この記事では、イカ焼きそばが販売終了になった理由や背景、そして再販の動きについて詳しく解説します。
スーパーカップ大盛りいか焼そばとは？
まずは改めて、「スーパーカップ 大盛りいか焼そば」とはどんな商品だったのかを振り返ってみましょう。
エースコックが1988年に発売したロングセラーのカップ焼そばで、内容量167g（めん130g）というボリューム感が特徴でした。濃厚なソースとプリッとした麺、さらに「いか具材」を加えた独自の味わいで、30年以上にわたり多くのファンを持っていた定番商品です。
スーパーやコンビニで見かけるたびに手に取っていたという人も多く、いわば「懐かしの味」「青春の味」として根強い人気を誇っていました。
イカ焼きそばが販売終了した理由
1. 原材料費と物流費の高騰
エースコックによると、販売終了の背景には「市場環境の変化」がありました。具体的には、近年続いている原材料費・人件費・物流費の高騰が大きく影響しています。
カップ麺業界全体でコスト増が進んでおり、価格転嫁が難しい低価格帯の商品ほど、継続が難しくなる傾向にあります。特にいか焼そばは「大盛り仕様」で原価負担が大きく、他商品よりもコスト上昇の影響を受けやすかったと考えられます。
2. イカ原料の高騰と供給不安
最大の特徴である「いか具材」が、実は最大のネックにもなっていました。
近年、日本近海のスルメイカ漁獲量が大幅に減少しており、イカ自体の価格が高騰。さらに海外からの輸入イカも需要増で価格が上がり、安定的な供給が難しくなっていました。
つまり、“いか”をウリにした商品であるがゆえに、イカの調達が難しくなった結果、採算が取れなくなったという構図です。メーカー担当者の「イカの価格が上がり続けて採算が厳しい」というコメントも印象的でした。
3. 市場内でのポジション変化
焼そば系カップ麺市場では、「日清焼そばU.F.O.」「ペヤング」「一平ちゃん」などの強力ブランドが競合として存在します。
一部の調査では、いか焼そばの売上はU.F.O.の1割程度だったというデータもあり、販売シェアの低下が続いていたとされています。
こうした背景もあり、原料高と売上規模のバランスが取れず、商品としての継続が難しくなったと推測されます。
4. 市場トレンドの変化
カップ焼そば市場全体では、「ボリューム」よりも「高付加価値」や「個性派フレーバー」が伸びる傾向にあります。
健康志向や新しい味への関心が高まる中で、定番系商品の刷新や整理が行われるケースも増えました。いか焼そばの終了も、こうした時代の流れの中にあったといえます。
販売終了の公式発表とその反響
エースコックは2019年3月末の生産をもって、「スーパーカップ 大盛りいか焼そば」の販売を終了することを公式に発表しました。
このニュースが出ると、SNSでは「ショック！」「あの味がもう食べられないなんて」といった投稿が相次ぎ、Twitter上では一時的にトレンド入りするほど話題になりました。
ネットショップやスーパーでは「最後の在庫」が買い占められ、終売直後にはプレミア価格で取引されることもあったほどです。長年のファンが多かっただけに、その反響の大きさはメーカーの想定を超えていたといえるでしょう。
その後の再販と復活の動き
販売終了から2年後の2021年、ついにファン待望の再販が実現しました。
同年3月には「スーパーカップ いか天ふりかけ焼そば」、4月には「スーパーカップ 大盛りいか焼そば（コンビニ限定）」が発売。かつての味わいを再現しつつ、具材やソースをリニューアルした形で登場しました。
さらに2022年には「ソース増量」仕様、2023年には“いか×いか天”のW具材を採用した「スーパーカップ Ｗいか焼そば」として再び登場。限定販売ではありますが、定期的に復活するシリーズとして定着しつつあります。
そして2025年には、カップではなく袋麺タイプの「いか焼そば 具材入り3食パック」が登場。よりコストを抑えた形で、家庭向けに再設計されたバージョンといえます。
なぜ再販が実現したのか？
販売終了から数年を経ての再販は、単なる懐古ではなく、明確な需要の裏づけがありました。
エースコックによると、「再販を望む声が多く寄せられ、皆さまに喜んでいただける形を模索した結果」とのこと。
ネット上では終売当時から“復活希望”の投稿が絶えず、メーカー側もその声を受けて慎重に再生産を検討していたようです。
再販モデルでは「コンビニ限定」「限定数量」「価格改定」といった形で、採算性を保ちながら販売を続けられる工夫がされています。つまり、“永続販売”ではなく“期間限定でブランドを活かす”という新しいビジネスモデルで復活を果たしたのです。
再販後の評価と変化
復活後のいか焼そばを食べたユーザーからは、「懐かしい味が帰ってきた」「ソースが濃くてうまい」と好評の声が多く見られました。
一方で、「昔より味が少し変わった」「いかが少ない」といった声もあり、リニューアル仕様に賛否が分かれる面もあります。
とはいえ、“いか焼そば”というブランドの存在感が再び注目を集めたことは確かで、SNS上では「#いか焼そば復活」「#スーパーカップいか焼そば」などのタグも盛り上がりました。
また、袋麺版の登場により、家庭で好きなトッピングを加えられるアレンジ性が評価され、「自分流いか焼そば」を楽しむファンも増えています。再販後も愛され続けている理由は、単なるノスタルジーだけではなく、「いか焼そばらしさ」を残した進化にあるといえるでしょう。
今後の再販や入手方法は？
2025年現在、「スーパーカップ 大盛りいか焼そば」は常時販売されていませんが、定期的に限定復活しています。
エースコック公式サイトやコンビニの新商品情報をチェックしておくと、再販タイミングを逃しにくいでしょう。
また、袋麺タイプの「いか焼そば 3食パック」は全国のスーパーやネット通販で取り扱いがあるため、比較的入手しやすい状況です。限定版や特別パッケージが登場することもあるため、ファンは定期的に情報を追うのがおすすめです。
イカ焼きそば販売終了の背景から見えるもの
イカ焼そばの販売終了には、単なる「売れ行き不振」ではなく、
・原材料コストの上昇
・イカ供給の不安定化
・市場構造の変化
といった、食品業界全体に通じる課題が隠れています。
それでも再販が実現したのは、長年にわたり積み上げてきたブランド価値と、消費者の強い支持があったからこそ。
“終了しても愛される商品”という稀有な存在であり、その背景にはメーカーと消費者の絆のようなものが感じられます。
まとめ：イカ焼きそばが再び食卓に戻る日を楽しみに
いか焼そばが販売終了した理由は、原料やコストの問題に加え、市場の変化という複合的な要因によるものでした。
しかし、終売後も再販や限定復活が続いており、「もう食べられない」というわけではありません。
この商品が長く愛されたのは、“庶民的でどこか懐かしい味”があったから。
そしてその味を求める声が途切れなかったからこそ、再び戻ってきたのです。
もし次に店頭で見かけたら、あの懐かしいソースの香りとともに、ぜひ手に取ってみてください。
時代を越えて愛される「いか焼そば」は、これからもきっと多くの人の記憶に残り続けるはずです。
